上野裕和

将棋の棋士です。将棋の上達に役立つ文章をのんびり書ければと思っています。note初心者…

上野裕和

将棋の棋士です。将棋の上達に役立つ文章をのんびり書ければと思っています。note初心者なのでいろいろ教えてもらえると助かります。

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【六枚落ちマニュアル】総目次

六枚落ちマニュアルの総目次です。 ◆六枚落ちマニュアル、書き始めます ◆六枚落ちマニュアルを書く理由 【第1部 六枚落ちの基本】 第1章 六枚落ちの基礎知識 第2章 六枚落ちの下手の方針 第3章 上手はどんな方針で指すか(あくまで上野の場合) 【第2部 六枚落ちの定跡】 ◆第2部の概要 (第2部第1章 スズメ刺し) 第1節 スズメ刺しの基本 第2節 スズメ刺し定跡 基本図までの手順 第3節 スズメ刺し定跡 ステップ1 第4節 スズメ刺し定跡 ステップ2ー1 第5節 ス

    • 【六枚落ちマニュアル】第2部第4章第1節 三間飛車定跡の基本

      (六枚落ちマニュアル総目次はこちら) ◆本節では、三間飛車定跡の基本を解説します。 1,三間飛車定跡って何ですか? 三間飛車基本図のように、平手と同じように三間飛車に組む定跡です。 2,三間飛車定跡はどれくらい指されている? やはり六枚落ちではスズメ刺しと9筋攻めが多く、それほど指されていません。しかし、平手で三間飛車を指す方は多いので、定跡があれば指したい、という方はいらっしゃると思います。 3,三間飛車定跡はどれくらい本で解説されている? ほぼ解説されていま

      • 【六枚落ちマニュアル】第2部第3章第14節 棒銀定跡 ステップ4-5

        ◆本節では、棒銀定跡ステップ4-5を解説します。これでステップ4が完了します。 前回ステップ4-4では、下手が▲2二角成と角を切って上手が△同玉と取ったところまでを解説しました。 ではこの145図から再開します。ここから、下手が一気に上手玉を寄せます。その手は▲1三桂成!(146図)です。 なんと桂を玉で取られるマスに飛び込んでしまうのがこの場合の好手なのです。これに対して本手順は△3二玉と逃げる手ですが、△同玉(参考145図)と取ったらどうなるかを解説します。 下手は

        • 【六枚落ちマニュアル】第2部第3章第13節棒銀定跡 ステップ4-4

          ◆本節では、棒銀定跡ステップ4-4を解説します。 前回のステップ4-3では、上手が△2三銀と補強したところまで解説しました。 さて、このてごわい△2三銀に対してどう攻めるか。今回は桂を使う新しい攻め方を解説します。まずは▲2五歩(136図)と合わせます。 この▲2五歩は「合わせの歩」です。攻撃開始の時にも指したので、2度目ですね。その時は▲3六銀がいて、銀を前進させる目的だと分かりましたが、今回は違う狙いです。 上手は△同歩(137図)と取ります。 ここで普通なら▲同飛

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        【六枚落ちマニュアル】総目次

        • 【六枚落ちマニュアル】第2部第4章第1節 三間飛車定跡の基本

        • 【六枚落ちマニュアル】第2部第3章第14節 棒銀定跡 ステップ4-5

        • 【六枚落ちマニュアル】第2部第3章第13節棒銀定跡 ステップ4-4

          【六枚落ちマニュアル】第2部第3章第12節棒銀定跡 ステップ4―3

          ◆本節では、棒銀定跡ステップ4-3を解説します。 127図は、下手が▲2五歩と合わせた歩を取らず、上手が△4四歩と工夫をした局面です。ステップ4―3では、ここからの攻め方を解説します。 上手が▲2五歩を取らなかったのですから、下手から▲2四歩(128図)と取りこみます。 上手は△同金(129図)と取ります。 さて、129図で下手は以下の二つの攻め方があります。 1)▲1四歩(1筋から攻める) 2)▲2五銀(推奨・守りの金との交換を目指す) 実は、この二つはどちらも有力

