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会計学の基礎

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2020年6月の記事一覧

金融商品会計基準(前編):昭和は遠くになりにけり、思い出されるバブルの記憶

今回の内容は、金融商品会計の話です。

時価といえば、金融商品といってもよいかもしれません。つまり、時価という考え方が一早く取り入れられたのが金融商品でもあります。また証券市場の発展、投資信託などの金融商品の開発に伴い、その測定方法について常に議論される対象にあります。そのお話をしたいと思います。難易度はかなり高い部類ですが、大枠を理解してもらうことに注力してます。

そう、日本の金融商品の時価の

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『財務会計は公益のためにある』~学生からの質問に答える~

『財務会計のどこがポイント、大事なところなんですか?』

学生にこう聞かれました。

いい質問だな・・・と思いました。

そういえば、こちらにもまとめてました。

読み返してみると自分が当時考えていることがわかりますね。

ですが、今、はっきりとわかってきたのは、

『財務会計は公益のためにある』

ということです。

公益(パブリックインタレスト)は、「社会一般の利益。公共の利益」、ですね。

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概念フレームワーク、企業会計原則の意義

概念フレームワーク、企業会計原則の意義

1.企業会計制度全体を意識する総論の重要性を最近感じています。時に盛り上がりすぎて、個別の議論ばかりに終始しがちな私ですが、常に企業会計制度全体を意識して話をすることの重要性を感じています。

そのために、まず重要になるのは概念フレームワーク、企業会計原則を理解すること、ですね。

というのも会計基準は複雑化しています。そうした中で元となる考え方、基本を押さえておくというのが勉強、理解の近道になり

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資産除去債務(後編)IFRSと日本基準適用企業の事例をみてみよう

資産除去債務(後編)IFRSと日本基準適用企業の事例をみてみよう

資産除去債務の基本的な考え方、会計処理について理解を深めてきました。ここで事例にいきたいと思います。

考え方、会計処理が分かったとしても実際の企業の事例を見ていないと面白くありませんし、実践的でありません。企業の処理および開示事例をみて理解を深めることが大事です。

会計学の学習においてはこうした図が大事であると思っています。

各論を触れた後に、実際の事例を通じて理解を深めていく、イメージを固

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資産除去債務(前編)企業が求められている環境債務が分かる

資産除去債務(前編)企業が求められている環境債務が分かる

1.資産除去債務:固定資産の処分・除却に関する費用のれんを含む減損の話は、かなりダイナミックな話ですが、地味ですが、大事なお話にも触れたいと思います。

資産除去債務、です。

資産除去債務とは何ぞや?

いわゆる固定資産の取得、建設、開発、使用によって生じうる、将来発生する可能性のある除去(資産を取り除く際に発生する)に関連する将来債務のことです。

私はこう見てても負債の研究家!です。

保険

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物流を制するものがwithコロナの経済を制する?:昨今の宅配動向、日本郵便、ヤマトの決算分析

物流を制するものがwithコロナの経済を制する?:昨今の宅配動向、日本郵便、ヤマトの決算分析

1.ステイホームを支えている物流網物流を制するものがwithコロナの経済を制する、とまで言うと大げさかに聞こえるかもしれません。

しかしながら、まだ緩やかなステイホームの中で物流関係が重要になってくるのは間違えないでしょう。

こちら「新しい生活様式」です。こちらに買い物「通販も利用」と書いていますね。これみたときに、今でさえ、宅配業界の人たち大変なのに…と思いました。コロナ禍での緊急事態宣言中

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プロキシ―ファイト(委任状争奪戦)に注目:株主総会シーズンの楽しみ方

プロキシ―ファイト(委任状争奪戦)に注目:株主総会シーズンの楽しみ方

株主総会のシーズンに突入しました。

さて、そのシーズンの最高の楽しみ方があります。

まずは株主総会の情報、報道に注目してみましょう。

株主総会は基本的にあらかじめ発表された決算発表をもとに必要な議決を行う場(決算説明も含めて)です。

なので、株主の前でどういうメッセージを伝えるのか?

が注目されるポイントですね。

トヨタ自動車はすでに株主総会を終えました。

かんぽ生命は、お詫びメイン

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「なぜ」を大事に:資格試験勉強と実際の会計処理の隙間を埋める~割引率を事例に~

「なぜ」を大事に:資格試験勉強と実際の会計処理の隙間を埋める~割引率を事例に~

今、財務会計論の授業では資格試験(税理士試験、公認会計士試験、簿記1級相当)も意識して、授業をやっています。

その中で気づくことは、

資格試験の問題は、簿記系の問題であれば、会計処理の流れを理解することに重きを置いているため、現実の会計処理で考えなければならないところが省かれていることが多い、ということです。

例えば、減損では、割引率○%、将来キャッシュフローは以下の通りである○○万円という

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キャッシュを指標に経営を行うAmazon:耐えて耐えて急成長。

キャッシュを指標に経営を行うAmazon:耐えて耐えて急成長。

1.ネット界に君臨するAmazonAmazonはもはや単なる本の通販の会社ではないですね。

巨大な配送システム、そしてユーザーインターフェースに優れたプラットフォーム(WEBサイト)を構築し、今や世界で知らぬ者のない企業になったと言えます。

GAFAの一角(google, Apple, Facebook, Amazon)。

まぁ時々、某漫画にちなんでネット界の四皇なんて言う人もいるといますが

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決算発表は、最初に出てくる数値に着目しよう。

決算発表は、最初に出てくる数値に着目しよう。

決算発表を色々見ていると気が付くことがあります。

任意の開示情報だけに企業がこの情報を見て欲しい!というところが最初に強調されていることですね。

例えば、自動車メーカーはどの企業も販売台数の情報から入ってますね。売上、利益などの情報は次の載っています。

KPI(Key perfomance Indicator:KPI)、つまり、その企業がどの指標に基づいて活動をしているかを示す指標、のことで

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