上西内科

当院は2018年7月に開業した愛知県小牧市の内科クリニックです。糖尿病・内分泌・咳や息…

上西内科

当院は2018年7月に開業した愛知県小牧市の内科クリニックです。糖尿病・内分泌・咳や息切れ・睡眠時無呼吸症候群等の専門外来があり、生活習慣病全般に対して「適切な診断」から「最適な治療」までを一貫して提案することが可能です。https://uenishi-naika.com/

最近の記事

帯状疱疹とワクチンについて

こんにちは、上西内科副院長の中畑征史です。 今回は、帯状疱疹に対するワクチンの勉強会に参加してきましたので、 その内容を紹介しつつ、まとめていきたいと思います。 まず帯状疱疹ですが、原因となる微生物は水痘帯状疱疹ウイルスになります。ヘルペスウイルスの一種で小児の時に初感染すると水痘、いわゆる水疱瘡として発症します。数日で水痘は収まりますが、体内からは排出できずに神経の一部に潜み続けます。 若いうちは免疫が強いので再活性化することがありませんが、高齢になるにしたがって、特に

    • 吸入薬の種類と使い分け

      こんにちは、上西内科副院長の中畑征史です。 今回は気管支喘息の治療薬の中核をなす、吸入薬の種類と使い分けに関してまとめてみました。 吸入薬といっても様々な種類があるのでわかりにくいと思いますが、まずは一番重要な吸入ステロイド薬(ICS)についてです。 もう20年以上前ですが、ICSの登場により喘息患者の死亡や入院率は非常に低下しました。昔の話ではありますが、呼吸器病棟では喘息発作の人のために常に数人分病室が用意されていたこともあったそうです。 僕が医者になった頃には、喘息発

      • COVID-19の内服治療薬について

        こんにちは、上西内科副院長中畑です。 今回はCOVID-19の内服治療薬についてまとめてみました。 現在、内服で処方可能なものに、ラゲブリオとパキロビットがあります。 いずれも軽症の患者を対象にしていますが、リスクのある方を対象に医師の判断で投与しています。 リスクがある方でも軽症で入院などせずに経過する方も多いので、高齢かつリスクが多い方に限定して投与されていることが国内でも多いと思われます。(薬剤費が非常に高額のため) まずはラゲブリオ(一般名 モルヌピラビル)につい

        • スタチンと呼吸器疾患の関連について

          こんにちは、糖尿病・甲状腺上西内科 副院長の中畑です。 今回は以前から話題がちらほらと出る脂質異常症の薬剤であるスタチンと呼吸器疾患の関連について、改めて現在のエビデンスを調べてみました。 スタチンは抗炎症薬であり、そのスタチンの抗炎症作用が呼吸器疾患の予後に影響を与えるのでは?という仮説がメインで、それによりさまざまな疾患に対して検討されています。 呼吸器疾患と言っても多岐にわたりますが、まずは患者数の多い気管支喘息についてです。https://www.cochranel

        帯状疱疹とワクチンについて

          慢性咳嗽の治療薬 “リフヌア” について

          こんにちは、上西内科副院長の中畑です。 今回は新たに発売になる慢性咳嗽の治療薬である、リフヌアについてまとめました。 もともと慢性咳嗽とは2ヶ月以上持続する咳という意味ですが、リフヌアが適応になる慢性咳嗽とは、気管支喘息や逆流性食道炎など咳の原因になる治療をしても残る難治性の咳になります。 リフヌア (一般名ゲーファピキサント) は、薬理作用としては選択的P2X3受容体拮抗薬で、気道の迷走神経のC線維に見られるP2X3受容体を介した細胞外ATPシグナル伝達の遮断により、感

          慢性咳嗽の治療薬 “リフヌア” について

          ビタミンD欠乏と呼吸器疾患の関連について

          こんにちは、上西内科副院長の中畑征史です。 今回は、ビタミンD欠乏と呼吸器疾患の関連についてです。 ビタミンDは、当院でも欠乏症の方がある一定数いらっしゃいます。 骨や筋肉、そして免疫機能などに働いているとされており、骨粗鬆症や感染症の合併の多いCOPDとの関連を調べました。 Kokturk N et al. Clin Respir J. 2018 Feb;12(2):382-397. 呼吸器内科向けの総説になります。 まずビタミンDの合成に関してですが、紫外線の照射に

          ビタミンD欠乏と呼吸器疾患の関連について

          非結核性抗酸菌症の新しい治療薬について

          こんにちは、上西内科副院長の中畑征史です。 今回は我々呼吸器内科の治療の悩みの種である、非結核性抗酸菌症の新しい治療薬について解説します。 まず非結核性抗酸菌症についての説明からですが、非結核性という言葉のとおり結核菌以外の抗酸菌という系統の菌の感染症というのが大雑把な意味になります。 非結核性抗酸菌は土や水などの環境中にいる菌で、結核菌とは異なり人から人には感染しません。 菌の種類は150種類以上ありますが、非結核性抗酸菌症の80%がMAC (Mycobacterium-

          非結核性抗酸菌症の新しい治療薬について

          「COPD」と「糖尿病」についてのまとめ

          こんにちは、上西内科副院長の中畑征史です。 今回はCOPDと糖尿病についてまとめていきます。 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、主に喫煙を原因として気道の気流制限をもたらす疾患ですが、現在は全身炎症性疾患であるという認識も重要視されています。 COPD患者では安定期においても、呼吸筋酸素量が増大しています。 それにより安静時エネルギー消費量(resting energy expenditure:REE)が増大することで代謝亢進が認められ、これが栄養障害の主要因になると言われて

