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観光×データ分析 ~私の修士論文

こんにちは!
とある女子大学院生です。
前回の更新から随分と時間があいてしまいましたが…、今回は私の研究している観光経済学について書きたいと思います。

旅行って、いいですよね!!
最高のリフレッシュになるし、最高の思い出になるし。
さらに旅先での出会いが多様な暮らし方に気付いたり、環境を考えるきっかけになったりするかもしれないし。観光消費で地域が活性化したり。観光ってすごいパワーを秘めたものなんじゃないかと思うんです。


で、「旅行ってすごいよねー!」で終わるんじゃなくて、じゃあどのくらい効果があるものなのかなと考えたいのです。
観光を長く続いていけるものにするためには、ビジネスとして観光産業をまわしていかなくてはいけません。行政の支出が大きいのは観光業の特徴なんだけど、税金を投入する価値があるものなのか、補助金を切ったあとも存続できる事業にできるか。そのために、経済効果の規模、どの要素が特に収益に利いているのか、恩恵を受けられない地域や事業の特徴は何なのか、色んな分析が必要です。

観光経済学は、経済学の長い歴史の中に比べればまだまだ未発達だし、そもそも「観光経済学」という呼び名が正式名称かも怪しいところ(何をもって正式なのかもわからんけど)ですが、観光産業の伸びとともに急速に発展中の分野ではあります。
5大ジャーナルで「Econometrics Tourism」で検索すると、直近10年くらいでヒットするのはたった数件。これはデータの整備がまだまだなことが原因かなと思います。観光の国際機関などが、国際基準のデータ(TSA、Tourism Satellite Accountといいます)の作成を促進したりしているところ。
私の研究対象はアメリカなのですが、データ集めに四苦八苦です。こっちの州は国内からの旅行者しか調べてない、あっちの州は日帰り旅行者は計算に入れてない、州ごとに消費データの部門分けも違う…みたいな。州のリサーチ部門にお問い合わせメールを送る日々です(でも皆さんの返信がお優しくて沁みるんだ…)。

そんな中で、日本政府観光局(JNTO)の公開データは神。完備なパネルデータ分析ができそう。まぁ島国だとか国の規模とか、日本がデータ取りやすい面があるのかな。
あと、各自治体レベルで産業連関表があるのも神。産業連関は観光経済の研究ではよく使われる手法なので…。(これはまた後日書くつもり!)


そんなこんなで観光×データ分析に興味が湧いた方に何か読むもの…と思うと、とりあえずFaber, Gaubertの『Tourism and Economic Development: Evidence from Mexico’s Coastline』をおすすめしておきます。AERに載ったやつです。メキシコの沿岸地域における観光の経済効果を測った論文!
とりあえずに挙げるには内容がリッチすぎる&歯応えありすぎる感じはするのですが、分析の設定から興味深いし、構造推定まで行っていて結果も面白いので読み応えは十分。計量経済に少なからず興味のある方向けです。
https://www.aeaweb.org/articles?id=10.1257/aer.20161434

論文しんどい!英語やだ!という方には、松尾、山口の『道の駅の経済学』を。こちらは書籍です。先輩が「手始めにどう」くらいの感じですすめてくださったのですが、もう本当に本当に読んで良かった。道の駅を事例に、観光経済の理論から手法解説から実証まで書かれていて、「観光経済学始めました」ってなれます。あ、産業連関についての解説が、丁寧な数式付きで載っているよ。
https://www.amazon.co.jp/%E9%81%93%E3%81%AE%E9%A7%85%E3%81%AE%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6-%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E3%81%AE%E6%8C%AF%E8%88%88%E3%81%A8%E7%B5%8C%E6%B8%88%E6%B4%BB%E6%80%A7%E5%8C%96-%E6%9D%BE%E5%B0%BE-%E9%9A%86%E7%AD%96/dp/4326504633


なにぶん浸透してない分野なので、THE入門みたいな読み物がないのです…。『観光学』とはちょっと違うし…。もっともっとゆる~く知りたいな、という方は、私のnoteをですね、そういう感じにする予定なのでですね、引き続きご覧いただければ…!(突然の宣伝)(もっと更新しますね)
観光って娯楽だから、開発経済とか『社会的に役立つこと』に研究の関心が向きがちなのかなと思いますが、娯楽ってめっちゃ大事!ですよね!
ずっと色んなとこに旅行行きたい!そのために観光産業がずっと続いていってほしい!研究の大元はこんな個人的な感情です。
計量経済とかデータ分析を観光分野でやってみようって方が今後増えればいいな!

それでは、また。

とある女子大学院生。

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