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コトバノクズカゴ

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コトバノクズカゴ――校正校閲の現場から /名コラム「ことばのくずかご」に寄せて。言葉の今、を拾い集めてみました。/校正の仕事をしながら、本や新聞を読みながら、電車の中の会話を聞き…
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#出版

コトバノクズカゴ:はじめに

 片田舎の本屋さんで出会った月刊「言語生活」(筑摩書房刊)。
 見坊豪紀さんの「ことばのくずかご」を読んで、今目の前でダイナミックに変化し続ける言葉の面白さに惹きこまれました。

 その「言語生活」休刊から一世代分の時間が過ぎました。言葉は移ろい、言葉を扱う編集の現場も随分変わりました。

 出版社で編集の仕事に就いたときは、既刊本は活版印刷、新刊はオフセットで、という印刷方式の転換期でした。校正

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1.私たちはなぜ、「障がい」と書くのか(1) 「障碍」ではなく「障がい」が広まった

 最近は公的な機関が出す文書にも、身体や精神のショウガイを「障害」と漢字二文字ではなく、「障がい」と漢字と平仮名で書かれたものを見かけるようになりました。
 「障がい」が使われ出した時期は、はっきり記憶していません。気がついたら「障害」の「害」は他に害を及ぼすという意味があり差別を助長するので「障碍」を使うべき、といった主張をメディアで見かけるようになっていました。

 もしその意見に同意する人が

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1.私たちはなぜ、「障がい」と書くのか(2) 「碍」を常用漢字表に入れるべきか

 文化庁には、常用漢字表に「碍」を入れるように要望が届いているそうです。
 漢字という文字は無数にあり、新たにいくらでも作ることが可能です。
 しかし皆が自分の好きなように漢字を使ったら、たとえば、市の広報紙の漢字の使い方がバラバラだったら、大事なお知らせがちゃんと伝わらないかもしれません。そのため情報伝達やコミュニケーションが円滑に行われるよう、日常的に使う漢字の目安を定めたのが常用漢字表です。

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1.私たちはなぜ、「障がい」と書くのか(3)校正の現場ではどう対応するか

 表記統一や校正は、クライアントからの指示通りに行うのが原則です。ただ、企画趣旨に沿って、こうしたらもっとよくなる、という提案をすることはあります。
 たとえば、著者が「障碍」にこだわって使っており、編集者から「障碍」で統一するという指示があればその通りにします。しかし校正の依頼があるのは、そもそも多くの人に読んでほしい、理解してほしいからなので、初出にはルビを振ってはどうでしょうか、といった提案

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1.私たちはなぜ、「障がい」と書くのか(4)「障がい」はどこに向かうのか

 前述の宝塚市では、「障碍」には振り仮名を振ることになっています。一般市民には読みにくいという判断が働いているからでしょう。ですからこの先、自治体など公的機関が「障碍」を使うようになっても、とりあえずしばらくは「障がい」が広く使い続けられると思います。

 この「ショウガイ」問題は、文字表記の問題として扱われています。しかし言葉は読み、書くだけではありません。話し、聞くものでもあるのです。
 たと

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2.「づつ」は「ずつ」に直しますか?

 気になり始めたのは10年近く前だったでしょうか。届いたメールやネットのブログに「一個づつ」「一人づつ」と、「ずつ」ではなく「づつ」を見かけるようになりました。

 最初は「D」と「Z」の入力ミスかな? ぐらいに思っていました。手書きなら「ずつ」と「づつ」は間違えっこない。みんながローマ字入力するようになったせいかもしれない。きっと一時的な現象だろうと想像していました。

 ところがそのうちに印刷

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3.「行なう」の「な」はムダなのか

 少し前まで「行なう」、と「な」が送られているのは自分より上の世代の文章に多い印象がありました。最近になって、ネットのコンテンツをはじめ紙媒体でも若い人が「な」を送っているのを目にすることが増えたように感じます。

 校正の仕事では、この「な」は、何も指示がなければ削除されます。ただ署名原稿で、一貫して「な」が送られていると、そのままにすることが多いです。

 では「な」は、余計なのでしょうか、そ

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4.「イソン」に「イゾン」はありませんか?

 その朝、出かける準備でリビングを行き来しているときに耳が捉えたのは、「ギャンブルイソンショウ」という言葉でした。テレビではアナウンサーがIR施設の誘致問題を伝えていました。

 「そうだ、依存症は『イソンショウ』と読み、濁らないのだ」と思った次の瞬間、「いや、この頃は自分も『イゾンショウ』と濁って話していないか」と、急に気になり始めました。

 校正は文字が相手のためルビでも出てこない限り、「依

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