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ごちそうさま、千石自慢。

高校の近くにあった千石自慢ラーメンが7月末で閉店すると聞いて、どうしようもない寂しさが込み上げた。卒業後は数えるほどしか行っていないけれど、それこそ高校時代は数えられないほど行った。(どうしてあのころ、あんなにすぐにお腹がすいたんだろう?)

それはそれは自由な校風の高校で、身を滅ぼしかねない自由にいつもクラクラしていた。一気に広がった行動範囲と選択肢を存分に活用し、勉強以外のすべてを全力で謳歌し、とても享楽的な日々を送っていた。
「模範的であれ」「健やかであれ」。そんなことを一切無視した、立ったまま食べる背脂が浮いたラーメンは、私にとって一つの自由の象徴だったと思う。

部活帰り、文化祭(とは呼ばなかったが)の準備の後、5限休校の昼休み。「千石自慢行く?」は、ちょっと特別な響きがする誘いだったと思う。まぁ結局、友だち同士で行ってもお互い黙々とすするのだけれども。
友人に閉店のニュースを伝えたら「よく行ったのに店内の記憶がない」と返ってきて、よくよく思い出そうとして、実は私も「千石自慢行く?」の記憶の方が多いと気がついた。

久しぶりに食べた千石自慢はおいしくて、むしろ他のラーメンもいろいろ食べたからそのおいしさが実感できて、もう大人だから味玉も1人で2切れ食べた。
通学路だった裏道を駅まで歩きながら、今日食べたラーメンの味はちゃんと覚えていたいな、と思った。

この10年は売上に貢献もしなかったくせに、図々しくも文章をしたためてしまった。
千石自慢ラーメン、ごちそうさまでした。同い年だったなんて閉店のニュースで初めて知ったよ。

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