真っ白なノートの上に
机の上には
ノートと万年筆、
カップに淹れた茜色の紅茶。
それから、読みさしの本が1冊。
そうして、栞を頼りに
本を開いたら、
私の、好きな時間のはじまりです。
万年筆にインクを十分に充填して
姿勢をととのえて
書かれている文章に目を落として。
本の中の、
美しい響きの言葉や
新鮮に感じる表現、
思わず共感する部分だったり、
心に触れた台詞を
真っ白なノートの上に
ひとつひとつ、拾い集めてゆきます。
つい見過ごしてしまいそうな
心がふっと動いた瞬間を
逃さないように
そっと書き留めるのです。
私がとくに好きなのは
大正から昭和にかけて発行された本です。
現代の図書には無い
あじわい深い言い回しに出会えて
ハッとしたり、うっとりしたり。
同じ風景を描いていても
言葉の装いが違うだけで
こんなにも
心の中での広がり方が違うのだと
痛感します。
*
今日、思わずメモを取ったのは
小説家であり随筆家であった
田辺聖子さんが書かれた文章です。
その内容につよく共感するのもそうですが、
こんなにキュートで、乙女チックで、かつ
知的なニュアンスをも合わせもっている文章に
くらりと魅せられてしまいました。
*
言葉を書き留めることが習慣になって、
自分の心の機微に
丁寧に向き合えるようになりました。
そして、
自分の想いを伝えるために
どんな言葉を選び、
どう結び合わせるとよいか、
印象的な言葉の紡ぎ方というのを
よく、考えるようになりました。
自分で文章を書こうとするとき
言葉を書き溜めたノートを訪ねると
新たなヒントが見つかります。
現実に疲れて感性を見失ったとき
言葉を織り込んだノートを訪ねると
やさしい世界に目が向きます。
このノートは
自分の手で作り上げてゆく、
たいせつな宝物です。
私は
これといってすぐれた才能を
持ち合わせてはいませんけれど
こうして
小さなことを
時間をかけて、積み重ねた先で
自分の中に、何かこう
あたたかくてゆたかなものが
養われているといいなと
思います。
そしていつか私も
読んだ人のこころの奥深くで
やさしく息づくような
そんな
美しい言葉を綴りたい。
そう、願っています。
これからもあたたかい記事をお届けします🕊🤍🌿