真暗闇で全力疾走

 職場でかかっているラジオで、スガシカオの「夜空のムコウ」が流れている。どの時点を「あのころ」と設定するかによるけれど、じつは私、しっかり「あのころの未来」の近くに立っているのではないだろうか。なんてことを前後の歌詞を全く無視して考えている。

 小学校高学年から高校まで、根拠はないけれど自分は文筆家になると思っていた。しかも、小学生のころは具体的かつ細かな計画を立てていて、最終的には新聞の夕刊(東京新聞・週1)と月2刊誌(オレンジページ・これは簡単なイラストも自分で添える)、月刊誌(ESSEとか?)に連載を持つことが目標だった。Webとか考えないところが90年代の小学生らしい。あと、これでは絶対に生活できない。そんな将来に思いをはせては、「忙しいですけど、まぁ、なんとかなっています。定時とか出勤とかお茶くみとかない分、会社員よりずっと気楽なんじゃないですかね? 執筆に行き詰ったら縁側で猫(三毛・ちょっと不細工)をなぜながらお茶を飲むのが気分転換ですー」というようなインタビュー用の答えを考えてニンマリしていた。これしきの連載で、何が忙しいだ。完全になめている。

 うっかり母親にその話をしたら「一般人がエッセイ書いてもただの日記です。まず何かにならなければ、エッセイストにはなれません。あと、フリーで働くということは確定申告を始めいろいろな手続きや、仕事の交渉を自分1人でするということ。それは、大損かいたり騙されたりしてしまう危険をはらんでいる。しっかり勉強して自分を守る知恵をつけて、ひとまず何かになりなさい」という、現実的なアドバイスをくらった。

 その後、勉強をしたりしなかったり、文筆家以外の道も考えだけれど、大学を卒業するころの目標は「文章を書いてお金を稼ぐこと」だった。そして私は今、編集者をしている。当たらずといえども遠からずの未来に立っているかもしれないけれど、まだ何かにはなれていないし、なれそうな気配もない。加えて言えば、「今」の未来は明確に思い描いくことすらできていない。24時間態勢なのかと疑っていた向かいのビルの明かりが今日は消えていて、窓からの景色も暗い。こんな時間にこの曲を流すなんて、NHKも憎らしいことするじゃないか。

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