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千切りキャベツ、何で食べるか問題。

ハンバーグ、エビフライにとんかつ、ポークソテー。その日何を食べるかを考えるとき、頭に浮かぶのはメインの料理。

でも、どんなメニューにも付け合わせってありますよね。

🥕基本の3色付け合わせ

たとえば熱々の鉄板に載ったハンバーグなら、定番はにんじんのグラッセにポテトフライといんげんやほうれん草のバターソテー。赤、白、緑の3色が彩りよく、味もバリエーションがあって、見てよし食べてよしの付け合わせです。

この3品のトリオチームは、洋食界ではもやし炒めとならんで、鉄板じゅーじゅー系メニューの付け合わせに欠かせない、温野菜系付け合わせの代表選手。ときには白いお皿の盛り付けでも、登場しますね。

🥬生野菜系のエース

そしてそれと肩を並べる、付け合わせ界のスーパーレギュラーがこれではないでしょうか。

そう、千切りキャベツです。

3色トリオチームに対して、こちらは生野菜系付け合わせの王道。中でもとんかつ、エビフライ、コロッケ、メンチカツなどなど、フライものには欠かせない定番です。

揚げ物の合間に食べると、キャベツの清涼感が際立って、お口直しになると同時に、しゃりしゃりした食感の変化がいいアクセントに。思わず、またお箸がキャベツにのびていきます。

千切りの基本はその名のとおり細さ。プロのように素早くリズミカルでなくてもかまわない。たとえゆっくりであっても、慎重にとにかく細く切りたいです。

そして水にさらす。これでキャベツが目覚めます。しゃきっと起きたキャベツの食感は抜群です。

さて、ここで問題です。

「千切りキャベツ、何をかけて食べますか」

🥬これどうやって食べるんだろう

というのも、実家ではいつもマヨネーズで食べていたキャベツ。ところが、上京して有名なとんかつ屋さんにいってみたら、マヨネーズはお皿の上にもテーブルの上にも…どこにもなかったんです。

あれ。これどうやって食べるんだろう。

周囲を見回すと、みんなキャベツにもソースをかけて、もりもりやってます。これにはけっこうびっくりしました。マヨネーズをかけたキャベツの美味しさは、世界に誇れると思ってたのに。

たまたまそのとんかつ屋さんが、マヨネーズを用意していないお店だったのかもしれないとも思いましたが、その後もそういうことが続き、どうやら東京では、キャベツにマヨネーズという組み合わせは定番ではないらしい…という結論にたどりつきました。

もちろんマヨネーズを添えるお店が皆無なわけではありませんでしたが、けっして多くない。どころか出会えたら、ちょっとしたいいことがあった気分になれるくらいの感覚です。

ではみんなどうしてるのかというと、初めて目撃したときのように揚げ物のソースをそのまま使ったり、あるいはお店それぞれのドレッシングがかかってたり。これが多い気がします。

🥚マヨネーズが当たり前だった

関西では外食すると、とんかつ屋さんでも定食屋さんでもキャベツにはマヨネーズが添えられていることが多かったはず。もしこれが関西ローカル食カルチャーだったとしたら、けっこうな驚きです。

家でもマヨネーズ。外でもマヨネーズ。キャベツといえばマヨネーズ。

でもそれは、絶対無比の王様マリアージュではなかった…。ああ、この衝撃はどこへ向ければいいのか。悶々としたまま歳月は流れていきます。

おうちごはんならマヨネーズの存在は確約されている。問題ない。でも千切りキャベツは、外食しても容赦なく目の前に現れる。

マヨネーズのある環境ならば問答無用にマヨネーズを使い、なければそのときあるもので食べるしかありません。本当はマヨネーズがほしいんだけどな…。そんな思いを抱えながら、キャベツをもりもり食べる日々をすごして早や幾年。

だが人の命は無限ではない。これは…そろそろ決着をつけるときなのではないでしょうか。

というわけで、今回はあらためて、千切りキャベツに何をかけたら美味しいのかを実験してみることにしました。

🥬何をかけるか4種類

今回千切りキャベツ用に用意したのは、4種類。

  • マヨネーズ

  • ドレッシング

  • とんかつ系ソース

  • ソース+マヨネーズ

個人的にはマヨネーズ推しですが、どれもわりとあり得る感じのものを食べ比べします。

🥬マヨネーズ

まずは私的定番、絶対王者のマヨネーズ。

これはやっぱり美味しい。無敵です。いきなり優勝者が登場したといっても過言ではありません。もちろん好みと体験に支えられた私見ではありますが。

マヨネーズは爽やかな酸味がありながら、コクもあって、さっぱりしたキャベツに深みを足してくれます。さっぱりした生野菜の感触は残したまま厚みというか、ボリューム感を足してくれるようです。

