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【小説】ヴァルキーザ(ルビ付き版)

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小説『ヴァルキーザ』本文にルビを振った版のマガジンです。(本文の内容を少し改変しています)
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小説『ヴァルキーザ』あらすじ

小説『ヴァルキーザ』あらすじ

起源宇宙と呼ばれる遥かな古の宇宙に、権神セレンにより創造された『ヴァルキーザ』(「ヴァル・ク・フス」という古フォロス語(ヴァスナ語)に由来する共通語で「時の最果ての地」の意)と呼ばれる世界があった。そこでは、互いに異種族のフォノン(音子。ここでは宇宙精霊の呼称)たちが、平和に共存していた。これは吟遊詩人のイプハーンが語る伝説である。

宇宙母神アプスと、その子神で「権神」と呼ばれるセレンと、その妻

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『ヴァルキーザ』章タイトル一覧

『ヴァルキーザ』章タイトル一覧

創作ファンタジー小説『ヴァルキーザ』全33章の各章の順番とタイトル(章名)、各章の話数(記事数)を載せます。

第1章  序章(オープニング)          1話
第2章  マイオープ(黄金の森)         6話
第3章  トルダード                      5話
第4章  カルマンタ                4話
第5章  無法者の洞窟             

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小説『ヴァルキーザ』 19章(2)

小説『ヴァルキーザ』 19章(2)

マーガス国の都アルカンバーグは正門に三日月の紋章を掲げ、宮殿を取り囲む外壁と、ドーム状の屋根を持つ寺院と、幾つかの円柱形の塔および王宮などの建物からなる巨大な城市だった。

そして都は至る所に整然とした、幾何学的な模様の装飾が施され、静かな威容を誇っていた。

マシャールという名の門番(ゲートキーパー)から名前と用件を問いただされたグラファーンたちは、自らの名前と、イリスタリア国から平和のための外

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小説『ヴァルキーザ』 19章(1)

小説『ヴァルキーザ』 19章(1)

19. アルカンバーグ

ユニオン・シップ団の冒険者たちは、マルナー氏の渡し舟に乗ってラフルーン河を渡り、対岸のマーガス国の領域に入った。そして冒険者たちは、しばらくの間、歩いた。

歩いていくうちに、行く手の道を8つの人影が塞いだ。黒い甲冑に身を包む、黒騎士たちだ。

「マーガスの人か、私たちは…」
グラファーンが話しかけると、それを遮るように黒騎士の一人が言い放った。

「我が名はロデック。エ

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小説『ヴァルキーザ』 18章(3)

小説『ヴァルキーザ』 18章(3)

ティムロトと別れて、ユニオン・シップ団は、森の小径をさらに奥へと進んだ。やがて森の出口が見えてくると、皆は先に出会った妖精リルムの言っていたことを思い出した。

案の定、一人の、また別の妖精が現れた。妖精は蝶のように小さく、紺色の服を着た黒髪の男性の姿だった。

おそらく、これが、バジャックだ。

彼は冒険者たちに、魔法で悪戯をしかけてきた。身体を強くくすぐられるような感覚が走る。しかし冒険者たち

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小説『ヴァルキーザ』 18章(2)

小説『ヴァルキーザ』 18章(2)

その後、森の小径で一団は、灰色の斑の狼たちに遭遇した。

狼が吠えかかってきたため、これを斬ったところ、木立の間のどこからともなく人の声が聞こえ、灰色のローブをまとった白く長いあごひげの老人が現れた。

「我が名はティムロト。侵入者ども、我が使いを殺した仇を取ってやる!」
ティムロトは怒りに震えていた。

アム=ガルンが弁解しようとしたが功を奏さず、ティムロトは、自ら率いていた8匹の灰色の狼をけし

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小説『ヴァルキーザ』 18章(1)

小説『ヴァルキーザ』 18章(1)