          【六枚落ちマニュアル】第2部第3章第12節棒銀定跡 ステップ4―3

          【六枚落ちマニュアル】第2部第3章第11節棒銀定跡 ステップ4-2

          ◆本節では、棒銀定跡ステップ4-2を解説します。 125図は、下手の攻撃態勢が整った局面です。ここから2筋、そして1筋を破ります。 では攻撃を開始しましょう! まずは▲2五歩(126図)です。 この▲2五歩は「合わせの歩」です。攻め駒を前進させるための基本手筋です。そしてここが上手にとっての岐路です。以下の二つの選択肢があります。 1)素直に応じる△同歩 2)取らずに△4四歩(本手順) このステップ4-2では、上手が素直に△同歩(参考83図)と取った場合の攻め方(上手陣を

          【六枚落ちマニュアル】第2部第3章第11節棒銀定跡 ステップ4-2

          【六枚落ちマニュアル】第2部第3章第10節 棒銀定跡 ステップ4-1

          ◆本節では、棒銀定跡ステップ4-1を解説します。 いよいよ、棒銀定跡もステップ4を残すのみとなりました。このステップ4は上手が工夫をして、下手にこれまで通りの攻めを指せない形に組みます。 ステップ4基本図は上手が△2三金と上がった局面です。ただし、いきなりこの局面だと何がどうなったのか分からない方も多いと思います。そこで少し前の7図から解説しましょう。 7図は初手から7手目の局面で、今△3二金と上がって2筋の攻めに備えたところです。この六枚落ちの棒銀は、2筋ではなく1筋

          【六枚落ちマニュアル】第2部第3章第10節 棒銀定跡 ステップ4-1

          【六枚落ちマニュアル】第2部第3章第9節 棒銀定跡 ステップ3-3

          ◆本節では、棒銀定跡3-3を解説します。これでステップ3が完了します。 それでは、下手が「▲3四と」と指した97図から解説を再開します。ここで上手が△7四玉と指しても、下手の成香+と金の攻めを防げないことをステップ3-2で解説しました。そこで上手は△6六歩(98図)と反撃します。 またまた「歩と歩がぶつかった局面」です。ただし今回は、下手がこの歩を取らなければ上手に△6七歩成で「と金」を作られてしまいます。そうなると被害が大きいので▲同歩(99図)と取ります。 上手はさ

          【六枚落ちマニュアル】第2部第3章第9節 棒銀定跡 ステップ3-3

          【六枚落ちマニュアル】第2部第3章第8節 棒銀定跡 ステップ3-2

          ◆本節では、棒銀定跡ステップ3-2を解説します。 あらためて82図です。前回ステップ3-1では、82図で「▲2二と」「▲1八飛」「▲5六歩」の3つを解説しました。それでは本命の▲1三香成(83図)の解説に入ります。 この▲1三香成は、成香を攻めに加える手です。最初、この手はあまり本命視していなかったのですが、考えていくうちに遅いように見えてスピードの速い手であることが分かりました。 上手は△5四金(84図)と上がります。 この△5四金は5五の歩を守り、△6四銀を攻めに使

          【六枚落ちマニュアル】第2部第3章第8節 棒銀定跡 ステップ3-2

          【六枚落ちマニュアル】第2部第3章第7節 棒銀定跡 ステップ3-1

          ◆本節では、棒銀定跡ステップ3―1を解説します。 ステップ2が終わり、今回からステップ3に入ります。ステップ3基本図は、下手が1筋から攻めた手に対して上手が△5五歩と下手の角の利きを止めた局面です。駒落ち全般で、こうして角の利きを止める指し方は多く、下手にとって手ごわいです。 では進めましょう。△5五歩と角の利きを止められても、下手の攻め方は基本的に同じです。ステップ3基本図では▲2二成銀(77図)と銀を取ります。 上手は△同金(78図)と取ります。 下手は事前に打っ

          【六枚落ちマニュアル】第2部第3章第7節 棒銀定跡 ステップ3-1

          【六枚落ちマニュアル】第2部第3章第6節 棒銀定跡 ステップ2-3

          ◆本節では、棒銀定跡、ステップ2-3を解説します。これでステップ2が完了します。 さて、上手が△7六歩と取りこんだ55図から再開します。ここでの下手のうまい攻め手順、それは▲4三と(56図)と捨ててしまう手です。 4三のマスは玉と金の2枚で守られており、竜+と金の2枚だけでは突破できません。もちろん上手は△同金(57図)と取ります。 この「▲4三と」は、数の攻めで考えれば失敗です。しかしここで▲4四銀!(58図)が必殺の手筋です。 この▲4四銀は竜の利きと角の利きを生

