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新型コロナウイルスに関する現時点でのまとめ

こんにちは、上西内科副院長の中畑征史です。
新型コロナウイルスワクチンの3回目接種についても具体的になりつつある今、現状について簡単にですがまとめてみました。

まずは治療に関してですが、現在経口薬がようやく発売されてきそうな様相になっています。
以下は、モルヌピラビルについてです。

https://www.merck.com/news/merck-and-ridgebacks-investigational-oral-antiviral-molnupiravir-reduced-the-risk-of-hospitalization-or-death-by-approximately-50-percent-compared-to-placebo-for-patients-with-mild-or-moderat/

まだ論文が出ていない状況ですので効果についての検証は不十分の状況ではありますが、現状で開発元のメルク社からの発表ではモルヌピラビルを投与された患者のうち、入院もしくは死亡したのは7.3%(28/385例)、プラセボ(偽薬)を投与された患者の14.1%(53/377例)であり、入院または死亡のリスクを約50%減少させたとしています。
また死亡例の検討では、モルヌピラビル投与を受けた患者では0でありプラセボ群では8例でした。

論文として有効性は検証されていませんが、上記に関しては中間報告という診療試験の進捗状況として半分の状況での報告です。
そして、メルク社は今回の試験をこの時点で有効中止としました。
有効中止というものは、あまりに両方のグループで経過に差がついてしまっていて、それ以上結果がわかりきっているのに続けるのは倫理的に許されない場合です。
治験というのは、薬を投与されてどっちが有効かを検証するものです。
他にも今までアビガンやイベルメクチンなどの薬剤が検討されていましたが、有効中止になるような圧倒的な効果は示されませんでした(効果があるかもしれないが、あってもわずかな差。もしくは無いかもしれない状況)。
大概、有効中止の薬剤は投与している医師がはっきり差が分かるくらいのレベルです。
要は圧倒的に有効な時に行われる判断ということであり、個人的には期待できる薬剤と考えています。

ネックなのは値段の高さで、5日間を1日2回投与の薬ですが、値段が約8万円になると言われています。
ここまで高いと、選別をして治療せざるえないと考えます。
具体的には基礎疾患がある方や高齢の方に優先でということになるかもしれませんが、明確な基準が作れるのか、また承認されたとして処方に関しての施設の基準があるのかなどは不透明です(高額薬の場合には施設基準が設けられることが多いです。例)診療経験や専門医の有無など)。

次に3回目のワクチンの意義についてです。

米国のある保険機構に加入している12歳以上を対象として、電子カルテ記録を用いてファイザー社ワクチンの感染および入院に対する予防効果を2回目接種後6か月まで追跡した後ろ向き研究です。
結果としては、感染予防効果は(体内にウィルスが入るという意味)2回目接種後1ヶ月以内では88%であったところ、5~6ヶ月後には47%にまで有意に低下したとのことでした。
発症予防効果(風邪症状などが出るかどうか)についても6ヶ月間の追跡調査の結果、2回目接種後7日以降2ヶ月未満では96.2%ですが、4ヶ月以降では83.7%でした。
また、入院予防効果や重症化予防効果は2回目接種から6か月後まで維持されると報告されています。
現状としては、少なくとも重症化予防効果は維持されますが発症のリスクは時間と共に高まるようです。
今後は重症化に関しても経年経過で低下する可能性は否定できません。
高齢者や持病のある方に関しては特に発症だけでも全身状態に強い影響を与えてしまうこともあり、強く接種が勧められると考えます。

厚生労働省のサイトにブースターに関するQ&Aがあります。
非常に分かりやすく、また根拠となる論文もしっかり記載されており追加接種を悩まれている方は、一読されると良いかと考えます。
こちらにはブースター接種の副反応についても記載がありますが、ほぼ2回目と同様とのことで発熱などの可能性はありますが、さらに頻度が増したり副反応が重度になることはないとされています。

愛知県小牧市
糖尿病・甲状腺 上西内科
副院長 中畑征史
https://uenishi-naika.com/

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