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品揃えと価格論⑨ 品種を忘れて崩れ行く価格

いらっしゃいませ。
本日も小売王_マグロ大使のnoteにご来店有難うございます。

水曜日はお店の【理論】
本日は「品種」を忘れて失敗してしまうお店の例をご紹介します

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高みを目指して転落する人気店

品ぞろえを一気に増やして拡大路線を取り、急激に客数が増えたもののけど、そのうち飽きられ、不良在庫がたまり一気に経営が傾く。
地域の人気店が、時折やってしまう典型的な過ちです。

「一気に手を広げ過ぎて経営が傾いた」
これがお決まりの評価ですが、その実は品種の考え方がよくわかっていなかっただけということも多いのです。

それまでは「この品種は2,000円未満」などといった自店なりの売価上限が何となくあったのに、それが壊れることで今までついてた顧客に見放されるのです。

品揃えを2倍や3倍に急激に増やす過程で、今までおかなかった高額品も並ぶことになります。

例えば1,000円前後を主力に2,000円を上限にしていたワイン売り場が人気だから、「ここをさらに強化しよう」と、5,000円のワインを追加することなどがあります。

品数を大幅に増やすのも構いません。しかしそれはやみくもに増やすのではなく、それぞれの購買動機を想定して増やさなければなりません。

品揃えを拡大する2つの方法

品目数を増やし方は大きく2つに分けられます。1つ目は、今までの売価上限と品揃え下限の中で品目数を増やす方法です。
「品揃えを深くする」とも言います。強みを伸ばすやり方です。

2つ目は、これまで扱ってなかった品種を追加することです。「品揃えを広くする」ことです。

これまで自店で人気を博した2,000円以下のワインと、新たに増やそうとする5,000円のワインは同じ品種ではありません。

普段用の2,000円以下のワインが1つの品種。
特別な日用の5,000円までのワインは別の品種です。

それぞれで価格帯もわけて考える必要があります。売り場は一緒でもいいですが棚を分ける、陳列を変えるなどして別物として扱わなければなりません。

それを店舗面積の拡大に乗せて、「これからはいろんな価格の商品を揃えていこう」などと客を置き去りに価格イメージを自ら壊すと、品揃えは広がるのではなく、たがが緩んだだけとなります。

用途や購買動機を考えずに、単に「ワインの価格帯を1,000~5,000円で幅広く揃えていこう」というのが、「失敗への王道」です。

品数を増やしただけでは喜ばない客

これまでの2,000円以下の商品を充実させたうえで、「ハレの日用にちょっと奮発する時のワインもここで5,000円以下で安価に買える」となれば顧客に喜ばれ、人気店に拍車をかける成功の拡大路線となります。

しかし、「5,000円が行けるなら、4,000円もいけるだろう、全体的に5,000円以下で揃えていこう」と全部を一色単に扱ったり、「思い切ってレアものの1万円も並べてみたら売れるんじゃないか?」などとやっていると、ただただ品数とともに価格帯が上がっただけのお店になります。

客は「広くなって商品も間延びしただけの、何かわからない店」という評価を下し、拡大時には多少やむを得ない従業員の質とサービスの低下も悪評として上乗せされてしまいます。

新装オープンの当初、物珍しさで少々遠くからも集まった客も定着せずに、半年後には閑古鳥が鳴くことになります。

地域内での人気に気をよくして、自分の店やセンス、店づくりに客が集まっていると過信し、顧客を見ることもなく品揃えを決めてしまうという
「客をバカにし過ぎた店」の末路です。

つづく

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