浮世絵版画の復元的復刻について②ー歌川国貞作品を例に
私は元々は摺師をしていましたが、立原位貫氏の仕事に影響を受け、江戸時代の色材や紙といった素材の復元を含めての復刻版制作に取り組んで来ました。
伝統木版画の彫師や摺師の方法論に従って復刻をした場合、結果的に出来上がる復刻版は、木版技術の水準の面でも、色材や紙といった素材の面でも、「改良版」としての性格が強いものとなります。一流の彫師と摺師、一流の美術館や浮世絵研究者の協力の元に作られたとしても、制作及び完成品の実質面では、再現作品として辻褄の合わないものとなります。江戸時代より