【六枚落ちマニュアル】第2部第5章第6節 四間飛車定跡 ステップ2-2

◆本節では、四間飛車定跡ステップ2―2を解説します。

前回のステップ2-1では、上手が△3三玉と逃げた69図まで解説しました。この局面は下手が攻めているのですが、よく見ると△9六歩があり角取りがかかっています。そこで角を逃げつつ▲5三角成!(70図)が強烈な攻めです。

この▲5三角成は駒損を覚悟で一気に攻め切る狙いです。上手は△同銀(71図)と取るよりありません。

下手はもちろん▲同飛成(72図)と取ります。

これで下手は角銀交換の駒損ながら、一気に飛車を成りこむことができました。しかも次の下手の手番で▲4三竜と銀を取る手を狙っています。
上手は△3四銀打(73図)と受けます。

この△3四銀打で△4三銀にひもをつけ、▲4三金なら△同銀と取れるようにしました。さて、ここは下手の岐路です。
1)▲4三金(本手順・一気に攻める)
2)▲3二銀(攻め駒を増やす)
上記、どちらも良い手です。1)▲4三金はのちほど解説しますので、先に2)▲3二銀(参考38図)と攻めたらどうなるかを解説します。

▲3二銀に代えて▲5二銀や▲5四銀もほぼ同じ意味です

この▲3二銀もとても良い手です。上手は△4三銀が金縛りで動けず△同銀と取れませんし、4三に利く駒の数を増やし、次の下手の手番で▲4三銀成△同銀▲同竜の攻めを可能にしています。ただし、△6一角(参考39図)と受ける手があります。

この△6一角は4三に利かし、下手の数の攻めを防ぐ手です。この角はただ4三のマスを守るためだけの手なので、下手優勢は間違いありません。ただし、こうした粘りに下手が間違えてしまうこともあるので、▲4三金の方を本手順としました。では73図に戻ります。

あらためて73図。
本手順の▲4三金(74図)の解説に進みます。

この▲4三金は一気に攻め切ろうという手です。
上手はもちろん△同銀(75図)と取ります。

ここで下手は、上手の銀を狙うなら▲5四銀と打つ手も良い手です。しかしこの局面ではもっとスピードのある攻めがあります。▲4二銀(76図)です。

この▲4二銀は玉を狙うというより、上手の玉と銀を引き離そうとする手です。▲4二銀に△2二玉や△2三玉と逃げれば下手は▲4三竜と銀を取る手が可能になります。よって上手は銀を守りつつ玉を逃げる「△3四玉(本手順)」「△3二玉」があります。では先に△3二玉(参考40図)を解説します。

この△3二玉なら、下手は依然として△4三銀を取ることができません。(ここで▲4三竜なら△同玉で失敗)そこでさらに▲3三銀打(参考41図)と王手を続けます。

上手は2一か2三に玉を逃げるしかありません。どちらもほぼ同じ結果になるので△2三玉(参考42図)と逃げてみます。

これでようやく下手は▲4三竜(参考43図)と銀を取ることができました。

今の手順は、玉を狙うというよりも王手をかけ続けて玉を銀と引き離し、銀をただ取りするのが真の狙いでした。参考43図は下手勝勢です。
では76図に戻ります。

あらためて76図。
では本手順の△3四玉(77図)の解説に進みます。

△3四玉と逃げられると、△3二玉の時よりも王手がかけにくいです。
しかし、ここで寄せの手筋があります。▲2三銀(78図)です。

この▲2三銀は「送りの手筋」です。ただで取られてしまう代わりに、上手の玉と銀を引き離し、上手の銀をただ取りする狙いです。
上手は△同玉(79図)と取ります。

下手はもちろん▲4三竜(80図)と取ります。

上手の玉を追い詰め、あと一歩です。ここで上手は玉を逃げるマスが4つあります。
1)△2四玉
2)△1四玉
3)△2二玉
4)△1二玉(本手順)
結論から言えば、どこに逃げてもすべて詰みになります。では1)△2四玉(参考44図)から。

この△2四玉には▲1五銀(参考45図)と打てば詰みです。

もし△2四玉に代えて2)△1四玉と逃げても▲1五銀で詰みです。
次に3)△2二玉(参考46図)はどうか。

この△2二玉に対しては▲3三竜(参考47図)と攻めるのが良いでしょう。

▲3三竜に代えて▲3三銀成や▲2三銀も良い手です

ここでも玉の逃げるマスは3つあります。その中で「△1二玉」は本手順とほぼ同じになるので「△1一玉(参考48図)」を解説します。

△1一玉に代えて△2一玉もほぼ同じ詰みです

この△1一玉には▲2二銀(参考48図)と攻めるのが良いです。

上手は△1二玉(参考50図)と逃げる一手です。

ここで▲1三竜(参考51図)で見事詰みです。

▲1三竜に代えて▲1三銀成も良い手です

銀と竜の良いコンビの詰みでした。
一通り解説したので、80図に戻ります。

あらためて80図。今解説したことをまとめます。
1)△2四玉と2)△1四玉は▲1五銀で詰み。
3)△2二玉は▲3三竜以下詰み。
では、本手順の4)△1二玉(81図)の解説に進みます。

この△1二玉を見て「一間竜」が思い浮かんだ方は素晴らしいです。そう、▲3二竜(82図)が一間竜を見据えた好手です。

この▲3二竜に対して△1一玉と逃げれば▲1二銀で詰みです。よって上手は2二に合駒をするしかありません。結論としてはどの駒を打っても同じなのですが、ここは△2二銀(83図)と打ってみます。

この「竜+駒+玉」の並び。▲2三銀(84図)と打ちます。

この▲2三銀が「一間竜」の手筋です。上手はこの銀を「△同銀」「△同玉」といずれも取れないことを確認してください。
一間竜に慣れてくると、▲3二竜と指した時点でこの▲2三銀がセットで思い浮かぶようになります。
上手は△1一玉(85図)と逃げる一手です。

ここで▲2二銀成(86図)で詰みです。

▲2二銀成に代えて▲2二竜でも詰みです

ステップ2は以上です。
上手の△6二銀という工夫した受けに対して、下手も▲5八飛と攻める筋を切り替える工夫で見事に上手陣を突破することができました。
次回は「四間飛車定跡ステップ3-1」です。

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