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松下幸之助「目に見えない旗」


射場に行って射撃の練習をすると、遠い標的の下に監視の人がいて、発射のたびに旗を振ってくれる。

その旗の振り具合で、狙いが的を射たか、はずれたか、または右にそれたか左にそれたかが、一目でわかり、次の狙いを修正する。


こんなことをくり返して、しだいしだいに上達するわけで、もしこの旗を見なかったら、たとえ百万発の射撃をしたところで、それはいわば闇夜のめくら射ちに等しくて、ねらいの効果もわからず、何の上達もないであろう。


考えてみれば、おたがいの毎日の働きについても、実はこんな旗がたくさん振られているのである。

その中には、たとえば数字という形で、目に見えてくるものもある。

しかし、目に見えない旗のほうがはるかに多いであろう。


その見えない旗を見極めて、毎日の成果を慎重に検討してゆくところに、仕事の新の成果があり、毎日の尊い累積がある。


お互いに忙しい日々ではあるけれど、目に見える旗はもちろんのこと、目に見えない旗をも、よく見きわめるだけの心掛けを、常に厳しく養っておきたいものである。

(参考文献 道をひらく 松下幸之助)


(感想)
仕事でいう旗とは成果のこと。
例えば、数字、給料、時間など。
仮説を立てて検証、トライアンドエラーでより数字を上げるためにどうするかを考える。
より時間を短縮して効率的に仕事をこなすやり方を考える。

では、目に見えない旗とは例えばなんであろうか。
会社という組織では、ただ単に数字を上げることだけを考えればよいというわけではない。
組織の力を生かすこと。
そのためには、信頼関係、安心感、尊敬の念、コミュニケーションを取りやすい環境など、目には見えないが大事なことがある。
1人でできる仕事には限界がある。
組織にいるのであれば、その力が最大限に発揮できるような環境を作っていくことが必要。
仕事をする上で、あまり意識することはないかもしれませんが、目に見えない旗とはそういうことなのかもしれない。

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