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#映画

“キング”コングになるために。『ゴジラxコング 新たなる帝国』

“キング”コングになるために。『ゴジラxコング 新たなる帝国』

 生まれてこの方特撮ファンをやらせてもらっているが、間違いなく今、「ゴジラ」というIPがもっとも元気である。

 国産最新作『-1.0』がアカデミー視覚効果賞を受賞し今なおロングラン公開が続き、TVでは『ちびゴジラの逆襲』の新しいシーズンが放送中である。数年前とは比較にならないほど、ゴジラの名を目にする機会が増えた。新作が長い間途絶えたことのある歴史を踏まえれば、考えられないほどに恵まれている。

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冬の時代の救世主『GODZILLA(2014)』が繋いでくれた「今」を、俺たちは生きている。

冬の時代の救世主『GODZILLA(2014)』が繋いでくれた「今」を、俺たちは生きている。

 先日、またしてもスペースで“冬の時代”の話をしてしまった。かれこれ数回同じ話をしていて、フォロワー各位も「おじいちゃんがまたいつもの話してる〜」と童話の冒頭の子どものような感想を抱いただろうが、ひとしきり話し終えたら満足して昼寝するおじいちゃんなので、どうかこれからも我慢して聞いてあげてほしい。

 20代後半以降の怪獣映画ファンであれば実体験として思い出深い?であろう怪獣映画冬の時代。今でこそ

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感想『ゴジラ-1.0』日本人対ゴジラ、日本人対ニッポンとしての娯楽超大作

感想『ゴジラ-1.0』日本人対ゴジラ、日本人対ニッポンとしての娯楽超大作

 やはりと言うべきか、数多の趣味や大好きなコンテンツを抱えつつ、ことゴジラとなると「真打」というか、心構えと緊張感が他の作品とは比べ物にならない。数えきれないほど予告編や公式サイトに目を通し、妄想を膨らませ、トイレの心配をしたくないので初回鑑賞時は事前に水以外を一切口に含まずして臨む。初回はただ目の前の事象を追い、2回、3回と重ねるごとにようやく言葉が浮かんでくる。事前の期待通り、今回のゴジラはた

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『シン・ウルトラマン』が今更しっくりきた話。

『シン・ウルトラマン』が今更しっくりきた話。

温故知新、私の好きな言葉です。 “外星人第0号”なら、そう言うだろうか。『シン・仮面ライダー』と『グリッドマン ユニバース』の余韻がまだ冷めない中、『シン・ウルトラマン』を久しぶりに観た。劇場で4回観て、配信でも一度観たけれど、今年になって観たのは初めてだ。特撮映画はやはり大スクリーン大音響が最も映えるが、自宅でリラックスした状態で観るのも、それはそれで乙なものだ。いつの間にか『シン』実写シリーズ

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『シン・仮面ライダー』二回目の鑑賞と、前回のテキストに関する訂正とお詫び。

 またしても観てしまった、『シン・仮面ライダー』を。まだ二回しか鑑賞していないが、あと2~3回はおかわりしたいと考えている。脳内では激しく賛否が分かれつつ、他の作品群にはあまり抱かない種の中毒性に狂わされてしまうのも、『シン』シリーズの恒例行事となってしまっている。一番回数の少ない『シン・ウルトラマン』とて、4回は劇場に足を運んでいるのだ。

 二度目の鑑賞を経て、自分の記事を読み返してみる。最速

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“変わらないモノ”は、作者の思想だった。『シン・仮面ライダー』

“変わらないモノ”は、作者の思想だった。『シン・仮面ライダー』

 まずは感謝、感謝の話をしたいと思う。

 長きに渡り新作が作られず、IPとしてはかなり苦しい状況にあったゴジラの認知度を浮上させるどころか、これまでの作品なら考えられもしなかった大ヒットで日本アカデミー作品賞という栄誉を打ち立てた『シン・ゴジラ』、14歳で出会ったために一生を狂わされることになったエヴァに、創造主自らケリをつけて子どもたちを送り出す『シン・エヴァンゲリオン劇場版』、空想特撮の趣と

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堅実、生真面目、デッカー。『ウルトラマンデッカー最終章 旅立ちの彼方へ…』

堅実、生真面目、デッカー。『ウルトラマンデッカー最終章 旅立ちの彼方へ…』

 2023年2月23日0時、同じことを考えている同志が多いのかやけに動作が重たく、ツブイマのサーバーへの応援上映を(深夜なので心の中で)一人執り行うようにして『ウルトラマンデッカー最終章 旅立ちの彼方へ… 』を再生した。最寄りの劇場でやっていないから、という言い訳をしつつ、自宅でのリラックスした状態で新作映画が楽しめるのは嬉しい。とはいえ、特撮や怪獣のダイナミクスをPCモニターで消化するのもいかが

