シニア転職体験記19

福岡拘置所、古くは黒田藩の刑場として歴史を刻み現在に至るまで死刑執行が行われてきた場所である。このため県内有数の心霊スポットの一つにもなっている。昼間の勤務中に不思議な現象に何回も遭遇したことがある。セキュリティゾーンのシャッターが勝手に開放(キーボックスを鍵で開け、中の開閉スイッチを押さない限り動作しない)したり、火災報知器や金属探知機が突然鳴動、大型トラックが構内で突然エンジンがかからなくなった等の現象だ。夜間の様子はわからないが、深夜に廊下を歩き回る音やドアが開く音とか聞こえてくるとか。また、職員で心身に異常を来たす人も少なからずいるらしい。霊感の強い人はこの施設周辺には近づかない方が良いかもしれない。ところで、勤務している中で入所者用食事メニューを垣間見ることがあった。昼食のメニューだったが、おかず+大きめのコッペパン+牛乳+デザートのプリンだ。学校給食と遜色ないと感じた。また、収容環境は以前に比べてかなり良くなってきているらしい。各部屋にはエアコン完備、体調が悪くなったら常勤の医官が診てくれる。所内で手に負えない場合は外部の医療機関に診て貰える。それも刑務官が付き添ってくれて専用車両での送迎付だ。自由がないことを除けば衣食住には不自由しない。それに費用は全て国庫負担(税金)だ。そのせいか入所者にシニア層が増えてきているように感じる。刑期を終えて刑務所を出所したシニア層は生活手段を持たず、年金は殆どなし、仕事も簡単には見つからないため生活保護などに頼らなければならない。自由さえ我慢すれば衣食住足りて病気のことを心配しないで済む拘置所や刑務所に舞い戻るのはわかるような気がする。昨今、刑務所や拘置所が高齢福祉施設化しているという問題が顕在化しているという。さて、拘置所での警備業務は2024年3月31日で契約満了となった。会社からは契約延長の慰留があったが、丁寧にお断りした。理由は、冬場はともかく夏場は身体がもたないと判断したからだ。案の定、今年の夏は異常だ。続けていたらと思うとゾッとする。5ケ月間の勤務により体重は7ケ月前に比べて約10kgも減っていた。当初は身体的にかなりきつかったが、貴重な経験をさせてもらったと感謝している。契約満了前の1ケ月前から、またまた転職活動を再開することになる。続く。

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