【六枚落ちマニュアル】第2部第5章第10節四間飛車定跡 ステップ4-1

◆本節では、四間飛車定跡ステップ4-1を解説します。

ステップ4基本図は、ステップ3で解説した33手目の局面で△2四歩に代えて△3四銀と上がった局面です。上手は3筋を銀で守ったのが工夫です。下手は、まずはステップ3と同じく▲5五歩(133図)と突きます。

この▲5五歩は一気に攻めようという手ではなく、例の「銀の繰り替え」を目指した手です。上手は△同歩(134図)と取ります。

下手はもちろん▲同銀(135図)と取ります。

上手は銀を追い返したいので△5四歩(136図)と打ちます。

下手は▲6六銀(137図)と逃げる一手です。

まずは一歩交換に成功です。上手は△2四歩(138図)と突きます。

この△2四歩は、将来△2五歩と突いて下手の美濃囲いを上から攻める準備の手です。下手は▲5七銀(139図)と引きます。

この▲5七銀はステップ3と同じく「銀の繰り替え」を目指した手です。
ここで上手に2つの選択肢があります。本手順はここで「△2五歩」と突く手ですが、先に「△6四歩(参考88図)」と突いたらどうなるかを解説します。

この△6四歩は、場合によっては6筋から攻める展開を狙っています。下手は6筋の位を確保するため、まずは▲同歩(参考89図)と取ります。

上手は△同銀(参考90図)と取ります。

ここで下手は▲6五歩(参考91図)と打つのが大事です。

この▲6五歩で上手はこれ以上銀を前進させることができません。ここでもし△5五銀? と出れば、▲5六歩で銀を捕獲することができます。よって上手はおとなしく△7三銀(参考92図)と引きます。

このように、上手が攻めてきた時は、できるだけ元の形を保つように受けるのが基本です。では139図に戻ります。

あらためて139図。上手は△6四歩と突いてもそれほど成果がないので△2五歩(140図)と突きます。

この△2五歩は下手の美濃囲いを上から攻める準備です。特に△3四銀の応援があるので、上手の持ち駒が増えれば△2六歩から2筋を攻める手が生じます。下手は▲5六銀(141図)と上がります。

下手は「▲5六銀型」を作ることができました。▲6六銀型に比べて角の利きが上手陣に直接届くようになりました。上手は△6二金(142図)と寄ります。

この△6二金は、下手が4筋を攻めてくる可能性が高いので、少しでも4筋に金を近づけようという手です。
さて、今度は下手に選択肢があります。本手順はここで「▲4五歩」と突いて攻める手ですが、ステップ3と同じく「▲3六歩(参考93図)」と突く手があるのでこちらを先に解説します。

この▲3六歩はステップ3のように▲2九桂を活用する狙いがあります。上手は素直に△同歩(参考94図)と取ります。

下手はもちろん▲同金(参考95図)と取ります。

上手は金を追い払いたいので△3五歩(参考96図)と打ちます。

下手は金を取られたくないので▲3七金(参考97図)と逃げる一手です。

さて、参考97図。下手はステップ3と同じく「▲3六金+▲3七桂型」を目指しましたが、上手の△3四銀がそれを邪魔しており、下手は▲3七桂と攻めに参加させることができません。それなら、すぐに▲4五歩と攻めた方が良いということになります。142図に戻ります。

あたらめて142図。ではすぐに▲4五歩(143図)と仕掛けましょう。

ステップ3と違い、下手はまだ攻めている駒が少なく、角+銀+歩の攻めです。ただし下手はこの後、攻め駒を増やす手も用意しています。
さて、ここで上手に選択肢があります。本手順は「△5二金寄」と金を4筋に近づける手なのですが、先に「△同歩(参考98図)」と取ったらどうなるかを解説します。

この△同歩は、ぶつかった歩を取るのですから自然な手です。ただしこれは下手の狙い通り。角筋が通ったので▲2二角成(参考99図)と成ることができます。

やはり角を成って馬を作ることができれば大きなプラスであり、下手の攻めが成功です。このあと、下手は▲4六歩と合わせる手や▲4八飛などで4筋を攻めるのが良いでしょう。
143図に戻ります。

あらためて143図。この▲4五歩を△同歩と取ると▲2二角成があるので、上手は△5二金寄(144図)と寄ります。

この△5二金寄で、上手は4筋の守りをさらに固めることができました。
ステップ4-1は以上です。
次回「四間飛車定跡ステップ4-2」では、144図からの4筋をめぐる攻防を詳しく解説します。


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