そして千切りキャベツが寄り添う、メイン料理にちょっとからむマヨネーズも美味しいんですよね。

たとえばしょうが焼き、たとえば唐揚げ。ベーコンエッグにチキンカツ。どれも本来キャベツのために添えられたマヨネーズをちょっと付けたくなるような気がしませんか。

🥬ドレッシング

ドレッシングとひと口にいっても、それはお店によってさまざま。もちろん家で食べるにしても、自家製ならその家の数だけレシピがあり、市販のものもその家のお気に入りがあると思います。

今回使うのはこちらのレシピ。

マヨネーズも使うレシピのドレッシングですが、味のベースは醤油とにんにく、玉ねぎの香味野菜。

醤油ベースのドレッシングとの組み合わせは、白ごはんと一緒に食べる定食系メニューのときの千切りキャベツには好相性間違いなしです。ドレッシングをからめたキャベツをごはんの上に載せたくなります。

🥬とんかつ系ソース

あの日見たとんかつ屋さんの光景の再現。とんかつ“系”と書いたのは、とんかつソースだけでなく、中濃や我が家の常備ソースの“お好みソース”も含めるという意味合いです。

キャベツだけであらためて食べてみると、これはけっこういいですね。美味しい。そういう意味では、発見というか再認識というか、ソースとキャベツの組み合わせに驚いていたあの頃の自分に教えてあげたいです。

お前はキャベツをソースで食べることではなく、マヨネーズが存在しないことにショックを受けていただけなんだ。ソースそのものを見ていなかったんだ。さあ、食べてごらん。いけるぞ、と。

ただ、とんかつなどフライものと一緒に食べる千切りキャベツの場合、メインと付け合わせを同じ味で食べることになるので、ちょっと飽きがきそうな気もします。

🥬ソース&マヨネーズ

もし、とんかつ屋さんにソースだけではなく、マヨネーズが置いてあったらどうします。

ましてやおうちごはんなら、ソースもマヨネーズも使い放題。さあ、どうしますか。

ソースにマヨネーズを入れたりしませんか。

混ぜてみたりしませんか。

実はこれ、祖父がいつも食べていた、千切りキャベツの食べかただったりします。

ソースとマヨネーズをよく混ぜて、キャベツにかける。ソースだけをかけるのではなく、マヨネーズ単体でかけるのでもない。あるものを混ぜるだけだけれど、新しい味が生まれる。

よく混ぜてからかけることで、キャベツにマヨネーズをかけて、その上からソースをかけた“分離系両がけ”とは、まったく別の味が生まれるんですよね。

これって、つまりは単なる“ソース&マヨネーズ”ではなく、新しいドレッシングなんだと思います。

うちの祖父はいわゆる“ハイカラさん”で、外食の好きな人でした。特に洋食が好きで、小さい頃はよくつれていってもらったものです。そこで祖父は“ビフテキ”を注文し、そして孫たちにフォークとナイフの使い方を教えてくれたものでした。

さすがです。祖父の経験値。あの頃はわからなかったけど、単にあるものを混ぜていたのではなく、食べ歩いた経験が生み出したキャベツ専用祖父式オリジナルソースだったのです。

🥬みんないろいろ無限の可能性

今回4種類の味付けを試してみて思ったことは、どれも美味しいなということ。おそらくそれは、千切りキャベツという素材が、いうならば無色透明の素材で、どんな味付けでも受け入れる懐の深さがあるからなんだろうと思います。

食べているときのファーストインプレッションはマヨネーズやドレッシングの味を食べているという感覚でした。特に最初のひと口、ふた口はそうです。

ただ噛んでいくうちに、その各種ソースをキャベツが受け止め、そして一体化していきます。そしてその段階まできたとき、千切りキャベツに何をかけたかという問題の答えが出るのだと思います。

甘くみずみずしい生キャベツ。それは咀嚼という時間とともに口の中で、身にまとった味付けを取り込み、新しい料理になるのです。

ちなみに今回試している中、当然のようにもっといろんな食べかたがあるよなあ…とも思いました。たとえば醤油とマヨネーズを混ぜてみるとか、レモン汁を絞って塩を振ってみるとか、めんつゆとオリーヴオイルをかけてみるとか、アイディアは無限にわいてきます。

そこでちょっと調べてみたら、こんなまとめを見つけました。

キャベツの千切りというシンプルな付け合わせですが、味付けを変えれば、その組み合わせは無限。可能性の宝庫です。

みんないろいろ。味付けさまざま、好みはそれぞれ。

“千切りキャベツに何をかけるのか問題”は大団円を迎えたようです。

人それぞれに推しがある。それも千切りキャベツという素材の、純白さの証なんだと思ったりしています。

あなたは何をかけますか。



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