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ご覧いただきありがとうございます。医療系コンテンツの編集者です。今はフリー。息子と娘と夫の4人家族。22-23年はボストン在住。最近アメリカ生活の振り返り投稿が多めです。

マガジン

  • 黒猫のミリー

    黒猫のミリーの物語。

  • 家族+くらし

    家族のこと。その土台になる暮らしのこと。などについて思うことをまとめています。

  • アメリカ生活の振り返り

    2年弱のアメリカ滞在中に「これはいいな。真似したい」と思ったポイント、滞在を経て得られた新たな気付きを書き留めていきます。

  • note注目記事とコンテスト受賞記事

    note公式さんに注目記事に選んで頂いた記事。埋もれないようこちらにまとめておきます。

  • 世界の景色

    訪れたことのある世界の街や海外旅行への思いについて書いてます。

最近の記事

  • 固定された記事

外国人の友達なんて一人もいなかった日本育ちの私がアメリカ滞在で体験できたこと

❏アメリカ暮らしも終盤へ 家族でアメリカ滞在を始めて2年弱。いよいよ来年明けに日本へ帰国することになった。ようやくこちらの環境にも慣れて英語でのコミュニケーションを楽しめるようになってきたところで最後はあっけない。もう頑張らなくていいんだなと思うと、ほっとする一方で少し寂しい気持ちの自分がいる。それでも日本へ帰ることのできる喜びは、それをも打ち消すくらいには大きくて。アメリカも楽しかったけれど、やっぱり日本は良い。 振り返ってみると、ものすごい勢いで色々な国の知り合いや

    • 黒猫のミリー【vol.3:桜並木のある住宅街】

      白猫の名前は「ソラ」。 ソラは、桜並木のある住宅街で、老夫婦の住む広い家に迎え入れられた。 ソラは、いつもニコニコしているお父さんが大好きだった。段ボールのトンネルを作ってもらったり、夕飯のおかずのお刺身を少し分けてもらったり。日曜の昼下がりにはよく、読書中のお父さんの膝でお昼寝をした。 お父さんの、優しくゆったり話してくれるところが好きだった。 ソラがいると落ち着くなぁ。 ソラは僕たちの最後の子供だ。うんと長生きしてくれよな。 早起きのお父さんは、よく2階のベランダ

      • 黒猫のミリー【vol.2:永井のばあちゃん】

        永井のばあちゃんは、ちょっと風変わりなおばあちゃんだった。 毎朝5時になると決まって赤林公園に現れ、ノラ猫たちに餌を振る舞う。祝日も雪の日も、その習慣を欠かしたことは一度もない。 ミリーも、ばあちゃんの餌にありつく"常連"に3日前から加わった。そこで出会った古株のトラ猫、蔵之介が得意げに話す。 「永井のばあちゃん家の玄関には、俺達の飯や残飯がたくさん置いてあるから夏場はたまに臭うらしい。だから近所の人がしょっちゅう文句を言いに来るんだ」 ミリーは少し不安になった。ばあ

        • 黒猫のミリー【vol.1:うなぎの蒲焼】

          黒猫のミリーは、ちっとも釈然としなかった。 あれは、夢だったのか――。 ぼんやりしてよく思い出せないが、ずっと頭から離れないシーンがある。 そこには確かに「天使」がいた。 天使は、優しそうなおばあさんと話をしていた。よく試練に耐えましたね、そんな風に、おばあさんを労っていた気がする。 それから、おばあさんは何か頼み事をしていた。最後に天使がこう話したのは覚えている。 「分かりました。50回目の日没を迎えたら神のもとへ参りましょう」 大切な話のような気もするし、取るに

        • 固定された記事

        外国人の友達なんて一人もいなかった日本育ちの私がアメリカ滞在で体験できたこと

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        • 京都愛好家
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        記事

