徳さん

昭和33年生まれ、奄美大島出身。気楽なシニア生活を送っています。

徳さん

昭和33年生まれ、奄美大島出身。気楽なシニア生活を送っています。

最近の記事

日本語がしゃべれなかった男の物語(プロローグ)

生まれも育ちも生粋の日本人だが、40歳過ぎまで日本語が苦手でうまくしゃべれなかった。これは本当の話である。原因は生まれ育った環境によるところが大きかったのに違いない。私は、昭和33年(1958年)に奄美大島の最北端の太平洋に面した小さな集落で生まれた。世帯数約60戸、人口は約200人弱の小さな集落である。昭和30年〜40年代は日本が高度成長期の坂を駆け昇っていく時代であったが、奄美大島は本土より10年以上も時代の潮流に乗り遅れていた。戦後しばらくアメリカの軍政下にあったが、激

    • 新説昔ばなし「浦島太郎」後編

      一瞬、夕日の光の道の先に、まばゆいばかりに輝く乙姫様の姿が見えたような気がしました。太郎は、思わず大きな声で「乙姫ちゃん」と叫んでしまいました。すると、何ということでしょう!水平線のかなたから、水しぶきを上げてものすごい速さで近づいて来るものがいるではありませんか!何とそれは昔助けた亀でした。ふと空を見上げると乙姫様が優しく微笑みながら「ちゃん」とよく言ってくれましたね、ありがとう。と言われたような気がしました。我にかえり亀を見ると背中に新しい玉手箱がくくりつけられていたので

      • 新説昔ばなし「浦島太郎」

        むかし、むかし浦島は助けた亀に連れられて竜宮城に来て見れば♬♬・・・家が恋しくなり帰ってきた太郎は、世の中がすっかり変わったことにショックを受け、禁断の玉手箱を開けてしまい、あっという間におじいさんになってしまいました。太郎は絶望し死のうと決心し乙姫様に別れを告げようと海岸に行きました。そして、海岸に着くと乙姫様との楽しい日々を思い出そうとしていました。思い出の品は手元にある玉手箱しかありません。玉手箱を見て懐かしむようにそっと開けて見ると中に手紙が入っていました。今まで何で

        • 新説昔ばなし「はなさんか爺さん」

          むかし、むかし、ある所でとても優しいおじいさんが犬のポチと仲良く暮らしておりました。ある日、ポチが裏山で吠えていました。「ここほれワンワン!」と。優しいおじいさんがそこを掘ると大判小判がザックザックと出てきました。それを聞きつけた隣の意地悪じいさんは、ポチを貸してくれとしつこく優しいおじいさん宅にやってきました。優しいおじいさんは、ポチが何をされるか心配なので中々貸そうとはしません。このため意地悪じいさんはポチを抱え無理やり連れて行こうとしました。これを見て、仏のような優しい

        日本語がしゃべれなかった男の物語(プロローグ)

          台湾女性をホテルへ(後編)

          探しているホテルの場所が上手く伝えられずGoogle Mapを頼りに目的のホテルまで連れて行くことにした。 「私」レッツゴートゥザホテル! 大体場所がわかり、近くの住吉神社方面へと急ぐ。19時30分からの会合に遅れてはならないのと、この状況から早く抜け出したかったので、自然と早足になる。彼女は後ろからガラガラとキャリーバッグを引きながらついてくる。そのうちに住吉神社の近くへ。神社は英語で何と言うのか、テンプルか?いや違う、何と言えばいいのかと迷って英語が出てこない。そのうち神

          台湾女性をホテルへ(後編)

          クリスマスイブの夜、台湾女性をホテルへ

          あれは数年前の小雪舞うクリスマスイブの寒い夜だった。博多駅近くの交差点で信号待ちをしていると東洋系女性が若い日本人男性に何か語りかけている。その若者、自分は英語がわからないとか言って足早に立ち去って行った。とその時、ヤバイ、その女性がこっちを見始めた。きっと英語がしゃべれる男性に見えたに違いない。 「女性」エクスキューズミー(笑顔) 「私」ハーイ、何かようですか? 「女性」メモを取り出し、何か聞いてきたが、良く聞き取れなかったが、ここは鋭い勘を働かせると、どうも予約している宿

          クリスマスイブの夜、台湾女性をホテルへ

          私は◯◯で認知症予防

          最近、認知症予防の本を読んだ。頭だけでなく内臓や筋力の衰え防止も重要らしい。下半身のトレーニングは老化防止に役立つとのことで日頃より務めて歩くことにしている。それも股関節の可動域が狭くならないように、できるだけ大股で歩くように心がけている。ある朝、出勤の途中で何気なく商店街のウィンドウに映る歩く自分の姿を見た。あれほど注意してきた歩幅が身長の割に狭い。意識して大股歩行してきたつもりが・・・何のことはない短足だけのことだった。朝は思わぬ発見をするものだ。

          私は◯◯で認知症予防

          最近の大相撲に思うこと

          最近の大相撲は押し相撲や中途半端な相撲が多くなり取組が淡白になってきた感がある。大型力士が増えてパワーとスピードに頼る相撲だ。この結果、勝つ時は一方的になったり、引かれてあえなく前に落ちる相撲も目立つ。そのせいか大関が平幕に降格したり怪我で休場する力士が増えてきている。がっぷり四つに組むとか土俵際のせめぎ合いの相撲はほとんど見られなくなった。少年の頃好きだった力士の一人に陸奥嵐という青森出身の力士がいた。河津掛けや吊り出し、うっちゃりといった豪快な技が得意だった。また、若浪と

