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戦争まで引き起こした「イエロー・ジャーナリズム」⑩~メイン号事件の報道

前回はこちら。

《ジャーナル》紙の紙面

 1898年2月15日に発生したメイン号爆沈事件。

 爆発の原因は不明であるが、現在では倉庫内の石炭の自然発火による事故説が有力である。しかし、ハーストの《ジャーナル》紙は事件からわずか2日後の紙面で、「メイン号の沈没は敵の仕業だ」と一面トップで報じた。

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 正確な爆発原因は不明であったにも関わらず、一面にはメイン号と海底に仕掛けられた機雷のイラストが掲載され、「ローズヴェルト海軍次官補(セオドア=ローズヴェルト)は、戦艦の爆発は事故ではないと確信している」(挿絵の上)「海軍将校らは、メイン号はスペインの機雷によって爆沈したと考えている」(挿絵の下)などの小見出しが付けられた。

 さらに挿絵の両側と紙面の中央部に、メイン号爆沈の犯人を見つけたら50000ドルの賞金を出す」旨も書かれている。

《ワールド》紙の紙面

 メイン号事件をセンセーショナルに報じたのは、《ワールド》紙も同じだった。同じ2月17日の同紙の一面は、爆発四散するメイン号の様子だ。船体の破片や人間までもが吹っ飛んでおり、見た目だけでいえば《ジャーナル》よりもインパクトがある。

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 こちらにも、「メイン号の爆発は爆弾か機雷によって引き起こされた」と、事故原因を敵の攻撃と断定する見出しが載せられている。

 一連の報道により、世論は大きく即時開戦へと傾いた。

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