#029.楽譜を読むための基本 4「拍とリズムの関係 その1」
ただいま数回に分けて「楽譜を読むための基本」を解説しています。シリーズになっているのでぜひ過去の記事もご覧ください。
過去の記事「#027.楽譜を読むための基本 2「テンポと拍子の関係」(上記リンクからご覧ください)」で詳しく解説しましたが、4/4拍子であれば「1小節の中に4分音符が4つ」、といったように拍子記号に記された範囲の拍数が小節内に含まれています。
しかし、当然1つの小節の中に4分音符しか書き込めないはずもなく、4分音符1拍分を、より細かなリズムに分けることができます。
今回はそうした様々な音符や休符について解説していきます。
音符と休符
「4分音符1つ=1拍」を2つに分けることができます。
旗がついているこの音符を「8分音符」と呼びます。8分音符2つで1拍=4分音符です。
もっと細かくしてみましょう。1拍を4つに分けるとこうなります。
旗が2つ付いているこの音符は「16分音符」と呼びます。16分音符4つで1拍=4分音符です。
もっと細かくできます。
これは「32分音符」と呼びます。32分音符8つで1拍=4分音符です。もっと細かくすることもできます。「64分音符」「128分音符」と、理論上は無限に細かくできますが、どこかで必ず演奏不能になりますし楽譜も読みにくくなりますから、そこまで細かな楽譜を書くことはほとんどなく、したがって見かけることもあまりないでしょう。
気づかれた方も多いと思いますが、結局「8分」「16分」「32分」などの名前は「全音符1つ(4/4拍子だった場合の1小節分)を何等分しているか」という考え方に基づいているので、これまでの音符はすべて偶数でした。でも音楽のリズムは当然、奇数で分けることもできます。例えば3つに分けると、
これは「三連符」と呼びます。理論上では1拍を何個にでも分けられますから、例えば「5連符」とか「11連符」も当然可能です。
ただし、このような音符の数が奇数の場合は、いくつの音符が連なっているのか分かりやすくするために数字を掲載するのが原則です。
1拍以上長い音を書くことも当然可能です。例えば4分音符2つ分=「2拍」を1つの記号で表記するとこうなります。
玉が白くなったこの音符を「2分音符」と呼びます。そして4拍全部(4分音符4つ分)=1小節全部を1つの音で埋めると、
棒がなくなったこれを「全音符」と呼びます。
休符
先ほど紹介した音符は「音を出す指示」だったのに対し、「音を出さない指示」の記号を「休符」と呼びます。
それぞれの音符と同じ長さを持つ休符はこのようになります。
連桁(れんこう)
旗の付いた8分音符などが連続すると、楽譜がチカチカして読みにくいです。そこで、同じ旗を持つ音符同士はグループ化することができます。例えば、8分音符や16分音符が並べばその旗同士がくっつき合ってこのようになります。
では、これはいかがでしょうか。
16分音符2つは当然くっつきますが、その16分音符の上の旗(連桁の上の1本)は8分音符としての旗なので、隣の8分音符とくっつけることができます。したがって、
このように記すことができます。他にも、
共通する旗が隣になかったとしても、このような書き方もできます。
ただし連桁は、同じ旗を持っているものすべてを積極的につなげるのではなく(かえって読みにくくなります)、最も基本的な考えとしては拍でまとめます。ただし、4/4拍子などではこのように記すこともよくあります。
単純拍子の場合、1小節を2拍ずつ等分できるので、このような連桁をつなげ方をすることが多いです。
混合拍子の場合は連桁の繋がり方でフレーズの取り方を判断することもとても多いです。例えば、
このように連桁のつなげ方に絶対的なルールはなく、音楽の構造によって様々に変化します。時には小節線をまたいで連桁が繋がることもありますし、連桁の中に休符が書かれることもあります。
連桁がどのようにつながっているか、ぜひたくさんの楽譜を観察してみましょう。
ちなみに声楽の楽譜の中には連桁を使わないで表記する場合も多いです。器楽の楽譜を読み慣れていると、声楽の楽譜はとても読みにくく感じます。
付点
それぞれの音符に小さな点がつくと「音符の長さ+その半分の長さ」になり、「付点◯音符」と呼ばれるようになります。
例えば、付点2分音符の場合は、2分音符が「2拍」で、点がその半分の「1拍」なので合計「3拍」になるわけです。
付点8分音符の場合は「8分音符1つ=16分音符2つ」と、付点がその半分の16分音符1つ分なので、16分音符3つ分の長さになります。これに16分音符あと1つ合体すると1拍(16分音符4つ分)になります。旗同士がグループ化して連桁になるので、
ということになります。この上の段に書かれた楽譜、よく見かけますよね。
タイ
隣り合う音が同じ高さであれば拍や小節線を超えてタイでつなげることができます。これによって、より複雑なリズムを表現したり、小節を超える長い音を伸ばす指示が書けるわけです。
ポップスなどは複雑なリズムで書かれることが多いので、必然的にタイを用いることが増えます。
楽譜は原則として「拍でまとめる」ことになっていて、自然とそれに慣れていますので、上記譜例の上段のように拍が明確でない書き方いなっていたり、連桁がなくバラバラになっていると大変に読みにくい楽譜になってしまいます。
タイが多様された複雑なリズムを演奏するのが難しいと感じた場合は、一度タイを取って拍ごとのリズムを理解し、それから再びタイをつけ直して演奏してみると演奏しやすくなります。
さていかがでしょうか。今回は拍とリズムの関係について解説しました。「もうこんなのいちいち読まなくてもわかるし!」と思っているあなたも、例えば部活の後輩が楽譜を読むのが苦手だった場合の教え方の参考になるかと思います。
次回もリズムに関してを中心に解説してまいります。
引き続きご覧ください!
荻原明(おぎわらあきら)
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