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《#無垢な泥棒猫》【協奏曲みたいなSEXを繰り返す/可憐なソリストの止められない旋律】#23才中秋
『オールアラウンドユー』木下龍也 第3歌集
より一部引用
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「今日の夜会お」と夕方頃LINEをしたら2分後にはホテルを予約したと返事をくれたあの人は白いシーツの上で仰向けに寝る僕の左側でひたすら僕の横顔(アルコール過敏のくせに飲んだので断片的に不自然な赤みを帯びている)を見て頬を撫でながらその日30回目くらいの「だいすきだよ、可愛いよ」を繰り返して僕はその日30回目くらいの無視をきめた
そして僕の真似をして「このまま死にたいね」と繋がったままねっとりと話すその表情は存外切羽詰まった様子で目は潤んでいてこうやって誰かの希死念慮は他者の健康な恋心を壊していくのだとしって、私はその恋というものの感情変化の過程が率直に気になって聞いた「どんなふうにそうやって誰かを好きなるの?ねえ、今ってどういう気持ちなの?悲しいと幸せ、どっちが強いの」
くちづけのあとも敬語を続ければ
あなたの森で迷わずに済む
もうすこしねむっててくれ目覚めたら
きみを泣かせることばかりある
♦ひらひらと身を交わす君はセクシーで
最高に可愛いけど.......
適切な比喩を駆使して飛行するきみを
墜落させたいぼくに
手をつなぐ影のどこまでぼくなのか
わからないまま夜にとけたい
♦︎終焉
くちづけのたびに明度は低くなり
あなたにはもうまぶしさがない
ふかくふかくねむりの井戸を掘ってゆく
あなたの夢を見ない層まで
♦︎火傷するみたいな寂しさ
雨、ぼくはぼくよりも不憫なひとが好きで
窓から街を見ている
またわたしだけが残った、
そう言って花瓶は夜の空気を抱いた
波を塗りなおして海の配色を
決めかねている画家の名は風
火よ育て。夜を飲み込め。
どんな色でも受け入れるために
死はこれからも漆黒
生きてみることが答えになるような
問いを抱えて生きていこうね
でも......
あの世でも死にたかったらどうしよう
元気でも忘れられたら死ぬんだよ
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