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「夜中のマクド」にコーヒーを飲みにいく、ママの心理。

数ヶ月前、勤めているリラクゼーションサロンで新しい手技を習うことになった。

「研修入るまでに、この資料読んで勉強しといてね。」

店長から、なかなか分厚いプリントの束をもらった。その後、ついつい息子と寝落ちする日々が続き、そのプリントに一度も目を通すことなく研修前日の夜になってしまった。

今日は絶対に寝落ちることはできないのに、
妙にねむい。

これは確実に寝落ちてしまうやつだ。起きれたとしても、きっと頭が働かない。


「父ちゃん、今日はりんりんの寝かしつけお願いしてもいい?外で勉強してくる!」


夜の10時頃、私は家を飛び出した。



「くみこ〜!どこで勉強するのがいいかねぇ。近所のマクドかなぁ。」

「遠い方のマクドの方がいいよ。あそこは居心地がいいし、24時間でしょ?」

"くみこ"とは、私の相棒の原付きだ。乗りはじめて1年半、毎日毎日くみこにまたがっている。くみこの車体を前から見ると、もうどうやっても顔にしか見えなくなってしまった。私の中では完全に擬人化されていて、いつのまにか心の中でくみこに話しかけるほどになってしまっている。そしてなんとなく、フワッと返事を返してくれているような気さえしている。そんなことだれかに言ったら"不思議ちゃん"扱いされるから、ここだけの話だけれど。


というわけで、くみこがオススメしてくれたマクドに向かった。

夜の171号線を、グングン走る。まだまだ車は走っているけれど、流れがいい。ひんやりとした風が顔に当たって、どんどん目が開いていく。どんどん頭が冴えていく。

10分ほどすると、Mマークが見えてきた。昼間にはよく行く、開放感のあるお気に入りのマクドだ。こんな夜遅くに行くのははじめてだけれど。


くみこから降りて、お店に入る。

お店に入った瞬間、ギョッとした。


人がたくさんいる。満席ではないけれど、3分の2ほどは席が埋まっている印象だ。駅から離れているマクドなので、ガランとした雰囲気を想像してお店に入ったから、予想外のその雰囲気と活気にびっくりした。


大学が近くにあるからか、学生さんが多い印象はあるけれど、いろんな人たちがいた。

パソコンを開いてカタカタとキーボードを打って仕事をしている会社員さんが、3人ほど目に入る。こんな時間までおつかれさま。

おじいちゃん3人組が、なごやかにコーヒーを飲みながらおしゃべりしている。"おじいちゃんは夜9時までには寝ちゃって、朝の4時とかに起きちゃう"という私の中の"おじいちゃんイメージ"が崩れていく。

おばちゃん2人組もいた。何やら深刻な顔つきで話しこんでいた。


そしてうれしかったのは、
主婦さんらしき人が2人いたことだ。

1人はメガネをかけていて、おそらくスッピン。ユニクロのモコモコパーカーを着ていた。スマホをいじっている。

もう1人も、おそらくスッピンだった。ユニクロのフリースを着ていた。本を読んでいる。

そして私。もちろんスッピンで、ユニクロのピンクのフリースを着ている。


なんとなくだけれど、2人とも"幼い子供のいるお母さん"のような気がした。子供といっしょにお風呂に入ってしまうからスッピンだということと、機能性と動きやすさと価格とのバランスがとれたユニクロを愛用していることと、なんとなく夜中のマクドが似合わないところ、だろうか。1人でいても、なぜか「お母さん感」ってにじみ出てしまうから不思議だ。


何かしらの理由があって、今日はたまたまここにいるけれど、いつもはここにはいないんだよ。今日は特別。

聞いてみたわけじゃないから本当のところはわからないけれど、そんなような気がした。


人間観察をしている場合じゃない、と気づき、勉強をはじめる。プリントの字を読み始めると、スッとその世界に入っていけた。おもしろい。人間の体っておもしろい。そして、不思議だ。新しいことを学んだとき、知らないことを知ったとき、自分の世界がフワッとひと回り大きくなる感じがする、あの感じが好きだ。私は勉強することが好きなんだ。興味のあることに限るけれど。


