【六枚落ちマニュアル】第2部第5章第5節 四間飛車定跡 ステップ2-1

◆本節では、四間飛車定跡ステップ2-1を解説します。

ステップ2スタートです。ステップ2基本図は上手が△6二銀と引いた局面です。この△6二銀は、もともと「6四のマスを守っていた△7三銀」を6二に引いた手です。そしてここは下手の岐路です。選択肢は2つです。
1)▲5八飛(本手順・5筋を狙う)
2)▲6四歩(予定通り6筋を攻める)
1)▲5八飛はのちほど解説しますので、まずは2)▲6四歩(参考20図)と攻めたらどうなるかを解説します。

この▲6四歩はステップ1でも指された攻め方です。
上手は素直に△同歩(参考21図)と取ります。

さて、ここも下手の岐路です。「▲同銀」「▲同角」を順番に解説します。まずは▲同銀(参考22図)から。

下手は飛車角銀を使い、自然に攻めています。しかし、ここで△6二銀と引いた意図が明らかになります。上手は△6三歩(参考23図)と打ちます。

参考23図をよく見ると、上手の金、銀、金が「5三」と「6三」のマスを守り、いずれも「攻め駒2枚対守り駒2枚」になっています。よってこれ以上銀を前進させることができず、下手は▲5五銀(参考24図)と引きます。

下手は銀を後退させられて不満な展開です。さらに上手は△5四歩(参考25図)と打ちます。

この銀取りに対しても、下手は▲6六銀(参考26図)と逃げるしかありません。

参考26図は下手が不利ではありません。しかしここまで銀を後退させられてしまうと、攻めが成功したとも言えません。参考21図に戻ります。

今度は、▲6四同銀に代えて▲同角(参考27図)と取ってみましょう。

この▲6四同角と取る手自体はステップ1でも指されています。次の下手の手番で▲9一角成を狙い、上手がそれを防いで△7三銀なら、▲同角成!△同金▲6二飛成と一気に攻めて下手優勢になります。このあたりはステップ1で解説した手順と似ていますね。
ステップ1との違いは、下手の銀がまだ5五にいて上手の銀と交換できていないことです。そこで上手は△5四歩(参考28図)と打ちます。

この△5四歩は銀取りですから、もし下手が▲9一角成と狙い通り指しても△5五歩と銀を取られてしまうので損です。よって▲6六銀(参考29図)と逃げます。

これで下手は銀を後退させられたので不満です。そしてさらに上手は△7三銀(参考30図)と上がります。

これまでの局面でしたら、この△7三銀を▲同角成と切って△同金に「▲6二飛成」と指せたのですが、参考30図では▲6六銀が邪魔をして最後の▲6二飛成が指せません。よってここでは▲同角成がうまくいかず、▲9七角(参考31図)と逃げます。

上手はさらに△6三歩(参考32図)と打ちます。

参考32図も下手が不利ではありませんが、攻めが成功しているとは言えません。以上、ステップ2基本図で▲6四歩と攻めてもうまくいかないことが分かりました。
ではステップ2基本図に戻ります。

あらためてステップ2基本図。
では本手順の1)▲5八飛(62図)の解説に進みます。

この▲5八飛は、守備力が上がった6筋から5筋に切り替えて攻める意味です。このように柔軟に飛車を動かして攻めるのが振り飛車のコツです。
62図で上手が△5四歩と打っても下手は▲同銀と数の攻めができるので△9五歩(63図)と突きます。

この△9五歩は9筋を攻めるというより、下手の角の位置を変えようという狙いです。63図ではこの△9五歩を相手にせず▲5四銀と攻める手を本手順としますが、素直に▲同歩(参考33図)と取ったらどうなるかを解説します。

この▲9五同歩はぶつかった歩を取るのですから自然な手です。そして上手は△9六歩(参考34図)と打ちます。

下手は角を取られたくないので▲8八角(参考35図)と逃げます。

参考35図も下手が不利ではありませんが、角の位置が変わり攻撃力が下がりました。よって攻めが成功とは言えません。63図に戻ります。

この△9五歩を▲同歩と取ると△9六歩と打たれてしまうので、下手は構わず▲5四銀(64図)と攻める手を本手順とします。

この▲5四銀は、下にいる飛車を合わせた数の攻めです。上手が△同金と取れば▲同飛で好調ですので、上手は銀を取らずに△9六歩(65図)と歩を取ります。

上手はやはりこの角を狙い、下に下がらせようとしています。下手としてはこの角を下がると攻撃力が落ちるので、下がらずに▲4三銀成(66図)と攻めます。

ここは上手の岐路です。「△同銀(本手順)」「△同玉」の2つの選択肢があります。では先に△同玉(参考36図)の解説から。

▲3一角成に代えて▲4二金や▲5三金も良い手です

この△同玉は、玉自ら5筋を守ろうという手です。
この局面、いろいろな手がある中で▲3一角成(参考37図)が自然な攻めです。

参考37図は狙われていた角を逃げつつ上手陣に角を成りこむことができたので下手優勢です。66図に戻ります。

あらためて66図。
では本手順の△同銀(67図)の解説に進みます。

この△同銀は玉を5筋に近づけずに成銀を取る手です。そして現在は角取りになったままなので下手は急いで攻める必要があります。まずは▲4二金(68図)と打ちます。

この▲4二金は王手だけではなく△4三銀も狙った手です。そこで上手は△3三玉(69図)と銀を取りつつ玉を逃げます。

ステップ2-1は以上です。
次回「四間飛車定跡 ステップ2-2では、ここから上手玉を詰ますまでを解説します。


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