          【六枚落ちマニュアル】第2部第3章第6節 棒銀定跡 ステップ2-3

          【六枚落ちマニュアル】第2部第3章第5節 棒銀定跡 ステップ2-2

          ◆本節では、棒銀定跡、ステップ2-2を解説します。 前節ではこの△5三玉と上がった局面で、「▲2二成銀」「▲1二成銀」「▲1八飛」の3つを解説しました。 それでは本手順の▲1四歩(44図)の解説に入りましょう。 この▲1四歩はちょっと珍しい手です。垂れ歩…と言っても1三には成銀がいるのですぐにと金は作れません。また1三の成銀はすでに▲1九香が支えていますので、1三成銀を守る意味でもなさそうです。 説明すると、この▲1四歩はやはりと金を作る狙いです。 さて、今後は上手に選択

          【六枚落ちマニュアル】第2部第3章第5節 棒銀定跡 ステップ2-2

          【六枚落ちマニュアル】第2部第3章第4節 棒銀定跡 ステップ2-1

          ◆本節では、棒銀定跡ステップ2―1を解説します。 ステップ2基本図は、下手が▲1四歩△同歩▲同銀と攻めた時に、上手が受けずに△6四銀と上がった局面です。 さあ、ここから攻めていきましょう。まずは▲1三銀成(42図)です。 成銀を、後ろにいる香が支えていますから、上手が△同銀と取っても▲同香成で1筋を突破できます。そこで上手は△5三玉(43図)と上がります。 今回は、この局面からどうやって攻めるのかをテーマとして考えます。以下の4つを順番に解説します。 1)▲2二成銀(銀

          【六枚落ちマニュアル】第2部第3章第4節 棒銀定跡 ステップ2-1

          【六枚落ちマニュアル】第2部第3章第3節 棒銀定跡 ステップ1

          ◆本節では、棒銀定跡ステップ1を解説します。 ではあらためて、この六枚落ちの棒銀の攻め方を確認します。棒銀は通常2筋を狙う作戦ですが、今回の場合は2筋の守りが堅いため、1筋を狙います。攻める駒は「歩+銀+香」です。(この順番はちゃんと意味があります) そして、まずは「1四」のマスを破り、次に「1三」のマスを破ります。 というわけで、下手は▲1四歩(25図)で攻撃開始です。 上手は△同歩(26図)と取ります。 そして、この局面が重要です。次の3つの選択肢があります。 1)

          【六枚落ちマニュアル】第2部第3章第3節 棒銀定跡 ステップ1

          【六枚落ちマニュアル】第2部第3章第2節 棒銀基本図までの手順

          ◆本節では、棒銀基本図までの手順を解説します。 では、棒銀定跡スタートです! 初形図から基本図まで進めましょう。初手はおなじみの△4二玉(1図)です。 この△4二玉は、居玉を避け、3三のマスなどを守っています。 下手(したて)は▲7六歩(2図)と突きます。 初手はやはり▲7六歩を推奨します。角が一気に使いやすくなるので、▲2六歩よりも価値が高いです。▲2六歩はその一手だけでは大きな成果はなく、次に▲2五歩と突いてこそ大きな意味を持ちます。(なお、このあたりは指し手の順番

          【六枚落ちマニュアル】第2部第3章第2節 棒銀基本図までの手順

          【六枚落ちマニュアル】第2部第3章第1節 棒銀定跡の基本

          (六枚落ちマニュアル総目次はこちら) ◆本節では、棒銀定跡の基本を解説します。 今回から新章「棒銀定跡」がスタートです。 1,棒銀定跡って何ですか? 棒銀定跡とは、棒銀基本図(↑)のように▲2五銀と配置して▲1四歩から攻める作戦です。 通常、棒銀とは▲2六銀の形から▲1五銀、あるいは▲3五銀と出る形を指します。しかしその攻め方では上手陣を破れないので、このように工夫して攻めます。なぜこうした攻め方をするのか、簡単に説明しましょう。 A図は普通の棒銀で攻める一例です

          【六枚落ちマニュアル】第2部第3章第1節 棒銀定跡の基本