ふと気がついて時計を見ると、夜中の1時半になっていた。閉店することのないお店には、ゆったりとした雰囲気が流れている。閉店間際のお店やスタッフさんの雰囲気があまり好きではないので、嬉しい。だれもそんなこと言わないけれど「早く帰ってよ」と言われているような気がして落ち着かない。だれもそんなこと言わないけれど「好きなだけいてくれたらいいよ」と言われているような気がして居心地がいい。


みんな平等に24時間を持っていることなんて100も承知だけれど、なんだか今日は私だけ26時間くらいに増えていたんじゃないかなぁ。

そんな風に感じるくらいに、大満足な時間を過ごすことができた。


本当は閉じたいであろう
目に逆らって、
本当はボンヤリしたいであろう
脳みそに逆らって、
本当は休みたいであろう
体に逆らって、

なんとか増やした時間だから、あとでツケが回ってきてしまうかもしれないけれど。

それでも、

学びたい!知りたい!これをやりたい!と叫ぶ心の声を聞いてあげる日だって必要なような気がした。


体にちょっぴり負担をかけてでも、
心を大切にしてあげる日。

心に折り合いをつけてガマンしてでも、
体を休ませてあげる日。

体と心で相談し合いながら。
バランスをとりながら。
たまには「いつものリズム」から外れる日があってもいいよね。

そんな風に思った。


マクドの外に出て、くみこの姿が目に入る。

「だからここがいいって言ったでしょ?」

そう言いながらウインクするくみこの姿を想像しながら、「ほんとだね!」と心の中で返事した。

それ以来、

「このまま寝落ちしたくない!」
「どうしてもやりたいことがある!」
「なんだか今日は"いつものリズム"に逆らいたい気分!」

そう感じる夜には、父ちゃんに息子を託して、何度か「夜中のマクド」にフラッと出かけた。

もちろん睡眠時間は減ってしまうので、次の日は眠い。でも、なんだかリフレッシュしていて心が満ちているので、そんなにつらくはない。

息子がもう少し大きくなるまでの間、忙しい中でもできる"私なりのリフレッシュ方法"をまた1つ見つけたような気がした。



その話を近所のママ友に何気なく話したら、予想外に盛り上がった。そのママ友は、もう限界・・・というときに、パパに子供を託して家を出たのはいいものの、うまくリフレッシュできなかったんだよね、と言っていた。

「あ!いつでも誘ってね。夜中だったらだいたい出動できるからさ、うち。」

冗談半分でそう伝えたのだけれど。

それから2週間ほどして、「今からマクド行かない?」と本当にLINEが来たときには、なんだか妙にうれしかった。22時から24時半まで、ホットアップルパイをお供にコーヒーを飲みながら、ぺちゃくちゃとおしゃべりした。よく考えたら、お互いの子供がそばにいない状態でおしゃべりしたのははじめてだ。

途中で必ず邪魔の入るおしゃべりには、思っている以上にストレスがかかっている。逆に、邪魔の入らないおしゃべりは、女子の心を満たしてくれる。女子はいくつになっても"おしゃべり"が大好きなのだ。


「なんか充実感やばいなぁ!」

「なんか時間増えた感じがする!」

1人マクドもいいけれど、2人マクドもなかなかいい。うっかり近所に"夜中のマクド仲間"ができた。


"マクド仲間"というところがいい。

これが"飲み仲間"となると、お互いのお財布との相談が必要となる。

毎日行ったとしても、コーヒー1杯なら1ヶ月およそ3000円。毎日なんて行かないけれど。毎日なんて行けないけれど。



夜中に外に出るなんて、ママ界では不良なのかもしれない。不良まではいかなくても、少なくとも優等生ではないのだろう。

不良でもいいや。
優等生になんてならなくていい。

夜中に外に出るなんて、"ママらしく"ないだろうか。

別にママらしくなくてもいいか。
そもそも、ママらしくないことをするからリフレッシュできるのかもしれない。

ちょっぴりフキゲンな日に、
ちょっぴり体に負担のかかる方法で、
私は私の機嫌をとる。

心がリセットされる。
また明日から日常を楽しもう、と思う。

そして、また息子のそばでゴキゲンで笑っていられるのなら、それでいい。

そう開き直りながら。


夜中のマクドで、この文章を綴っている。

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