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その23 全然読めていない読書記録
セバスチャン・フィツェック『アイ・コレクター』を読み始めたけれど早々に挫折した。連続殺人犯を追う話なのだがその手口があまりにも辛くて、普段読み始めた本は苦しくても頑張って読了しようと粘るのだけど今回は無理だった。あとがきを読んだら文中の残忍さとは似ても似つかないひょうきんな文面で笑ってしまった。もうちょっと頑張って読み進めても良かったかもしれない。調べたら『治療島』を書いた人で、物凄く読むのがき
もっとみるその22 たった数十ページで
昔はどっぷり浸りたいから長編を読むのが好きだったけど(誇れるような読書量ではまるでないが)、最近は一息に世界に入り込める短編も面白いなと思うようになった。隙間時間や移動中に一つずつ読めたりするので。
とは言いつつ、短編集を買っても一編読むと十分満足してしまったり世界観の切り替えに疲れてしまったりしてそのまま放り出しておくことが多い。『年刊日本SF傑作選 プロジェクト:シャーロック』(大森望・日
その19 最近やっと読んだもの
ずっと前から気になり続けていた『オーブランの少女』(深緑野分)をようやく読んだ。表題作は一日に一度思い出すくらい魅力的なイメージが鮮明に浮かんで、謎の真相部分も、始まり方も終わり方も凄く凄く好きだった。ただ、重要人物のキーになる行動がどんな精神状態でもそれはしないだろうと思われ、どうがんばっても理解できなくてそこだけがずっと引っかかり続けている。けど、それでも好き(でもやっぱりあそこはないでしょ
もっとみるその18 キャクストンとハマスホイと殺人出産とスマホ脳
最近読んで、良かったもの。全然関連性がない4冊だけどどことなく音が似ている気がして並べてみました。
『キャクストン私設図書館』(ジョン・コナリー)は中短編4作が収録されていて、どれもどこか分かりにくかったり、盛り上がりの薄いままあっさりと終わってしまったりしたのだけど、不思議とじんわり何かが残る読後感だった。それをふまえた訳者あとがきがとても良かった。コナリーの作品はジャンル分けが難しく、ま
その17 海とスクラップブック
海まで徒歩数分にある家で育ったけれど、近所の海は遊泳禁止で大人たちは口を酸っぱくして絶対に泳ぐな、と子どもたちに言い聞かせていたので、大人になってから初めて地元の海で泳いだ(町の海の一部は海水浴場になっているので)。長年近くにあると当たり前すぎて海を見てもああ海だな、と思うくらいだし、特に行きもしない。潮でひたすらべたべたするし、靴に砂は入るし、いろんなものがあちこち錆びているし、水難事故もよく
もっとみるその15 コロナ禍に
何か読みたくなって積読している小説をめくり始めても、「でもこの世界にコロナはないんだよな」と思うと何となく読み進められずにいる。震災の後もそうだった。
だけど先日手に取った『パディントンのにわつくり』(マイケル・ボンド、R.W.アリー)は予想外にするする読めて胸がいっぱいになってしまった。パディントンが愛らし過ぎて、ブラウンさんの家の庭が素敵過ぎて、人々が素朴で優しくて。読み終わって、パディン
その14 奥行のある絵
ありそうだけどどこにも存在しない、自分だけの景色をたぶんみんな持っていると思う。わたしの場合は白い積み木みたいな家が立ち並ぶ小さな集落を俯瞰していたり、植物にまみれた高層の建物だったり、セピア色の街の日なただったりして、日々そんな景色が頭をよぎるたびちょっとほっとする。自分も絵が描けて、具現化できたらどんなにいいだろうといつも思う。
自分では描けないので、好きな絵を思い浮かべるだけでも落ち着い
その13 ドラに会いたくて
しばらく投稿できずにいました。なぜかといえばオンライン麻雀にかまけているからです。もちろん曲も出来ません。
麻雀は万年初心者だったのだけど、オンラインゲームをやり始めたきっかけはある方が某ゲームのオフ会を目撃した様子をツイートされてて、それが物凄く面白かったこと。出来心でそのアプリをダウンロードしてみたらやめられなくなりました。このゲーム、ドラがギラギラ光るんです。ギラギラ。これがやけに魅力的
その12 信頼できないわたし
小説のなかの「信頼できない語り手」がとても好きなのだけど、はなから知っていて読んでも叙述トリックにならないのでなかなか見つけられない。まんまと騙されて面白かった本もネタバレになるからおすすめできないので、ひとりでひっそりいいな、と思うしかない。
昔、恩田陸がエッセイの中で、語り手が白人の警官だと思って読んでいたら途中で黒人であることが分かって世界がひっくり返る、という小説を紹介していてとても面
その11 落ち込む日には
起きた瞬間はだいたいいつも消えたい。むりやり起きて動いているうちにだいぶ前向きになっていて、何で消えたいなんて思ったんだろうとか、風が気持ち良いなと思えたりするけど、なかなか回復しない日もある。そんな時に読みたいもの。
絵本は絵に目がいきがちだけれど、あのやわらかくて削ぎ落されたシンプルな言葉たちに救われることも多い。ひらがなが多いせいもあるかもしれない。口に出して読んでみると言葉の瑞々しさ
その10 贅沢な時間
ミステリを読むのが好きだ。ミステリファンからしたら浅すぎて話にならないくらいしか読んでいないので、小声でこそっと言うくらいの好き。
書店に行くととりあえず東京創元社と早川書房の棚に行く。なるべく前情報なく読みたいので、あらすじは薄目で見る。登場人物欄は楽しいけれど意外性がなくなるから見ちゃだめ。
ミステリなら何でも好きかというとそうでもなくて、凝ったトリックやハードボイルドには興味がないし
その9 夏らしくないけど
縁側、ひぐらし、夕立、薄暗い台所で飲む濃いカルピス、祭囃子の音、送り火、浴衣と花火の匂い……みたいなステレオタイプの日本の夏が好きなので、そんな空気の本が読みたくなる。
『天然コケッコー』(くらもちふさこ)の9巻のscene37は夏に必ず読み返したくなる、台詞のない美しい回。田舎の小さな村で夏休みを過ごすこどもたちの、泣きたくなるくらい日本の夏が詰まっている大好きなお話。
『なつのいちに
その8 好きなタイトル
『どんなにきみがすきだかあててごらん』(サム・マクブラットニィ、アニタ・ジェラーム)。2匹のうさぎが相手をどれだけ好きだか言い合う絵本。しあわせなタイトルだなあと思う。
『模倣の殺意』(中町信)はタイトル通りぶりが凄かった。記憶を消してもう一度読みたい。
『悪魔に食われろ青尾蠅』(ジョン・フランクリン・バーディン)、タイトルに惹かれて買ったけどまだ読めていない。
『もうすぐ絶滅するという紙