18. パルマの森グラファーンたち冒険者は、ある美しい森に行き着いた。木々が少し高く立ち並び、清澄な雰囲気だ。

ここはまるで、妖精の棲んでいそうな幻想的な森だ。霧雨の降るこの木立ちをみて、グラファーンは、故郷のマイオープを思い出した。

「これが、パルマの森でしょう」
アム=ガルンが感嘆する。

ラフィアは地図を見ながら、アムの言うことを裏付けるように頷く。

森の空気に癒されながら、一団は森の

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小説『ヴァルキーザ』 17章

小説『ヴァルキーザ』 17章

17. 霧の沼

アルフェデの街を発ったユニオン・シップ団は、あたりに濃い霧が立ち込める沼地へさしかかった。

視界は悪く、足元の地面はぬかるみ、湿気のかたまりを吐いている。
毒々しい瘴気が立ち昇る。

沼の中に転ばないように慎重に歩み続け、ユニオン・シップの一団は、道無き道を進んでいった。

突如、ラフィアが叫んだ。
「あれを!」

目の前の沼から、「それ」は現れた。

見ると、霧の中にうごめく

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小説『ヴァルキーザ』 16章(3)

小説『ヴァルキーザ』 16章(3)

力を取り戻したユニオン・シップは、再びその帆を上げた。

彼らは、そのときアルフェデの廃墟に襲来してきた黒僧侶のビショップを団結して斥けた。

その後、ユニオン・シップの組合員たちは円陣を組み、内側にそれぞれの右手を差し出し、重ね合わせた。

そして皆が、うなずく。

彼らは、組合結成時の誓いの言葉を思い出したのだ。

「われわれは、常に誠実に…」

団員たちが、ひとりひとり、言葉を継いで口にして

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小説『ヴァルキーザ』 16章(2)

小説『ヴァルキーザ』 16章(2)

冒険者たちは、アルフェデの街の復興のために日夜働き、とうとうその力を使い果たしてしまった。みな、体力も精神力もまさに尽きようとしていた。

「頑張ってきましたが、ここが限界のようです」
アム=ガルンが膝をつく。

「この先、旅を続ける力はもう、残っていない」
エルハンストもくずおれる。

「みんな、これが最期か…」
グラファーンも倒れ伏す。

冒険者たちは皆、ここで死ぬ覚悟をした。

空は薄暮とな

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小説『ヴァルキーザ』 16章(1)

小説『ヴァルキーザ』 16章(1)

16. アルフェデ水彩画のように透き通る景色の中、遠く奥の方から差す一条の陽光に浮かび上がるようにして、幻の街・アルフェデは有った。

真昼の白い雲の下、グラファーンたちは、シャイニング・ロードに囲まれたその街に入っていった。

通りを行く人の影はまばらだ。街の中央広場に向かうと、広場の中心に人々が集まって、力を合わせて、何か高い柱を立てているところだった。

それは木製の円柱で、装飾が施されてお

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小説『ヴァルキーザ』 15章(3)

小説『ヴァルキーザ』 15章(3)

野営中の深夜、不意に冒険者たちはみな、何かの気配を感じ、目が覚めて起き上がった。

見張りのグラファーンは、みなに警戒を呼びかける。

突如、暗闇の中から何者かの影が現れ、冒険者たちに向けて、魔力を帯びた強い声を放った。

それは、馬の鋭いいななきに似ていた。
その高音の叫びは、聞いた者を恐怖に陥れた。

エルハンストやアム=ガルン、ゼラは恐怖に飲み込まれ、意識を失った。
そして、魔法の眠りの中で

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小説『ヴァルキーザ』 15章(2)

小説『ヴァルキーザ』 15章(2)

戦いを終えたグラファーンたちは、妖精の奇声に恐怖して逃げた2人の仲間を探し出し、復帰させた。
全員揃った後、野宿に適当な場所を見つけて眠ると、翌日さらに渓谷を南に下って行った。

道の状態は悪く、低木や草の茂みに阻まれ、一団は川べりのわずかな岩地を足場にして、やっとの思いで歩いていた。

渓谷を旅する途中、ずっと空には魔の雲が厚くかかっていた。昼も辺りは薄暗く、時折一団は、雷雨に見舞われることもあ

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小説『ヴァルキーザ』 15章(1)

小説『ヴァルキーザ』 15章(1)

15. 妖精渓谷

暗い闇の中を手探りで、失くした物を捜すかのように道を探りながら、冒険者たちは山の下り道を歩いてゆく。

ルーア人の描いてくれた詳しい地図をたよりに、ひたすら南へ行くと、冒険者たちの一団は、やがて渓谷らしき場所へさしかかった。

「これが、妖精渓谷でしょう」
アム=ガルンがささやく。

夜の帳が下りてから、辺りはいっそう深い闇に沈んでいた。

そこは、6人が横になるには充分に広く

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