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ごちそうさま、千石自慢。
高校の近くにあった千石自慢ラーメンが7月末で閉店すると聞いて、どうしようもない寂しさが込み上げた。卒業後は数えるほどしか行っていないけれど、それこそ高校時代は数えられないほど行った。(どうしてあのころ、あんなにすぐにお腹がすいたんだろう?)
それはそれは自由な校風の高校で、身を滅ぼしかねない自由にいつもクラクラしていた。一気に広がった行動範囲と選択肢を存分に活用し、勉強以外のすべてを全力で謳歌し
雨の夜に転んだ原付バイク
雨の夜だった。もう5、6年以上前のこと。
前の職場の近くに片側2車線づつの交差点があって、いつも人もクルマも往来が盛んだった。
大きな交差点だけあって、信号待ちが長い。点滅していたら駆け抜けてでも渡っていたのに、その日は傘をさしていたし(いつもよりは)早く会社を出ていたので見送った。
点滅も終わるころ、正面からきた原付バイクが左折後に転んだ。
私が信号待ちしている横断歩道、奥の車線で、仰向け
絶対、がミソだったと思う。
私は本当に就活が苦手だった。質問に対して上滑りした答えしかできなくて、自分に自信がないからオドオドしてしまって、もう本当に、散々だった。
その日の面接も散々で、本当は自己分析と反省をした方がいいのはわかっていたけど、もうダメな自分を見つめたくなかった。
履きなれないパンプスは痛いし、全身ぐったりしていて、帰りの電車ではぼんやりと外を見ていた。座っているだけで精一杯だったと思う。なのに、目の前をお
前途洋々では決してないけれど。
30歳が来る。あと半年足らずでやってくる。
「歳をとるって、どんどん自由になることよ」と、人生の先輩に言われたことがある。
その自由を初めて感じたのは、20歳のころだった。現代アートに対して初めて、「これ意味わかんないね」と言ったとき。それまで、「『わからない』って言ったら、私が『わかってないヤツ』って思われるかも」と思っていて全部わかったふりをしていたから、現代アートは苦手だった。でも、1
十年ひと昔とは、よく言ったもので。
久しぶりに巻いたマフラーが、まったく似合わなくなっていた。
高校1年生の秋に買ってから3年間毎年使っていたもので、なんとなく巻かなくなってからも衣替えのたびに存在は認識していた。気まぐれに巻いてみた感想は、“こんなマフラーだったけ”。姿見に写ったのは疲れたオーラのトンチンカンなオンナだった。
毎年少しずつ歳を重ねている。肌のくすみ、徹夜明けのダルさ、終わらない筋肉痛。そんなことでその事
私にとっては何でもない日なんだけれども。
図書館のカウンター、今日のおすすめ本コーナーにサラダのレシピ本と俵万智の歌集が並んでいるのを見て、あぁ今日はサラダ記念日だと思い出した。
中学時代、感性は違うけど馬が合った友達が「今日はサラダ記念日だよ、七夕イブじゃないよ」と言っていた印象が強いせいで、毎年7日になってから、あぁ昨日はサラダ記念日だったなぁと思っていたので、当日に思い出せたことが漠然と嬉しい。
「図書館」と「サラダ記念日」の組
花は毎年咲くのです。
桜のつぼみがふくらむころ、私は2匹の猫を思い出す。 これは、そのうちの1匹の猫の話。
春先から初夏をうちの庭で過ごす猫だった。 父が花の苗を植えるころやって、日差しで温まった踏み石で昼寝をしていた。花が咲けば茂みの真ん中で「どう? 絵になるでしょ」とでも言いたげに、こちらを向いて。食べこぼしがついているような口周りの模様と、眉間にシワを寄せたような柄のせいで、あまり花が似合う容姿では
気合いが入っている日はバレやすい。
化粧が好きだ。「パリコレか」と言われそうな色使いも、人畜無害そうなナチュラルメイクも、どちらも。
キラキラしたカラフルなアイカラー、ふんわりとした色味のチーク、パキッと発色するリップ。どれもこれもが私を全力でわくわくさせる。
それは、クーピー色鉛筆60色セットの缶を初めて開けたときの、12色の水彩絵の具で際限なく色が作れると知った時のそれと、多分同じだ。
ピンクの化粧下地を塗って、黄味の強い
もちろん自分の幸せも願うのだけども。
こないだ上野公園で、中学生男女6人のスタバデビューを目撃した。修学旅行生か課外授業の自由時間で、このあと上野駅に集合して新幹線で帰るらしい。
「ぜんぶ400円ぐらいする…」「オシャレだから中学生が入ったら嫌がられない?」なんて言い合った後、「せっかく東京来たんだし!」「食べ歩きはダメだからお店の中の席ね!」と入店していく彼らの後ろに、ハラハラ、だけど少しだけワクワクしながら並ぶ。
男女
白猫が、コンビニ袋になってしまった。
昨夜、会社帰りの出来事だ。
電信柱の影に白猫を見つけた。姿勢を低くし、腕を伸ばしながら静かに近づく。少し身を捩りながら電柱の影に隠れるが、逃げない。もっとじっくり間合いを詰めた方がいいのだろうけれど、終電が迫っていた私は少し強気に出る。猫のあごの下を目指し、腕を精一杯に伸ばす。しかし次の瞬間、指先に触れたのはコンビニ袋だった。
パニックのあまり「ひィッ」などと叫びながら勢いよく尻もちをついた拍
言葉通りの意味で、視界がせまく、まぶたが重い。
左の上まぶたに、ものもらいが出来た。熱を持って鈍く痛み、気を抜くと涙が出そうになる。私の本質はまぶたにあったのかと思うほど、何も集中できなくなってしまった。今週も来週も取材が立て込んでいて、明日は人生初の「ちょっとしたパーティー」に呼ばれている。なんでそんなときに。
とにかく早く治したくて眼科に行ったら、おじいちゃん先生に「ちょっと疲れちゃったのかな」と目をみて静かに言われた。「頑張れ」と言われ