【六枚落ちマニュアル】第2部第5章第7節 四間飛車定跡 ステップ3-1

◆本節では、四間飛車定跡ステップ3-1を解説します。

あらためて、四間飛車基本図です。ここで上手が△4三金と上がる形をステップ1および2で解説しました。
ステップ3と4では、ここで△5三金(87図)と上がる形を解説します。

この△5三金は6筋の守りを強化した手です。さらに△4三玉と玉自ら前線で受ける手も可能にしています。下手はいつもの▲6六銀型を作りましょう。その前にまず▲1六歩(88図)と突きます。

この▲1六歩は終盤における▲1七玉という手を可能にした、とても価値が高い手です。上手は△3五歩(89図)と突きます。

銀や金をまっすぐ上がる手を「立つ」と言うことがあります

この△3五歩は将来△3六歩で美濃囲いを縦から攻める狙いです。また△3四銀と立つ形も可能にしています。下手は▲6六銀(90図)と上がります。

この▲6六銀型は攻撃力の高い形です。
上手は△8四歩(91図)と突きます。

この△8四歩は将来△8五歩と突くための準備の手です。下手は▲5六歩(92図)と突きます。

この▲5六歩は▲5五歩と攻めるための準備の手です。上手は△4三玉(93図)と上がります。

この△4三玉は玉自ら4筋や5筋の攻めに備える手です。ちなみに、駒落ちにおいては上手が玉を三段目に上がり、こうして玉自ら守るケースは多いです。下手は▲4七金(94図)と上がります。

これで下手は「高美濃囲い」が完成です。略して「高美濃」と呼ばれることが多いです。
さて、ここが上手の岐路です。以下の2つの選択肢があります。
1)△2四歩(ステップ3の本手順)
2)△3四銀(ステップ4基本図)

1)△2四歩をすぐに解説しますので、2)△3四銀(ステップ4基本図)だけ示しておきます。

この△3四銀は3筋と4筋の攻めに備えた手です。
では2)△2四歩(95図)の解説に進みましょう。

この△2四歩は将来△2五歩と突き、下手の高美濃囲いを2筋から攻めるための準備の手です。
そして今後は下手の岐路です。以下の2つの選択肢があります。
1)▲9六歩(▲9七角型で攻める狙い)
2)▲5五歩(一歩交換する狙い)
結論から言えば、ステップ1と2で解説した▲9六歩から▲9七角型を作って攻める指し方は、今回は成功しません。よって2)▲5五歩からの手順を本手順としますが、なぜこの形で攻めが成功しないのかを知ることも大事です。そこでまずは1)▲9六歩(参考52図)を解説します。

この▲9六歩は▲9七角の活用を可能にする手です。
上手は△8五歩(参考53図)と突きます。

この△8五歩は平手なら飛車と協力した自然な手です。六枚落ちでは飛車がいないのでそれほど怖くありません。下手は▲9七角(参考54図)と上がります。

この▲9七角は6四や5三のマスをにらんだ良い形です。上手は△9四歩(参考55図)と突きます。

この△9四歩は将来△9五歩と角頭を攻める手を可能にする手です。下手は▲7七桂(参考56図)と跳ねます。

この▲7七桂は、今は実現しませんが6筋を攻める際に▲6五桂と跳ぶ手を可能にする攻めの準備の手です。なお、次の下手の手番で▲8五桂と跳ねれば上手の歩を取ることができますが、△8四銀と上がられてあまり得ではありません(このあたりはステップ1-1で解説しました)。
上手は△2五歩(参考57図)と突きます。

この△2五歩で、将来△2六歩から2筋を攻める手を可能にしました。
さて、それではステップ1および2と同じように▲5五歩(参考58図)と突いて攻めてみましょう。

上手は素直に△同歩(参考59図)と取ります。

下手はもちろん▲同銀(参考60図)と取ります。

上手は下手の銀を引かせたいので△5四歩(参考61図)と打ちます。

さて、参考61図。
ここで下手は▲6六銀と引けば無難ですが、これでは攻めが成功とは言えません。よって▲6四歩(参考62図)と攻めます。

この局面で、ようやく△4三金型と△5三金型の違いが現れます。現在、6三のマスを△7二金と△5三金の2枚で守っているので、ここで上手は△5五歩(参考63図)と銀を取ることができるのです。

もし上手の△5三金がいなければ下手は▲6三歩成と攻めることが可能でした。しかし参考63図では▲6三歩成と攻めても△同金上で失敗です。
でもまだ諦めるのは早いです。▲6五桂(参考64図)と攻めます。

この▲6五桂は金銀の両取りです。上手は△6四銀(参考65図)と逃げます。

△6四銀に代えて△6四金と金の方を逃げる手もあります

下手はもちろん▲5三桂成(参考66図)と金を取ります。

上手も自然に△同銀(参考67図)と桂を取り返します。

さて、戦いが一段落しました。
駒の損得を考えると、下手は金を取ったものの銀と桂を取られているので駒損です。そして△5三銀や△7二金が6筋を守っており、上手陣を突破するのは容易ではありません。
以上、△5三金型は6筋の守りが強く、ステップ1と2で指した攻め方は通用しないことが分かりました。
では95図に戻ります。

あらためて95図。
ステップ3-1は以上です。
次回「四間飛車定跡ステップ3-2」では、95図から▲5五歩と突く攻め方を解説します。


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