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月乃
2024年9月1日 09:07
心臓が移動している。左のこめかみあたりが、どくんどくんと鼓動を刻んでいた。「偏頭痛ですね。」と診断され、拍子抜けしたのと同時に安堵したのは、中学生の頃。見たことも聞いたこともないような様々な検査をしたものだから、自分はてっきり何か重い病気なのではないかと思い込んでいた。その頃、頻繁に頭痛がおきていて、度々学校を休むこともあった。父が頭痛持ちだったこともあり、祖母が心配して病院に連
2024年8月31日 19:33
菜の花。暖かな春に咲く鮮やかな黄色の可愛い花。その名前に引き寄せられるように選んだ病院だった。久しぶりに外へ出る決意をした日。春はもうとっくに過ぎていて、夏も超えて、秋も十分に深まった頃だった。ようやく自分が少し壊れてしまっていることを自覚し、病院に行くことを決めた。_ 当時、私は自宅から歩いて数分の歯科医院で働いていた。男性歯科医一人と衛生士の先輩と私だけの小さな医院だった。事
2024年8月21日 10:14
椛だったか、桜だったか。何か模様の入ったガラスの引き戸だった。その昭和レトロガラスと呼ばれるガラスは、今はとても貴重なものらしい。私にとって、トラウマのようなそのガラスの存在は、いつまでも記憶の一番奥の引き出しに眠っている。両親が離婚して、母と弟と3人で暮らしていた頃。六畳二間の狭い借家にそれはあった。ある暑い夏の日。朝早くに目が覚めて、いつも隣に寝ているはずの母がいないことに気
2022年8月31日 22:40
湿った薄灰色の空のにおいちょっとだけ強気な風が通りすぎる午後はものすごーく、眠くてほんの少しだけうとうとした。。色のない夢を見た内容はあまり覚えてないけど、小さなわたしが泣いている夢だったわたしは、昔から泣いちゃいけない。って思っていて気づいたら、泣くことができない人間になってた嬉しくても悲しくても痛くても怖くても人前では絶対に泣かなかった我慢強い子