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映画ラブ

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素人の映画感想文的な何かです。
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#芸術

残響と余韻

残響と余韻

 最初の出会いは一枚のパンフレットだった。
 それはYAMAHAのサラウンドプロセッサーに関するものだった。DSP(Digital Surround Processer)と呼ばれるそれは、実際の劇場で測定したデータを元にして信号処理を加えて家庭でも臨場感のあるサラウンドを実現出来るというものだった。
 当時まだ高校生だった自分にはとても手が届かない製品だったが、強い印象とともに憧れを抱いたものだ。

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感情の一歩手前から

感情の一歩手前から

 喜怒哀楽と表される人の感情。
 そうした感情は、生理現象や身体的な感覚を起点とし情動を経て身体的な動作となることで表出される。
 何かを感じてから、それが例えば表情という顔の筋肉運動として表れるまでには複雑なプロセスと複数のステップを踏んでいるということだ。悲しいときに悲しそうな顔をするのは、考えてやろうとすると案外難しい。だからこそ俳優という職業が成り立つ。

 感情が湧き起こる発端となる部分

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ストーリーを追うか、流れに身を任せるか

ストーリーを追うか、流れに身を任せるか

 映画の見方に正解は無い。
 人それぞれで良い。
 鑑賞というのはそういうものだ。

 私の場合、ストーリーを追い掛けるというよりも、シーンやストーリーの中に没入して流れに身を任せる。その過程で沸き起こる感情に浸る。そういう見方をするタイプだと思っている。

 言い換えれば、ストーリーの行間から湧き上がってくる何かをそっと掬い上げるようにして集め、それを材料にしてそこでの自分の感情という人形を造る

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