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アレルギー疾患と甲状腺疾患の関連について呼吸器内科専門医が思うこと

こんにちは、上西内科副院長の中畑征史です。
今回はアレルギー疾患と甲状腺疾患の関連についてまとめていきます。

甲状腺疾患の中でも甲状腺ホルモンが過剰になる病気の代表的な疾患である「バセドウ病」は、花粉症の時期などに増悪が多いことが知られています。
花粉症は花粉の刺激によりTh2免疫が活性化され、それによるIgEの産生亢進をもたらします。
そしてIgGも産生亢進が引き起こされ、これによりTSH受容体抗体も増加しバセドウ病の病勢を悪化させると考えられています。

花粉症は日本特有の疾患であり、バセドウ病と関連する症例の数は少ないものの本邦からの報告ではTSH受容体抗体は3月から上昇し6月でピークになります。
またスギに対する特異的なIgE抗体の上昇が先行していたとのことでした。

当院では、花粉症に対して「舌下免疫療法」を行うことが可能です。
舌下免疫療法に関しては3~5年の治療が必要ですが、スギに対する特異的IgE抗体は低下すると報告されており、それにより春先に増悪を繰り返すバセドウ病の方の病勢コントロールも期待できる可能性があります。

また、先ほどからIgEの関与につき話をしてきましたが、当院では主に気管支喘息に対してオマリズマブ(製品名ゾレア)というIgEに対するモノクローナル抗体を使用しています。
上記のレビューでも特発性慢性蕁麻疹や、重症花粉症に対する有効性などについて言及されています。

これは私見になりますが、気管支喘息においては共にTh2が関与する併存疾患であるアレルギー性鼻炎の治療コントロールも重要です(一つの気道をケアするという考え方)。
バセドウ病がコントロール不良でかつ気管支喘息やアレルギー性鼻炎をお持ちの方は、バセドウ病の治療の強化だけではなく気管支喘息やアレルギー性鼻炎の治療強化も重要と考えます。
具体的には、花粉症の時期には抗アレルギー剤の積極的投与や舌下免疫療法の導入、難治性喘息をお持ちの方は生物学的製剤(ゾレアやデュピクセント等)の併用になります。

当院では呼吸器内科と内分泌内科の専門医が常勤で在籍していますので、甲状腺疾患もアレルギー性疾患も同一クリニックで受診可能です。
お気軽にご相談ください。

愛知県小牧市
糖尿病・甲状腺 上西内科
副院長 中畑征史
https://uenishi-naika.com/


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