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空想特撮映画『シン・ウルトラマン』と、賛否の狭間に揺れる地球人。

空想特撮映画『シン・ウルトラマン』と、賛否の狭間に揺れる地球人。

 まずはオタク長文恒例の、「長い前置き」なんですけれども。

 私自身、ウルトラマンを熱心に追っていたわけでも無く、彼らと接していたのは幼少期に観た総集編ビデオが専らで、物心ついた頃の現行ヒーローは『ティガ』だったためTDG三部作には思い入れはあれど、大人になって見返したこともなく。ニュージェネは全通しているも、肝心の初代は今月になって初めて全話を履修した程度で、ファンを自称するのは憚られる。

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『オーズ10th 復活のコアメダル』をもう一度観て想うこと、“人”であり続けた映司くんへ。

『オーズ10th 復活のコアメダル』をもう一度観て想うこと、“人”であり続けた映司くんへ。

 3月12日が来た。来てしまって、当然ながら我がTLの観測範囲でも賛否別れての感想合戦になっていた。座席やグッズ類の完売情報も相次ぎ、改めて作品への根強い人気と期待を伺わせると共に、激しい言葉で作品を批判するツイートも目にして、「わかるよ……」と肩を叩いてあげたくなる。

 そんな一日を過ごしてからの翌13日、私もまた『仮面ライダーオーズ 10th 復活のコアメダル』を観に行きました。

 もう一

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感想『仮面ライダーオーズ 10th 復活のコアメダル』お願いだから、その手を伸ばして。

感想『仮面ライダーオーズ 10th 復活のコアメダル』お願いだから、その手を伸ばして。

 「オーズの完全新作が来年公開」

 そんな言葉がタイムラインに流れてきた時、胃の中でいろんなものがせり上がってきた。それが喜びか戸惑いか焦りだったのか、あるいはそれらがぐちゃぐちゃに混ざったものだったのか、今でも断言できないでいる。

 『仮面ライダーオーズ』がどんな作品だったか、をざっくり省略して、なぜ今回の完全新作がこれほどまでの生理反応を呼び起こしたのかと言えば、私もあの最終回が全ライダー

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“神”降臨で語る創作賛歌『セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記』

“神”降臨で語る創作賛歌『セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記』

 新型コロナウイルスによって変えられてしまったものは数えきれないほどあるが、その一つが「仮面ライダー映画のスケジュール」である。

 通例であれば春映画として公開されていたであろうクロスオーバー枠が、こうして夏真っ盛りに上映されている。本来であれば『仮面ライダーセイバー』の長編と『機界戦隊ゼンカイジャー』の短編の二本立てが公開されていたはずで、とくにライダーサイドはTVシリーズのクライマックスを間

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四の五の言わず殴り合え!!歓喜と懺悔のタイトルマッチ『ゴジラVSコング』

四の五の言わず殴り合え!!歓喜と懺悔のタイトルマッチ『ゴジラVSコング』

 ゴジラVSコング。ゴジラとコングが、平成を飛び越して令和の今、再び対決した。今、この地球最大の決戦を目撃し、未だ震えの止まらない身体でこれを書いている。そして、おれがすべきことはたった一つ、誠心誠意を込めた謝罪、ハラキリでケジメをつけることだ。

アダム・ウィンガードさん、靴を舐めさせてくれ。
 以前おれは、Netflix版『Death Note/デスノート』に失望し、このアダム・ウィンガードな

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『劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス』この拗らせ方がすごい2020なトレギアさん。

『劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス』この拗らせ方がすごい2020なトレギアさん。

 「思えば遠くへ来たもんだ」と本作の初報を見て思ったのも無理はない。いくら何でも目に余るチープさが全編に漂う『ウルトラマンギンガ』から7年。作品数を重ねるごとに映像の豊かさ斬新さでファンの心をつかみ続け、「ウルトラマン」のブランドを次世代に繋いだニュージェネレーションヒーローズたち。そんな彼らが一堂に会する劇場版が、コロナウイルス感染拡大に伴う延期を経て、ついに劇場公開された。

 ニュージェネウ

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映画館で映画を観ることと、シン・ゴジラ

映画館で映画を観ることと、シン・ゴジラ

 まさか、映画泥棒のマナーCMを観て、涙腺が緩むことがあろうとは。

 見慣れたはずの企業CMに見入ってしまったり、もち吉の社長と再会できて嬉しくなってしまったり。そんな感情に襲われた人たちが、全国にたくさんいるはずだ。私も、そんな映画ファンの一人であることを、再確認したお話。

生きがいを失うということ 新型コロナウイルスが全世界で猛威を振るい、外出しないことが「正しい」ことになってしまった20

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