【六枚落ちマニュアル】第2部第5章第12節 四間飛車定跡 ステップ4-3

◆本節では、四間飛車定跡ステップ4-3を解説します。

前回ステップ4-2では、上手が△3四同玉と銀を取った150図まで解説しました。では続きを。
その前に、この局面では次の上手の手番で「△5七銀」と打つ手に注意する必要があります。この△5七銀は飛車金両取りの厳しい手ですから、これが決まって飛車と金どちらかをただで取られるといっぺんに下手が不利になります。それを踏まえた上で、ここは▲3六歩(151図)と攻めるのが好手です。

この▲3六歩は上手玉を狙った攻めです。本手順では上手が「△同歩」と取るのですが、ここで先ほどの△5七銀(参考125図)と打たれたらどうすればよいかを考えます。

飛車と金の両取りがかかりました

この△5七銀は先ほど説明したように「飛車金両取り」です。しかし、ここで▲3五金(参考126図)が好手です。

この▲3五金は「王手をかけながら金を逃げた手」です。上手は△4三玉(参考127図)と逃げます。

下手はまず金を逃げることに成功したので、次に▲6七飛(参考128図)と飛車を逃げます。

これで、△5七銀の飛車金両取りの局面から、その両方を逃げることに成功しました! このように、王手をかけつつ狙われた駒を逃げるのは一つの手筋です。では下手が▲3六歩と突いた151図に戻ります。

あらためて151図。上手は△5七銀と打っても成功しないので▲3六歩を△同歩(152図)と取ります。

下手は空いた3五のマスに▲3五銀(153図)と打ちます。

これで下手は「王手をかけつつ金を守る」ことに成功しました。上手は△4三玉(154図)と引きます。

これで、下手は△5七銀と打たれても、▲6九飛で飛車か金をただ取りされる心配がなくなりました。そこで▲4五歩(155図)と追撃します。

この▲4五歩は「合わせの歩」です。ここで上手には「△同歩」と玉を先に逃げる「△4二玉(本手順)」の2つの手があります。△4二玉は後ほど解説しますので、先に△同歩(参考129図)と取ったらどうなるかを解説します。

この△同歩はぶつかった歩を取る自然な手です。下手はもちろん▲同金(参考130図)と取ります。

こうなると、下手は狙い通り金を前進させることができるので成功です。よって下手が▲4五歩と合わせた155図に戻ります。

あらためて155図。
では本手順の△4二玉(156図)の解説に進みます。

この△4二玉は「玉の早逃げ」です。このタイミングで逃げる必要はないのですが、下手の攻め駒から遠ざかることは大きなメリットです。
そして今度は下手の岐路です。以下の2つの選択肢があります。
1)▲4四銀(すぐに攻める)
2)▲3六金(いったん歩を払う・本手順)
まずは1)▲4四銀(参考131図)と指したらどうなるかを解説します。

この▲4四銀は上手の△5三金にぶつけて金と銀の交換を目指す手です。ただし。この手を指してしまうと上手に△5七銀(参考132図)と打たれてしまいます。

下手の銀が3五にいれば、△5七銀と打たれても金にひもがついているので▲6九飛と逃げれば大丈夫でした。しかしその▲3五銀を動かしてしまうと△5七銀が決まってしまうのです。
では上手が△4二玉と引いた156図に戻ります。

あらためて156図。下手は攻める前に2)▲3六金(157図)と歩を払う本手順に進みます。

この▲3六金は、「下手玉の脅威となる上手の歩を払いつつ、△5七銀の両取りの狙いを消す」一石二鳥の手、将棋用語で「味がいい」手です。これで下手の形が一気によくなりました。
上手は△8五歩(158図)と突きます。

この△8五歩は上手の反撃の手です。次の上手の手番で△8六歩と突いて下手の角を攻める手を狙っています。下手は▲4四銀(159図)と攻めます。

この▲4四銀はさきほども説明した通り、上手の金との交換を狙っています。上手は素直に△同金(160図)と取ります。

ここは下手が迷うところです。▲同歩と▲同角、どちらも良い手です。本マニュアルでは、歩を攻めに参加させる▲同歩(161図)を推奨します。

このように歩で取ることで、角だけではなく歩を使って攻めることが可能になります。上手は△8六歩(162図)と突きます。

この△8六歩は上手待望の反撃です。
下手はと金を作られたくないので▲同歩(163図)と取ります。

上手は空いた8七のマスに△8七銀(164図)と打ち込みます。

これが上手の狙いの反撃です。下手は角を取られたくないのですが、ここで▲7七角や▲6六角と逃げるよりもうまい手があります。▲4三金(165図)と打つ手です。

この▲4三金は、王手をかけつつ角を成りこんでしまう狙いの手です。上手は素直に△同金(166図)と取ります。

下手はもちろん▲同歩成(167図)と取ります。

上手も△同玉(168図)と取ります。

ステップ4-3は以上です。
次回「四間飛車定跡ステップ4-4」では、ここから上手玉を詰ますまでを解説します。


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