          最近の大相撲に思うこと

          風邪は会社を休みたい気持ちから

          「天気晴朗なれど気分悪し」という朝はままある。体調は良いのだが仕事には行きたくない時がある。若い頃、会社に行きたくない時は風邪の仮病でよく休んだものだ。昔はほとんどの企業が今で言うブラック企業、38℃程度の熱が出ても出勤しろと言われるので、少々悪知恵を働かせ芝居じみたことをしたこともある。私「もしもし、課長ですか?今日は風邪で熱があるようなので休ませてください」課長「そうか、それで熱はあるのか?」下手に高く答えると明日の出勤が疑われるし、微熱だと言うと出てこいと言われるのが分

          風邪は会社を休みたい気持ちから

          「なごり寿司」の思い出

          嘉門達夫が歌った「なごり雪」の替え歌「なごり寿司」を聴く度に若くて薄給だったサラリーマン時代を思い出す。1980年代後半バブルが始まる頃、後輩の新人を東京のとある寿司屋に連れて行った時の話だ。私「何でも頼め。江戸前寿司はおいしいぞ (来たことがないのに)」後輩「ありがとうございます。それじゃ、大トロと中トロとウニを2巻ずつ、とりあえず」おお、高いやつばかりやないか、メニューの時価とはいくら位かな?と少し気になってきた。後輩「先輩、東京の寿司はおいしいですね。まだ頼んでいいです

          「なごり寿司」の思い出

          新米看護師、めぐみちゃん。

          4月はいろいろな職場に新人が入ってくる。医療関係の職場でも同様だ。看護師や歯科衛生士といった初々しい女性は見ていて可愛らしいし、頑張れよと応援したくなる。今朝は定期通院の日、血液検査の採血担当は見るからに新人だ。先輩看護師が心配そうに見守っている。太っていて血管が浮き出ていない私の採血はベテランでも苦労するのに大丈夫か?案の定、オロオロ。見かねた先輩看護師が採血するはめに。担当した患者が悪かった。めげずに頑張れ!めぐみちゃん。

          新米看護師、めぐみちゃん。

          人生最後の感謝メール

          人生の最後に感謝の気持ちを込めてこのメールを送ります。生前は大変お世話になりました。ありがとうございました。先に逝きますが、ゆっくりお越しください。あの世から幸せをお祈り申し上げます。サラリーマン時代の同僚から送られてきたメール。そして、直後に以下のメールが届く。「こんなメールを書きましたが心身共に元気ですし、近々逝く予定ありませんので心配しないで下さい。でも1ケ月も2ケ月もメールが届かない時は、もうこの世にいないと思って下さい」彼は独り身、前の会社では部長職まで務めた人物。

          人生最後の感謝メール

          シニア転職体験記20(最終回)

          表門警備の契約更新を断ってからシニア向け求人情報の収集を再開した。次の転職先はマンション管理員かなと何となく思い始めていたので、平日の昼間勤務の条件にマッチするマンション管理員の求人に網を張っていた。すると退職の10日前に飛び込んできたのが現在勤務しているマンション管理員の求人である。平日のみ10時〜16時までの実働5H、勤務地は最寄り駅から徒歩4分、自宅からdoor to doorで20分と好条件だ。こうなると善は急げ、早速求人企業に電話して翌々日には面接に臨むことにした。

          シニア転職体験記20(最終回)

          シニア転職体験記19

          福岡拘置所、古くは黒田藩の刑場として歴史を刻み現在に至るまで死刑執行が行われてきた場所である。このため県内有数の心霊スポットの一つにもなっている。昼間の勤務中に不思議な現象に何回も遭遇したことがある。セキュリティゾーンのシャッターが勝手に開放(キーボックスを鍵で開け、中の開閉スイッチを押さない限り動作しない)したり、火災報知器や金属探知機が突然鳴動、大型トラックが構内で突然エンジンがかからなくなった等の現象だ。夜間の様子はわからないが、深夜に廊下を歩き回る音やドアが開く音とか

          シニア転職体験記19

          シニア転職体験記18

          構内巡回は、午前と午後それぞれ1回30分間行っていた。構内に不審物が持ち込まれてないか、職員用の駐車場や官舎の敷地内に不審者がいないか不審物が置かれてないか、車が傷つけられていないか等に気を配り巡回点検する。面会控室も巡回対象箇所だ。組員幹部や組員が集団で面会に来所する時は、10数人で控室が占拠状態になる。そんな中を巡回するのだが、何回か巡回するうちに怖いお兄さん達も自然と通路を開けてくれるようになった。さて、裁判所への出廷、退廷後の帰着時、警備員は専用車両が一端入る出入ゲー

          シニア転職体験記18

          シニア転職体験記17

          この拘置所には全国に名を知られた指定暴力団のトップとNo2、No3が収容されている。トップは地裁で死刑、高裁では無期懲役の判決をうけたが上告され最高裁で争われることになっている。この組織のメンバーが3〜4人毎日のように拘置所に通ってくる。顔ぶれは毎日一緒だ。平日フル出勤、面会時間の9時〜16時まで開始前から最後まで滞在している。面会用駐車場と面会控室を頻繁に出入りしているのだ。最初は何のために毎日来所してくるのか不思議に思っていたが、観察しているうちに彼らの役割いや仕事の内容

          シニア転職体験記17