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読みおわった本

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なにかしらの本を読了したときの日記
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2022年6月の記事一覧

往復書簡#3『きょうのできごと、十年後』|女ふたり、読んでいます。

往復書簡#3『きょうのできごと、十年後』|女ふたり、読んでいます。

どうやら梅雨が明けたようです。
いかがお過ごしですか。

私はというと、きょう職場のひととの会話で「会ってすぐに『私、人見知りなんです』っていうひと、ズルくないっすか」というようなことを話し、そのひとは「ずるいよ〜でもそれが言えるようになったら楽よ」というので、食い気味に「え、でもそれって相手に気ぃ遣えっていってるようなもんですよね」というようなことをいってしまい、反省中。”私は喋らないからね、人

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20220619|頁をめくる音で息をする

20220619|頁をめくる音で息をする

開店時間は23時、尾道にある古本屋弐捨dBを営む店主(中原中也への情熱が凄い)のエッセイと日記が綴られた一冊。彼の目にうつるもの、触れるもの、心かよわすもの、それらの日々の真ん中に、なんの違和感もなく自然とあらゆる詩が存在する。時に棘のような鋭さを露わにし、あるいは噛み付くような刃をも隠さず、しかし読むものの心は、瞬く間に奪われ、彼の切実な思いに涙ぐむ。

終いには、自分の吐く言葉のすべてが嘘くさ

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往復書簡#2『きょうのできごと』|女ふたり、読んでいます。

往復書簡#2『きょうのできごと』|女ふたり、読んでいます。

芥川賞候補作のすべての著者が女性という見出しと、作品の内容よりも大きく取り上げられた作家の顔写真をみて、今朝の私は静かに怒っていたのだった。N/Aの年森さんは性別を明かしていない状態だったわけだけれど、こんなふうにカテゴライズされることによって、結果、性別を世に公表することとなり、さて、今、何を思うのか。そもそも彼ら彼女らが生み出す物語を、紡ぐ言葉を、待ち望んでいる私には、性別や姿などの情報は全く

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往復書簡#1『月金帳』|女ふたり、読んでいます。

往復書簡#1『月金帳』|女ふたり、読んでいます。

火曜日の朝、こちらは雨。

家のなかは青白く、静けさを纏い、なんともいえないよそよそしさ。この雨で、心配事のひとつ、アナベル(紫陽花)がきちんと根付いてくれたらいいのにと淡い期待を寄せています。

そんな静かな朝に『月金帳』は読みおえられました。身のまわりに起こる、あるいは意識にものぼらないぼんやりと視点をうつした先に存在するもの、それらをあるがままの飾らない言葉で綴られた書簡たちは、さざなみのよ

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