マガジンのカバー画像

テュル活マガジン

736
テュル活とは、テュルク的活動のこと。「日常に、ほんの少しテュルクがあると、少しだけ幸福感が増す。」という趣旨でやっている、趣味と実益を兼ねたライフスタイルともいえましょう。 こ…
運営しているクリエイター

2021年5月の記事一覧

アンカラの古書店で出会った『大辞典』

アンカラの古書店で出会った『大辞典』

日本で最初にトルコ語の辞典が公刊されたのは、1936年のことでした。

トルコ共和国が成立したのが1923年、ラテン文字が採用されたのが1928年ですから、まだラテン文字表記になってそれほど年数がたたないうちに日本語との対応辞書が完成していたことになります。冷静に考えたらすごいことかもしれない。

公刊された1936年は、年号だと昭和11年になるのだそうで、戦前にはひとまず日本語-トルコ語、トルコ

もっとみる
一度書き上げたと思ったらそれで完成というわけではないから現世はきびしいですよね

一度書き上げたと思ったらそれで完成というわけではないから現世はきびしいですよね

昨日、某所で(といってもオンラインですが)担当していたアゼルバイジャン語の講座が一段落しました。ここ数年とりかかっていた自前の教科書を使いながら、あるいは別に用意していた練習問題を使いながら、なんとか自転車操業に一段落がついた感があります。

我ながらよくぞこなしたな、と、誰も褒めてくれないので一人ひっそりと自賛したいなと思います。

その一方で、一度完成したと思っていた教科書には、誤植とエラー、

もっとみる

黒田龍之助さんはやっぱうまいな、と再確認するの巻

媒体の是非は別にしまして、最近ウェブに書いたものについてリアクションをもらうことがけっこうあります。

リアクションをいただくということは、素直にうれしいものです。改めてアウトプットというのはやってみるものであるな、とその恩恵を噛みしめます。

河合塾で現代文の講師をつとめていらっしゃる小池陽慈先生からnote, Twitter両方でリアクションをいただけたのは、最近数少ないうれしかったこと(本当

もっとみる
アンカラで食べる「中央アジアめし」

アンカラで食べる「中央アジアめし」

久しぶりのアンカラ滞在期のテーマを一つ。今回は「外食」です。なかでも、トルコ料理ではなく、中央アジアの食事について。

当時トルコに滞在していましたから、当然のごとくトルコの料理を食べる機会が特に外食の機会としては圧倒的に多かったのですが、やはり毎回続いてしまうと飽きてしまうのが人間というものです。

それで、目先を変えてみようというので、中央アジア系の料理を出す店によく行っていました。アンカラは

もっとみる
トルコ語もぜひ初等教育で利用してほしい

トルコ語もぜひ初等教育で利用してほしい

今日は、ふと目に入った記事から。

こういう試みは、立場的にも大変ありがたい。先生ブラボー。どんどんやってください…と言いたいところです。

なんせ、世界に言語がどれほどたくさんあるかっつう話なんですよね。
英語も楽しいでしょうが、他にもいろんな言語があるということを、今特に多言語環境にいるわけではないという生徒さんたちにもこういう形で示せるというのはとてもよいことだと思います。

文法が暗記項目

もっとみる
トルコ語の書籍をどうやって手に入れているか

トルコ語の書籍をどうやって手に入れているか

テュルク諸語の文献は集めようと思っても多すぎてキリがない。これはテュルク諸語に限らずあてはまる話なので、多くの人にご理解いただけるかと思います。我々にとっては文献の収集は半分は仕事で、半分は趣味でもあるというか。物事にはなかなか明確な境界線が引けないということはありますよね…。

さて、今日のお題は、そのテュルク諸語の文献で、市販で手に入るものをどうやって探しているかという話。これはもちろん、いろ

もっとみる
洋書は高いが役に立つ(という願望を込めて)

洋書は高いが役に立つ(という願望を込めて)

世の中、必要な本というのは日本語で書かれているものだけではない…ということで、こちらは自腹で買うほかありますまい。

Johanson (2021) Turkic (Cambridge Language Surveys). Cambridge: Cambridge University Press.

チュルク語学といえばこの人、というくらいの人(その筋では知らない人はいないのだ!)Lars Jo

もっとみる

自分ははたして「三つの条件」をクリアしているのだろうか:千野栄一『外国語上達法』の内容が怖くて泣いちゃった件

たしか、この本を初めて目にしたのは高校の図書室だったような気がします。これで高校生の当時は勇気をもらった気がして、大学でトルコ語をやるために英語をがんばろう、と思った…のだと思います。中身までちゃんとは覚えていないですが。

先日、再び欲しくなって買い直した千野栄一 (1986)『外国語上達法』を何の気無しにぱらぱらと読んでいたら、怖いことが書いてあるではありませんか。

「教師」の章。よい語学教

もっとみる
教科書の出来は、使ってみなきゃわかりませんね

教科書の出来は、使ってみなきゃわかりませんね

数年前からちょっとずつ作っていた、自前のアゼルバイジャン語の教科書。いちおうパイロット版が出来上がってはいまして、とある場所で実践として使わせてもらう機会を得ています。

アゼルバイジャン語話者のチェックも入れているので、エラーはだいぶ減っただろうと思っていたのですが、自分で使ってみると意外に内容上の「抜け」があることに気づきます。タイポはやっぱり残っているし…

見出し写真に写っているタイトル名

もっとみる
実際の音声に親しもう: 『赤ずきんちゃん』はアゼルバイジャン語で何と言う?

実際の音声に親しもう: 『赤ずきんちゃん』はアゼルバイジャン語で何と言う?

アゼルバイジャン語をある程度勉強した人、またはトルコ語の勉強に相当時間をかけてきて、それなりに聞き取りに自身のある人、気分転換にアゼルバイジャン語の子供向け物語コンテンツを聴いてみませんか?

例によって、トルコ語とどれくらい似ていて、どれくらい違うのかがアゼルバイジャン語の話ではしばしば話題に上がります。とりあえず、上記チャンネルが提供しているお子様向け昔話など聴いてみましょう。どれくらいわかる

もっとみる
トルコ語をサボらないために

トルコ語をサボらないために

当たり前のことですが、トルコ語は自分から積極的に触れていかないと忘れます。とはいえ、ご当地に在住していた頃ならともかく、日本に帰ってきてからはやはり普段から能動的にトルコ語に触れておかないといけない。

これは、トルコ語の授業をやっていれば大丈夫でしょうと思う方もいらっしゃる方もいるかもしれませんが、そうはいかないところがこの世のきびしいところ。

語学のクラスでは、もちろんレベルにもよるのですが

もっとみる
『ホジャの昔話』より:「ネコはどこへ行った?」

『ホジャの昔話』より:「ネコはどこへ行った?」

ナスレッディン・ホジャとは私は実際に目にしたことはないのですが、『ホジャの笑い話』ということで、学校の教科書に笑い話が載ったことがあるのだそうですね。ということで、意外な人が知っているトルコの有名な説話。

ホジャは、トルコでは「ナスレッディン・ホジャ」(Nasreddin Hoca)という名前で呼ばれています。

笑い話というかオチのある話ということで、トルコ語ではfıkraというジャンルに相当

もっとみる