          「COPD」と「糖尿病」についてのまとめ

          新型コロナウイルスに関する現時点でのまとめ

          こんにちは、上西内科副院長の中畑征史です。 新型コロナウイルスワクチンの3回目接種についても具体的になりつつある今、現状について簡単にですがまとめてみました。 まずは治療に関してですが、現在経口薬がようやく発売されてきそうな様相になっています。 以下は、モルヌピラビルについてです。 https://www.merck.com/news/merck-and-ridgebacks-investigational-oral-antiviral-molnupiravir-redu

          新型コロナウイルスに関する現時点でのまとめ

          “気管支サーモプラスティ”について呼吸器内科専門医が思うこと

          こんにちは、上西内科副院長の中畑征史です。 今回は難治性気管支喘息の治療の一つである、気管支サーモプラスティ(BT)について取り上げたいと思います。 気管支サーモプラスティは気管支鏡を用いた治療であり、限られた施設でしか施行できないものになりますので一般的なものではありませんが、以前私が名古屋医療センターに勤務していた時に、本邦第一症例に立ち会うことができその後も治療に携わっていたので、思い入れのある治療法であります。 気管支サーモプラスティは、日本語では気管支熱形成術とも

          “気管支サーモプラスティ”について呼吸器内科専門医が思うこと

          アレルギー疾患と甲状腺疾患の関連について呼吸器内科専門医が思うこと

          こんにちは、上西内科副院長の中畑征史です。 今回はアレルギー疾患と甲状腺疾患の関連についてまとめていきます。 甲状腺疾患の中でも甲状腺ホルモンが過剰になる病気の代表的な疾患である「バセドウ病」は、花粉症の時期などに増悪が多いことが知られています。 花粉症は花粉の刺激によりTh2免疫が活性化され、それによるIgEの産生亢進をもたらします。 そしてIgGも産生亢進が引き起こされ、これによりTSH受容体抗体も増加しバセドウ病の病勢を悪化させると考えられています。 花粉症は日本特

          アレルギー疾患と甲状腺疾患の関連について呼吸器内科専門医が思うこと

          "難治性喘息”について呼吸器内科専門医が思うこと

          こんにちは、上西内科副院長の中畑征史です。 今回は難治性喘息に対するアプローチである、生物学的製剤の紹介と使い分けについての投稿になります。 吸入ステロイドが気管支喘息の治療のメインであることは、吸入ステロイドの発売以降変わらないことではありますが、吸入ステロイドの発売以前は喘息死もかなり多く、また救急外来の受診が非常に多い時代でありました。 その後喘息死は年々減少していますが、まだまだ難治性で救急外来受診や入院を必要とする方、そこまでではなくても日常生活に制限を起こす方は多

          "難治性喘息”について呼吸器内科専門医が思うこと

          "肥満と呼吸器疾患”の関係について呼吸器内科専門医が思うこと

          上西内科副院長の中畑征史です。 当院では、生活習慣病である糖尿病や高血圧などに強く影響を与える肥満について積極的に食事指導などの取り組みをしています。 肥満というと糖尿病などを思い浮かべることが多いですが、呼吸器疾患との絡みはどうでしょうか? 今回は肥満と呼吸器疾患(特に気管支喘息)の関係について調べてみました。 呼吸器の代表的疾患は気管支喘息ですが、肥満が重症化のリスクとなることが知られています。 詳細は不明であり、肥満合併喘息に焦点を当てた観察研究になります。 方法と

          "肥満と呼吸器疾患”の関係について呼吸器内科専門医が思うこと

          "新型コロナワクチン”について呼吸器内科専門医が思うこと

          上西内科副院長の中畑征史です。 新型コロナウイルスのワクチン接種が開始になっておりますが、自分でネットを見ても情報は玉石混交で、皆さまも判断に迷われる事が多いかと思います。 2021年6月時点ではっきりしていること、またはっきりしていないことへの考え方などを自分なりにお伝えしていければと考えております。 1.mRNAワクチンとはまず、現在日本で承認されているワクチンは3つで、主に使われていく予定となっているのが、ファイザー/ビオンテックとモデルナの2つのmRNAワクチンです

          "新型コロナワクチン”について呼吸器内科専門医が思うこと

          "SASと糖尿病の関係"について呼吸器内科専門医が思うこと

          現在上西内科では、生活習慣病としての糖尿病や睡眠時無呼吸症候群の方に多くご来院いただいております。 今回は、その関連についてまとめてみました。 閉塞型無呼吸症候群(OSA)と糖尿病に関してのレビューになります。 海外のデータになりますが糖尿病とOSAについてまとめられていますので、箇条書きでまとめを列挙します。 ・中年以上の男女での重症OSAの有病率は、男性で9~14%、女性で4~7%であるが、最新の診断技術を使用するとさらに有病率は増える可能性が高い。 ・OSAによる

          "SASと糖尿病の関係"について呼吸器内科専門医が思うこと

          "気管支喘息の長期管理”について呼吸器内科専門医が思うこと

          気管支喘息は、咳や呼吸困難で受診するアレルギーを原因とする疾患ですが、現在は80%以上の方は吸入ステロイド薬の導入により、症状が安定していきます。 吸入ステロイド薬が発売される以前の喘息治療は「喘息死を防ぐ」が最重要課題でしたが、現在は重症難治性喘息は依然として問題ではあるものの、「生活の質(QOL)を守る」「長期的な呼吸機能を守る」ということに目的がシフトしてきていると考えています。 長期の治療を考える上での、呼吸器内科医としての最重要キーワードは「リモデリング」です。

          "気管支喘息の長期管理”について呼吸器内科専門医が思うこと