- 運営しているクリエイター
#小説
無修正少年 ※BL/R18※
1通目(便所小町)
月曜日。寒風吹きすさぶグラウンドを三十周走らされるのが嫌で、着替えの野郎連中を尻目に島津は教室を出た。坊主に近い短髪を、ざらりと撫でる。こんなときは便所でタバコでも吸うべ。
北校舎一階の職員用便所へ行った。そこはめったに人が来ない。念のため、島津はドアを押さえて、様子をうかがった。誰かの荒い息づかい、粘着質に濡れた音。えっ、と思った。あきらかに卑猥な感じの気配なのだ。使用
山賊の女房 ※BL/R18※
㈠因縁
十三夜の月下、十一は息を殺した。一帯の笹籔が、山が真っ黒なバケモノじみてざわめく。初めて夜の山に入った日は、小便をちびるかと思った。今はそんなことはない。いや、今でも少しおっかない。けれど、そんなそぶりを見せようものなら、笑われる。斜めまえに相棒の夷虎がいる。風よりも微かにささやく。
「来たぜ」
じゃん、じゃん、じゃん……どこかできいた鉄の音。月よりも眩しい提灯。二つの灯影が、竹林