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【寄り道】梶井基次郎『のんきな患者』に見る、昭和の結核患者の実態
曽祖父の論文と同時期に発表された小説で『のんきな患者』という梶井基次郎の小説がある。
吉田という主人公が重い肺結核を患い、療養生活を送る中で遭遇する様々な出来事を回想交じりに綴ったもの。貧しいため、これといった治療を受けることもなく、迷信の療法(メダカ5匹飲む、鼠の黒焼きなどを飲むetc)に、すがって生きていくしかない庶民の物悲しい姿が淡々と描かれている。死と隣り合わせに生きていながら、一見〈の
【最終章:昭和初期の医療事情⑥】曾祖父と私を繋ぐもの
祖母が遺してくれた曽祖父の論文(昭和10年発表)の現代語訳。今回が最終章。最後の機会なので、曽祖父の話を少し…。
実は祖母から伝え聞いていた曽祖父の特徴は、たったの3つだった。
①開業医だった。②身体があまり丈夫でなくよく臥せっていた。③かなりの読書家。ジャンルは多岐に渡り天文学の本なども読んでいた。
なので、私が子供の頃から抱いていた曽祖父のイメージは、和室に臥せっている病弱な老人。けれど