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なぜフィンランドに来たのか、自信を持って答えられないあなたへ#2

前回では自分にどう問いかけるかについて話しました。

ただ自分のやりたいことをやるには、最低限のお金や社会的信頼が必要になってくる面もあるでしょう。それならばそれを現実的にする技能や経験をさらにフィンランドで身につけたい、勤勉なあなたはそう感じているかもしれません。

ですのでフィンランドから日本へ持ち帰るのにおすすめの"お土産"をもう一つ紹介したいと思います。




フィンランドと日本は共通点も多くありますが、国が違うため当然違うところもありますよね。日本では当たり前に出来ていても、フィンランドでは思うように上手くいかないことも起きてしまうでしょう。

そんな異国の地で勉学や仕事に励んでいると問題という名の壁にぶつかることも少なくありません。それがとても無視できない問題だったらあなたはどう対処するでしょうか?




その問題はあたかも大きな岩の壁があなたの前にそびえ立つような感覚です。試練を受けていると感じるかもしれません。

解決を試みるためにあなたは勇敢に立ちふさがる壁を壊そうとするか、乗り越えようとするでしょう。今まで蓄えてきた経験や知識を元に、あの手この手を試みます。しかし壁は壊れませんし乗り越えることもできません。
さて、次の手はどうしましょうか?



困ったあなたは学友か同僚に助けを求める手を思いつくでしょう。
もしその助力がこんな一言だったらあなたはどう感じるでしょうか?

この岩のドアはここのボタンを押せば開きますよ。




壁は例え話として挙げたので、あんまり深く考えないでくださいね。

私が言いたかったのは、問題が起きた時「〇〇は□□であるべき」と先入観を持っていることは必ずしも解決の役に立つとは限らない、ということです。


困難という名の壁が立ちはだかったとき、あなたは乗り越えようとしませんでしたか?日本の教えである「壁は乗り越えるもの」の考えが染みついているのかもしれません。

この先入観や母国で培った価値観というのはあなたの一部ともなっています。根本から深く絡みついており、これを抜きに何かを考えるのは難しいものです。しかもそれは無意識に行われていることもあります。大人として年齢を重ねれば重ねるほどこれは顕著になることでしょう。



少し前にワーキングホリデーに行く方向けに私が記事を書いたのをあなたは覚えているでしょうか。日本人が仕事を探す難しさと、駅にはなぜ改札がないのかの話をしました。

日本人が仕事を探すのが難しいとされているのは言語とビザの問題が大きいです。それは紛れもない事実です。しかし問題は必ずしもその2つだけではなく、労働文化や法による背景も影響しているでしょう。

改札がないのも決して信頼しているからではなく現実的にコストを判断している面もあるのではないか、という異なる側面の可能性を挙げています。


物事は一面ではなく多面であるかもしれないと意識してみてはどうでしょうか


今まで住んでいたところとは違う生活をしていく上で問題はいつもより多く起きるかもしれません。言葉の問題もあり、あなたは日本では経験しない苦労もしてしまうことでしょう。

しかしこれはチャンスです。
日本での"あたり前"の外側に飛び出し、あえて遠くから物事を見て多角的に考察する力を身に着け、問題を解決する手法を増やす機会が格段に増えるからです。


ちなみにこれは水平思考(ラテラルシンキング)と呼ばれているようです。ビジネスの世界でも有益ですが日常生活にも大いに役に立つことでしょう。あなたならきっとそれを身に付けられると私は信じています。




人は他者を評価する際、学校でどんな勉強をしたのか、何の資格を持っているのか、語学力はどのくらい伸びたのか、など分かりやすい項目にどうしても目が行きがちです。

ですので、こういった"意識していないと気が付かない技能"にもしっかりと目を向けてください。帰国したときに、あなたがどんな経験を経てその技能を身に着けたかエピソードも含めて周りにきちんと伝えましょう。
自身の成長にしっかりと注意を払ってください。どんな経験もあなたの糧になっているはずですから。


あと最後に一つ、社会の役に立つ技能以外にも注目してみてください。

フィンランドで暮らしていくと心が大きく動かされる場面に立ち会う時があるでしょう。その一つ一つも大切にして欲しいと思っています。
それは時に人生を大きく変えることになり得るかもしれません。大きく感情を揺さぶられるのがサインです。忘れないようにしてくださいね。



このフィンランドでの経験があなたの人生の大事な一部分となることを願っています。


敬具