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復刻版浮世絵の基本的制作工程ー彫りと摺り

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2017年の夏頃に投稿した「浮世絵の作り方」の記事をまとめたものです
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記事一覧

浮世絵の作り方④完ー摺りー北斎ー神奈川沖浪裏

試し摺りをして校正が済んだら、本摺りにかかります。
一般的に色は細かい所から広い所、薄い色から濃い色の順に摺っていきます。

一色目 輪郭線 使用絵具 本藍

二色目 黄色 使用絵具 石黄(舟の黄色部分は少し薄めています。)(追記:この絵の具は画材店から石黃と言われ、購入したものでしたが、実際は藤黃だと後になってわかりました。)

三色目 薄い青 使用絵具 ベロ藍

四色目 濃い青 使用絵具 ベロ

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浮世絵の作り方③ー色板ー北斎ー神奈川沖浪裏

主版の修正が済んだら必要な色の数だけ和紙に摺ります。これは色板用の原稿となります。この原稿を「校合摺り」などと言います。古くは美濃紙という和紙が使われましたが、現在は人によってそれぞれです。この1枚1枚に、それぞれ彫る箇所を筆で色(赤ないし朱色)をさした後、色板用の版木に貼り、それぞれの色の部分だけを彫っていきます。
校合摺りをした後、主版の無駄彫りを削り取ります。

2017.8.20

彫り上

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浮世絵の作り方②ー主版ー北斎ー神奈川沖浪裏

彫りの第一手順は、小刀(版木刀)といわれる彫刻刀で線の両側に切り込みを入れていきます。現代、彫師の間で使われている、柄の短いカートリッジ式の小刀は(下記写真がそれです)、明治時代に発案され普及したと言われています。

小刀で線の両側に切れ込みを入れ終わったら、次はのみで広い部分をさらいます。基本的には、のみは平のみと丸のみをそれぞれ大小2本ずつ使います。彫師の間で丸のみが使われ出したのは明治時代に

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浮世絵の作り方①ー版下ー北斎ー神奈川沖浪裏

一般に復刻版制作にあたり、その原画は以下の三種から選択されます。ただし例えばオリジナルの状態が良くない場合など、印刷物で確認するなどして併用されることもあります。
1オリジナル
2過去に作られた復刻版
3印刷物などの写真複製物
(尚、2と3には著作権が発生してる場合もあるので注意が必要です。)

今回は過去に作られた復刻版を版下用(版木を彫る際)の原画として、印刷物を摺る際の原画として使います。

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