見出し画像

#027.楽譜を読むための基本 2「テンポと拍子の関係」

ただいま数回に分けて「楽譜を読むための基本」を解説しています。前回は音符と音の高低に関してのお話しでした。

そして今回は「テンポと拍子の関係」について。


テンポとは

テンポとは何でしょうか。音楽におけるテンポは、それを知るために「メトロノーム」という規則性のある動きと音で教えてくれる道具を用いるとわかりやすいです。

このメトロノーム、最初の「カチッ」という音を1つ聞かされても、どのくらいのテンポか見当がつきません。

これではクリック音が一回鳴っただけです。

しかし、連続して2つ鳴るとその瞬間テンポが判明します。

そしてこれが均等に連続することで継続的な「テンポ」になります。

連続するクリック音の間隔が短くなればそれは「速いテンポ」になり、長くなれば「遅いテンポ」になります。音楽を構成する重要な要素のひとつ「テンポ」はこのようにして生まれます。

拍/小節/拍子

メトロノームが刻む「カチッ」と鳴るクリック音の瞬間(から続く長さ)を音楽では「拍」と呼びます。等間隔で拍が刻まれている場合、楽譜上ではそれらを同じ音価おんかの音符を用いて表現します。ではここでは例として4分音符を基準にして進めていきましょう。

メトロノームを鳴らし続けているそれを楽譜にすると上記のように表すことができます。ただ、楽曲というのは数分〜長ければ2時間を超えるものも少なくありません。

もしこのまま音符を書き連ねてしまうとどうなると思いますか?

これでは読めませんね。どこまで行ったか絶対にわからなくなります。

そこで、読みやすくするために一定の数に達したら線を引くことにします。試しに4つずつ区切っていくことにします。

これならわかりやすいですね。この場合は4分音符4つで区切り線を引きましたので、それぞれの区切り線の中はすべて同じ音符の数=均等な時間になっています。この区切り線のことを「小節線」と呼び、小節線で囲まれた範囲をそれぞれ「小節」と呼びます。

拍子記号の読み方

そして、この楽譜では1小節の中に4分音符を4つ入れるという決まりにしたので、それがわかるように楽譜の冒頭部分(左側)に記します。これを拍子記号と呼び、この場合は「4分の4拍子」と読みます。算数で習った分数と同じで分母(下)から読みます。それぞれの意味はこのようになります。

「分母が音価(基準となる音符)、分子が拍子(1小節に入る音符の数)」

分子だけだと4拍子の音楽であることはわかるのですが、拍の基準となる音価を決めないと楽譜に音符を書くことができません。この楽譜の場合は4分音符を基準にしたので、分母が4(=4分音符)になり、「4分の4拍子」となりました。

ということは、同じ4拍子であっても拍の基準を他の音価に変えることができ、例えば基準を8分音符にすること、

8分の4拍子

2分音符を基準にすれば「2分の4拍子」になります。

2分の4拍子

いろいろな拍子

今は4拍子の基準となる音価を変えましたが、当然分子の数も変えられます。

例えば3拍子。ワルツやメヌエットと言った踊りの曲など、3拍子の音楽も多いです。

4拍子の音楽はとても多く、次に多いのは今紹介した3拍子や、2拍子もよく出てきます。二足歩行をしている我々にとっては「1,2,1,2」と繰り返すリズムは非常に身近で、その結果行進曲に使われることが大変多いです。

複合拍子

6拍子の作品も多いです。

その中で最も多いのがこの「8分の6拍子」です。これまでの考え方からすれば、8分音符を6回カウントすることになります。もちろんそういった作品もありますが、6拍子の最大の特徴は、グループ化してカウントの仕方を変えることができる点です。こちらをご覧ください。

このように3つずつグループ化された大きな2拍という捉え方ができるのです。8分の9拍子、12拍子なども同じように作ることができます。

これら2通りのリズムで捉えることのできる拍子を「複合拍子」と呼びます。なお、分母が8分音符でなくても同じ複合拍子です。一方で4拍子や2拍子などは複合拍子に対して「単純拍子」と呼びます。

混合拍子

1小節の中に2種類以上の異なる単純拍子が含まれている拍子を「混合拍子」と言います。例えば、5拍子。

この場合は2拍子と3拍子の組み合わせですが、3+2でももちろん良くて、場合によっては1+4なども考えられます。

他には7拍子。

2+2+3や、3+2+2など捉え方はいろいろできますが、そのような可能性が多い場合は混乱を招かないよう、大概楽譜に何かしら指示があります。

いかがでしょうか。楽譜を読む上で苦手に感じる人も多い「拍子」。拍子がなぜこのような表記になったのか、理由から入ると理解もしやすいかと思います。

そして実際に演奏する際は、楽譜を見て理解するだけでなく「そのリズムが実際に演奏されたらどうなるか」をシミュレーションすることが非常に大切です。要するに歌ってみたり、手で叩いてみたり、トランペットで吹いてみたりして体にインプットします。そうしてから作品を演奏すると、より自然に音楽的な表現ができることでしょう。

ということで、次回は小節線とテンポ記号について詳しく書きたいと思います。


荻原明(おぎわらあきら)

荻原明(おぎわらあきら)です。記事をご覧いただきありがとうございます。 いただいたサポートは、音楽活動の資金に充てさせていただきます。 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。