【六枚落ちマニュアル】第2部第5章第3節 四間飛車定跡 ステップ1-1

◆本節では、四間飛車定跡ステップ1-1を解説します。
※ステップ2を作成中に上手の好手があることが分かり、このステップ1の手順を改訂します。36図で▲7五歩と仕掛ける手に代えて▲7七桂と跳ねる手順を本手順とします。

それでは、四間飛車基本図から解説します。
この局面は上手の岐路です。
1,△4三金(4筋を中心に守る)
2,△5三金(6四のマスも守る)

結論から言えば、△5三金の方が下手にとって手ごわいです。よって△5三金はステップ3、ステップ4で解説し、ステップ1とステップ2で△4三金(24図)を解説します。

この△4三金は4筋などを守る手です。
下手は駒組を続けます。まずは▲1六歩(25図)と突きます。

この▲1六歩はとても価値が高い手です。終盤で▲1七玉と逃げられるかどうかが勝敗を分けることもあります。
上手は△3五歩(26図)と突きます。

この△3五歩は美濃囲いの上部に位を取り、△3四銀と上がる手を可能にしています。下手は▲6六銀(27図)と上がります。

この▲6六銀は四間飛車の中でも攻撃力が高い形です。平手でもこの▲6六銀型はよく指されています。ちなみに、この飛車と銀の位置は居飛車の「棒銀」と似ていますね。上手は△8四歩(28図)と突きます。

この△8四歩は次に△8五歩と突いたり、△8三金と上がる手を可能にしています。下手は▲5六歩(29図)と突きます。

この▲5六歩は次に▲5五歩と突く攻めを可能にしています。上手は△2四歩(30図)と突きます。

この△2四歩は玉の逃げるマスを作りつつ、△2五歩と位を取る手を可能にしています。下手は▲9六歩(31図)と突きます。

この▲9六歩は▲9七角の活用を可能にした手です。
上手は△2五歩(32図)と突きます。

この△2五歩はいずれ下手の美濃囲いを上から攻める準備の手です。下手は▲4七金(33図)と上がります。

この▲4七金で下手は「高美濃囲い」を完成することができました。これで囲いが少し立体的になり、上手からの攻めに備えています。
上手は△8五歩(34図)と突きます。

この△8五歩は平手では普通の手です。ただし上手は飛車がいないので、下手は恐れることはありません。
下手は▲9七角(35図)と上がります。

この▲9七角は平手でも時折指されることがあります。6筋や7筋を攻める際に攻撃力が高い形です。
上手は△3四銀(36図)と上がります。

この△3四銀は金と連結しつつ、△4五歩と攻める手を狙っています。
下手は▲7七桂(37図)と跳ねます。

※最初に公開した時点ではここで▲7七桂に代えて▲7五歩と攻める手を本手順としていました。しかしその後の攻め方が難しいことが分かり、▲7七桂と跳ねる手を本手順とします。     ご了承ください。▲7五歩からの手順を覚えて頂いた方、申し訳ありません。

この▲7七桂は桂を活用し、攻撃力を高める手です。ただし、将来▲6五桂と中央に使う手を目指しており、▲8五桂と歩を取る狙いではありません。
上手は△9四歩(38図)と突きます。

この△9四歩は、将来△9五歩と攻める手の準備です。平手なら△9一香がいますので△9五歩の威力が増しますが、六枚落ちでは香がいないのでそれほど怖くありません。
これで下手の駒組みが完了しました。ここから▲5五歩と攻撃を開始するのですが、▲5五歩に代えて▲8五桂(参考1図)と攻めたらどうなるかを先に解説します。

この▲8五桂は一歩取りつつ、しかも銀取りなので好調な攻めに見えます。
上手は△8四銀(参考2図)とかわします。

この△8四銀は、銀取りを逃げつつ逆に桂取りにする好手です。下手は桂を取られたくないので▲8六歩(参考3図)と突きます。

下手は一歩得して桂を活用できました。しかし▲8六歩で自ら角道を止めてしまい、次の攻め方が難しくなりました。よってこの指し方はおススメできません。
38図に戻ります。

あらためて38図。下手は▲5五歩(39図)と仕掛けます。

上手は素直に△同歩(40図)と取ります。

下手も▲同銀(41図)と取ります。

銀が五段目に進出して、まずは下手好調です。
ここで上手の岐路です。
1)△5四歩(銀を追い払いたい)
2)△6二銀(6三を守る・ステップ2基本図)

このステップ1では△5四歩を本手順として解説します。そして△6二銀(ステップ2基本図)からの手順はステップ2で解説します。

この△6二銀は面白い手です。6四のマスを守っていた銀をあえて下がり、6筋の攻めに備える手です。
では1)△5四歩(42図)からの手順の解説を進めます。

この△5四歩は銀を追い払いたいという手です。下手が怖がって▲6六銀と引いてくれれば、下手の攻めをいったん受け止めることに成功します。よって下手は銀を逃げずに▲6四歩!(43図)が手筋の攻めです。

さて、ここがまた上手の岐路です。
1)△同歩(素直に取る・本手順)
2)△5五歩(銀を取る)
3)△5三金(6三のマスを守る)
1)△同歩はのちに解説しますので、まずは2)△5五歩(参考4図)から。

この△5五歩は銀を取る手です。下手はただ銀を取られて代償がなければ失敗ですが、この場合は▲6三歩成(参考5図)と攻め込むことができます。

下手はこれで駒損を回復できそうです。
上手は△同金(参考6図)と取ります。

下手はもちろん▲同飛成(参考7図)と取ります。

これで下手成功です。この攻めがあるので、上手は△5五歩と銀を取ることができません。再掲43図に戻ります。

あらためて43図です。
ステップ1-1は以上となります。
次回「四間飛車定跡 ステップ1-2」では、この▲6四歩の局面で3)△5三金1)△同歩を順に解説します。


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