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京都愛好家

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京都について美味なるものから暮らしまでつれづれと書いています。旦那さん実家が生粋の京都人宅です。
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記事一覧

名をもたぬ 京の桜はなかりけり

3月末、京都にある義実家を訪れた。 今年は遅咲きだったので桜は諦めていたけれど、思いがけず満開の枝垂れ桜を見ることができて幸運だった。 桜の時期に京都を訪れると、義父が桜の名所に案内してくれる。400本もの桜が咲き誇る平野神社や、伝説の桜守・佐野藤右衛門さんの私邸「植藤造園」など、思い出の場所がたくさんあるが、今回は京都一の早咲きで知られる「近衛邸の糸桜」を訪れた。 ❏京都帰省はいつも、お墓参りからスタート 八坂神社の裏手の、京都の街を一望できる高台に、旦那さんのご先祖

京友禅に色を挿す職人のおはなし

義父は京友禅の職人だった。 京友禅は、職人が分業して全て手作業で作りあげる「手描き友禅」と、型紙を使って一度に大量に染める「型友禅」の2通りがある。 義父は手描き友禅の職人。下絵師が着物に描いた絵に色をつける「色挿し」の工程を担っていた。20色ほどの染料を調合し何十種類もの色を作り出す。どんな配色にするかは、色挿し職人の腕にかかっているので、技術力はもとよりセンスが求められる。 「だんだん熟練してくると、下絵を見た瞬間に、全て塗りあがった状態が、目の前に浮かび上がってく

300年続く老舗のお麩専門店って、どんな感じ?京都五条へ確かめに。

ずっと行きたかった、お麩専門店の老舗「半兵衛麩」を訪れてきました。 半兵衛麩の創業は1689年の江戸時代。300年以上続いているお麩の専門店って…。関東生まれの私からすると想像を絶します。 そもそも麩は室町時代に中国へ渡った修行僧によって日本に伝えられたそうです。主に精進料理の食材として用いられてきました。 麩は小麦粉に含まれるタンパク質(グルテン)を原料としていますが、当時は小麦が高価だったことから、お寺や宮中の中で作られ、特別な時に食べる希少価値の高いものでした。

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紅葉ピークの清水寺

京都には、いつだって祇園辻利とよーじやがあった。

10代の頃、京都を訪れると必ず寄っていたのが「祇園辻利」と「よーじや」。 中学3年生で初めて友達と訪れて以来、京都は憧れの街になった。 でも10代が自由に使えるお金なんて限られている。神社やお寺は何軒でも回ることができたけれど、川床料亭、豆腐懐石の店、祇園の割烹なんて、とてもじゃないけど敷居をまたげない。 そんな私達にも優しくて、皆が大好きだったのが、この2つのお店だった。 抹茶スイーツの代表格「祇園辻利」 祇園辻利の2階にある喫茶店「茶寮都路里」で、初めて抹茶パフェ

京都・南禅寺の水路閣。下から見るか上から見るか。

南禅寺の水路閣。 南禅寺のいわゆる和風ど真ん中の景色に、西洋風レトロな建築物の水路閣がなぜだか見事に溶け込んでいる、何ともユニークなスポット。紅葉シーズンに訪問する予定の方もいるのでは? 今回は、水路閣のもうひとつの楽しみ方についてご紹介します。 ◇明治初期に急にさびれた京都そもそもどうして、こんな水路閣が作られたのか。すっかり忘れてしまったので、改めて調べてみました。 江戸から明治に時代が変わり、新政府は東京を新たな首都に定めました。これに伴い千年以上にわたり京都を

京都人がリピートする美味しいもの5選

「旦那さんの実家が京都」と言うと、京都好きの方は大体「京都の美味しい店、教えて」と聞いてくれます。 生粋の京都人が愛用するのは、ズバリ長く続いているお店です。こんな格言もあるそうです。「人気のある飲食店の法則。大阪では安い店、東京では新しい店、名古屋では量の多い店、京都では歴史の長い店、神戸では本当に美味しい店」。これは神戸の人の格言で、京都のくだりはいわゆる皮肉なんですが、いずれにしても「京都人は歴史のある店しか認めない」というのは公然の事実ということです。 ひとつだけ