          黒ネコになった母へ

          母は、静かな早朝にそっと旅立っていった。 30歳を過ぎた頃から、たくさんの大きな病気を抱え乗り越えてきた母は、そのたびに身体の機能を少しずつ手放してきた。趣味のお習字、自分の足で歩くこと、自分の口から食べること、寝返りを打つこと。そして最後は呼吸をすること。 ”””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””””” 2年半前、渡米する私達家族のために親戚みんなで集まった時、母は突然泣き出した。普段はゆったり穏や

          黒ネコになった母へ

          八百屋さんは楽しい。

          こんな酷暑には、夏野菜をたっぷりとるに限る。 夏野菜には、身体をクールダウンさせたり紫外線から肌を守ったり、暑い夏を健やかに乗り切るための要素がいっぱい詰まっているそうだ。 冷水でシャッキとさせて素材の旨味を楽しんだり、軽くグリルして香ばしさを加えたら、たっぷりのおかかとめんつゆをかけて頂くのも良し、バルサミコ醤油をかけても良し。新鮮な野菜は出来るだけシンプルに頂きたい。 4人家族にとって、高価な肉を豊富に取り揃えるのはハードルが高いが、野菜をバラエティに富ませるくらい

          八百屋さんは楽しい。

          お節介おばちゃん、始めました

          近くのTULLY'Sへ行くと、最近よく遭遇するおばあちゃんがいる。 高齢者用ショッピングカートみたいなのにつかまりながら、ゆっくりと慎重に座る。足腰がたいぶ弱っている。きっとリハビリを兼ねて、TULLY'Sに通っているんだろう。アイスコーヒーを飲むとしばらくぼんやり宙を見つめて、またゆっくり立ち上がり帰っていく。 席を立つ時が一苦労だ。ショッピングカートにつかまり立ちし、少しずつ後ずさりする。ゆっくり回転すればあとは移動だ。しかし回転するタイミングで、ハタと停まる。テーブ

          お節介おばちゃん、始めました

          トラップファミリーは、アメリカ・バーモント州に眠る

          ミュージカル映画が好きだ。 小学生のころ、「ウェスト・サイド・ストーリー」や「メアリー・ポピンズ」などのクラシカル作品がテレビ放映されるたびに、母が録画して家族団欒タイムに観ていた。 ミュージカルを観ると、なぜか気分がスカッとする。幸福感や高揚感はもちろん、現実には心の内に抑え込むような、憤りや猜疑心、寂しさなどのネガティブな感情も全力全開で表現してくれるので、いつの間にかどっぷり感情移入して、それが感情のデトックスにつながるのかもしれない。 なかでも「サウンド・オブ・

          トラップファミリーは、アメリカ・バーモント州に眠る

          我が家を幸せに彩る、週に一度の「お家のパン屋さん」

          お家のパン屋さんは、子育ての一段落したお母さんが、自宅の一角で開いているパン屋さん。 週に一度、お家のパン屋さんに通う。 7年前頃に始まったそんなささやかな楽しみは、いつしか我が家にとって欠かせない習慣へと変化していた。 ❏20年営業してきたおばあちゃんのパン屋さん 我が家の近所には2軒のお家のパン屋さんがある。 このうち1軒は、70代のおばあちゃんがひとりで切り盛りするお店で、20年間の営業を経てつい最近閉店した。週2回(たいていは木曜と金曜)だけ開店し、カウンタ

          我が家を幸せに彩る、週に一度の「お家のパン屋さん」

          気持ちを上げてくれる、我が家のガラス製品たち

          先日、日本帰国から5カ月を経て、ようやく自宅に戻ることができた。諸事情により、帰国後は仮住まいを転々とする日々だった(自宅は貸していて契約期間が満了していなかった)。 仮住まい生活中、家族そろって体調を崩し続けていたが、自宅に戻るとそれが不思議なほどピタっと終息し、ようやく落ち着いた生活を楽しんでいる。先日は、久しぶりに取り出したお気に入りの品々で自宅を埋め尽くした。 ❏ラップランドの極夜が蘇るキャンドルホルダー ガラス細工は、いつまで見ていても飽きない。 どこにでも溶

