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潮田クロ
2023年9月29日 18:43
町田さんの手術は明日の午前11時からだそうだ。「どうか。不安か」レースのカーテンを開けながら町田さんに訊いてみる。四階の窓からは、午後の青空がよく見えた。「そうねえ。体切るの初めてだし」天井を見ながら町田さんが言う。 10年ぶりの再会だった。町田さんの旦那さんから、会いたがっているので、お見舞いに来てもらえないだろうか、と連絡をもらった。 自分のような人間が。迷惑でしょうと言うと、重
2023年9月16日 16:28
あのころ、イケとヤナギは必死に逃げていた。つかまってボコられるときの痛さはハンパないから。ヤマのパンチに強れつだ。 たまたまそれを見てた下級生は青くなって先生に言いつける。すると担任の洋子先生に、三人は呼び出しをくらう。 ヤマは平気だ。遊びでーす、って言えばいいと思ってる。まだしつこく先生が聞いてきたら、誰がそんなこと言ったんすか。教えてくださいよ。会ってゴカイをときたいんすけど、て言う。
2023年9月6日 18:25
この作品は、拙作「サンドイッチとウィンナー」で、小説内小説として使ったものです。元々は、一つの短編として書いたものなので、それとはラストが違っています。作者としては思い入れがある作品なので、元の形で公開したいと思います。お読みになる方は、そういう事情ですので、ご寛容くださいませ。 潮田クロ 学帽を被った兄はずっと外ばかり見ていた。小学校三年生だった僕は、あの学帽を