京都の華麗なる人々と老舗神社

京都へ行くと、よく何年も残り続けているなぁと思う老舗の店や神社を時々見かけます。このご時世、どうやって運営資金を稼いでいるんだろうと。 ◆参拝者のまばらな平野神社京都市北区にある平野神社もそのひとつ。京都には桜の名所が数多くありますが、その中でも平野神社は屈指の名所。平安時代から桜の名所として貴族に愛され、今日も約60種400本もの桜が咲き誇りシーズン中は幻想的でとても美しいのですが、桜の時期以外は参拝者もまばらな印象です。 しかも2018年の台風21号の影響で、拝殿の倒

京都人にも愛される、ロングランヒットの門前菓子4選

京都生まれの旦那さんは「和菓子屋さん」のことを、いつも「餅屋さん」と呼びます。 確かに。豆餅、やきもち、あぶり餅…。京都の人気のお菓子には、たいてい最後に「餅」がつく。 そう思って調べてみると、京都の和菓子屋さんには大きく分けて2種類ありました。一つは、お茶席で出るような芸術的なお菓子を扱う「上菓子屋さん」。もう一つが、かしわ餅などの餅菓子やお饅頭などが並ぶ、庶民には最もなじみの深い「お餅屋さん」「おまん屋さん(お饅頭屋さん)」。 餅菓子とお饅頭。いつの時代も不動の人気

一度食べたらクセになる。京都のソウルフード「べた焼き」のつくりかた

京都の義実家で作ってもらった「ねぎ焼き」。クレープっぽい生地がモチモチで美味しかったので無性に食べたくなり、ネットでレシピを調べたけれど、なんか違う。ネギのお好み焼きばかりヒットする。旦那さんを介してお義父さんに作り方を聞いたら、その日のうちに回答をもらえました。 べた焼き!それそれそれそれ!それですよ!お義父さん! 京都の下町で昔から親しまれてきた「べた焼き」べた焼きは、京都の下町で大正時代から食べられてきたおやつのようなものらしく、お祭りの屋台や駄菓子屋さんで売られて

「京都の白味噌椀」についての考察

先日書いた「京都人が愛用する生麩」の記事で、こんなコメントを寄せて頂きました。井垣利英さん、ありがとうございました。 生麩入りの白味噌の味噌汁は、かなりマイノリティな食文化? 興味がわいて調べたら、レシピがいくつか出てきました。メジャー路線ではないながらも着実に受け継がれている料理のよう。うちの義実家の特有の習慣じゃなくてよかったです(ホッ)。 「あわ麩のみそ汁」(きょうの料理レシピ)、「生麩のみそ汁」(ベターホーム)、「さくら 白みそ汁」(本田味噌本店) あの白いと

5分で完成。B級グルメな京うどん

いつぞや義父がふるまってくれた「じいじ特製京風うどん」。子供達の大好物です。 昆布ベースのあっさりしたスープに、こしのない麺。トッピングは甘いお揚げと九条ねぎ、そこに揚げ玉をたっぷりと。甘くやさしいお味。 私:このおだし、何が入ってるんですか?(微妙にスパイシーなんですけど。。) 義父:いや、これや。苦笑 ・関西風お出汁を即座に再現する魔法の粉末なんとスープは、粉にお湯を注ぐだけで完成するというヒガシマル醤油の「うどんスープ」。 この粉末スープ、実は57年間の歴史を

京都人が愛用する「生麩」

京都特有の食品、意外とあります。そのひとつが、生麩。精進料理の汁物に必ず入っていますよね。 関東でも手に入らなくはないんですが、あまり常用はしません。でも京都の義両親の家の汁物には高確率で生麩が入っています。そしてすき焼きには必ず生麩を投入。頂くと出汁をたっぷり含んで美味しい。何より弾力のあるもっちりした食感がクセになります。 【レシピバリエーションが意外と豊富】生麩は一見扱いづらそうに見えるけど、なかなか守備範囲が広い。こんがり焼いて田楽味噌をたっぷり添えた生麩田楽も美

子供に聞いた、また行きたい京都スポット4選

この前、友達ママが京都行きたいなぁーと話してました。6歳児と2歳児のやんちゃ男子のママ。下の子はまだまだ手がかかりそう。 でも子連れで京都、意外とありだと思います。 一人で行っても、友達と行っても、恋人と行っても、家族と行っても、楽しめるのが京都。どんなライフステージでも、その時々に楽しめる。京都には、そんな懐の深さがあります。 ちなみに、うちの息子は0歳で娘は1歳で京都デビュー。京都帰省中は、半分は京都らしい所に連れて行きますが、半分は子供達の行きたい所に行っています