浮世絵の作り方②ー主版ー北斎ー神奈川沖浪裏

彫りの第一手順は、小刀(版木刀)といわれる彫刻刀で線の両側に切り込みを入れていきます。現代、彫師の間で使われている、柄の短いカートリッジ式の小刀は(下記写真がそれです)、明治時代に発案され普及したと言われています。

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小刀で線の両側に切れ込みを入れ終わったら、次はのみで広い部分をさらいます。基本的には、のみは平のみと丸のみをそれぞれ大小2本ずつ使います。彫師の間で丸のみが使われ出したのは明治時代になってからと言われています。一般に彫師の使う彫刻刀は、特に明治時代を境に大きく変化していると思われます。

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その後、間剥(あいすき)と呼ばれる平刀大小5本程使用し線を彫り起こして行きます。

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2017.8.16

主版の彫りが一旦終わったら、試しに摺ってみて、細かい部分の線の具合を確認します。試し摺りを見ながら微修正を加えます。

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雲や波しぶきなど輪郭線に入らない部分も色板制作時にあたりが必要となるため、版下制作時に写しておいて一旦は彫り、色板用の原稿を作ったのちに削り取ります。これを"無駄彫り"といいます。

2017.8.17


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