          気持ちを上げてくれる、我が家のガラス製品たち

          DJしたり、ダンスしたり…アメリカの先生の自由さに笑顔をもらった

          新宿ルミネの交差点前で信号待ちをしていると、音楽を爆音で流す宣伝トラックが通り過ぎた。パラパラみたいな曲につられて、西洋人らしき観光客たちが、リズムに乗り始める。 すっかり記憶のかなたに消えたアメリカ生活の記憶が、ふわっと蘇る。 DJを披露する担任の先生 アメリカの学校で息子の担任だった先生は、ミスターGと呼ばれていた。長身でイケメン、アウトドア好き、プライベートでは音楽活動もしているという、まさに三拍子揃ったアメリカの好青年。当然、生徒達から絶大な人気を誇っていた。

          DJしたり、ダンスしたり…アメリカの先生の自由さに笑顔をもらった

          クリキャベを読むと、回鍋肉を作りたくなる。

          発売日(4/5)に、せやま南天さんの『クリームイエローの海と春キャベツのある家』を書店へ買いに行き、先週、子供達の新学期バタバタ週間の隙を見ながらゆっくり読んだ。 オリジナル版のストーリー展開と雰囲気はそのままに、過去エピソードがふんだんに追加されたことで、主人公・津麦のキャラクターが、より人間味豊かになって、とっても満足な読み応えだった。 やって当たり前、地味で面倒、無償の労働――そうやって隅っこへ追いやられてきた家事。この作品では、そんな家事にスポットライトを当ててい

          クリキャベを読むと、回鍋肉を作りたくなる。

          名をもたぬ 京の桜はなかりけり

          3月末、京都にある義実家を訪れた。 今年は遅咲きだったので桜は諦めていたけれど、思いがけず満開の枝垂れ桜を見ることができて幸運だった。 桜の時期に京都を訪れると、義父が桜の名所に案内してくれる。400本もの桜が咲き誇る平野神社や、伝説の桜守・佐野藤右衛門さんの私邸「植藤造園」など、思い出の場所がたくさんあるが、今回は京都一の早咲きで知られる「近衛邸の糸桜」を訪れた。 ❏京都帰省はいつも、お墓参りからスタート 八坂神社の裏手の、京都の街を一望できる高台に、旦那さんのご先祖

          名をもたぬ 京の桜はなかりけり

          せやま南天さんの『クリームイエローの海と春キャベツのある家』が書籍になって、いよいよ本日発売!!おめでとうございます!https://x.com/s_yamananten/status/1776024960210960830

          せやま南天さんの『クリームイエローの海と春キャベツのある家』が書籍になって、いよいよ本日発売!!おめでとうございます!https://x.com/s_yamananten/status/1776024960210960830

          アメリカ滞在中、アジア系差別と思われる出来事を前に思ったこと

          少し前、アカデミー賞授賞式でのアジア系差別が話題になっていた。報道を傍観しつつ、心の中は様々な思いが駆け巡っていた。 記憶のすみに追いやっていた、アメリカ滞在中のシーンがいくつか蘇る。 2年間のアメリカ滞在中、たくさんの素敵な出会いがあったし、様々な国の興味深い文化に触れることができた。 ただネガティブなことが一切なかったというと嘘になる。人種差別の多くは見方によって変幻自在で、ジャッジが難しいけれど、「恐らくそうなのだろう」と推定できるような出来事には、私も遭遇した。

          アメリカ滞在中、アジア系差別と思われる出来事を前に思ったこと

          アメリカの図書館と、そこで出会った日本の絵本たち

          今日図書館いこっか。 うん。行く! アメリカへ転居した頃、娘は通園する先が無かった。月齢条件を満たしていないという理由で公立のプレスクールには入園できず、かと言って月謝が20~30万円のアメリカの保育園に通うのは経済的に無理なため、9月のキンダーガーテン(義務教育)入園まで家で見ることにした。 子連れで外を歩いていると、満面の笑みをたたえたアメリカ人が子供にフレンドリーに話しかけてくれる。それ自体はとてもありがたかったのだが、娘はいつも戸惑った表情を浮かべて固まっていた。

          アメリカの図書館と、そこで出会った日本の絵本たち