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映画ラブ

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素人の映画感想文的な何かです。
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2024年3月の記事一覧

映画『そばかす』

映画『そばかす』

 主人公は恋愛感情が持てない女性。しつこいほど恋人はいるのか、結婚はまだかと母親に言われるのを躱す毎日。周囲の人も当然に、女は男が好きになるという固定観念を当たり前だと思っている。けれど彼女には普通の人のそうした感覚が分からない。

 なぜ友達では駄目なのか。それ以上に何があるというのか。好意を抱いてくれるのは良いが、そこから先に進むのが当然と思われても、どうして良いか分からない。だから彼女は、そ

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Netflix映画『悪女』

Netflix映画『悪女』

 台湾制作の映画を見たのは初めてかも知れない。

 主人公は結婚を間近に控えたテレビキャスターの女性。お母さんは早くに亡くしていて、主人公の祖母の介護をしながら生活している父親は、娘の結婚を期に自分も結婚したい人がいると打ち明ける。
 そんな時、父の結婚相手となる女性が過去に交際した複数の男性を殺害した容疑で逮捕される。娘である主人公は何とか父親の結婚を阻止しようとするが、父は彼女に惚れ込んでおり

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映画『正欲』

映画『正欲』

 普通に生きることが出来ない人がいる。
 そんな人々にとっては、世の中が決めた普通が息苦しい。お前は生きているべきではないと詰め寄ってくる。

 この映画の主人公はそんな息苦しさを吐き出せずに社会の隅でひっそりと暮らしている人々だ。息を潜めていても容赦なく降り注ぐ世間の普通。普通の会話や普通の生き方。普通が一番正しいという価値観を押し付けてくる。

 決して普通の人に理解してもらおうとは思っていな

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映画『ミスミソウ』

映画『ミスミソウ』

 厳しい冬の寒さに負けず、雪の中でじっと春を待ち続けて早春に雪を割るように可憐な花を咲かせるミスミソウ。耐えた先に良いことがありそうなモチーフだが、この映画の物語とは全く違う。

 舞台は田舎の中学校。生徒数は少なく、同級生はみんな幼馴染みだ。そこに都会から転向してきた少女は当然のように虐めの対象になっている。この設定が本当だとすれば地方に転向するのが恐ろしくなるが、単に出来上がったコミュニティに

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Netflix映画『ラバー、ストーカー、キラー』

Netflix映画『ラバー、ストーカー、キラー』

 この作品は、アメリカ中央部にあるネブラスカ州で2012年に実際に起きた事件に基づくドキュメンタリー映画だ。
 題名の通り、題材となる事件はストーカー殺人なのだが、事件解決までに数年を要したばかりか、大どんでん返しがある点でミステリー仕立ての物語になっている。

 三十代半ばで離婚して独り身になった自動車整備士の男性デイブ・クルーパは、孤独を埋めてくれる相手を探してネットのマッチングサービスを利用

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映画『ある男』

映画『ある男』

 その男の名は、谷口大祐といった。
 女は次男を亡くしたことをきっかけに旦那と別れ、実家の文房具屋を営みながら、母親と小学生の長男と暮らしていた。
 ふたりは結婚して娘が生まれ、幸せな家族となったが、ある日仕事中の事故で男が亡くなった。

 そして一周忌のある日、男の兄が訪ねて来て仏壇に自分の弟の写真が無いことに気がついた。女が亡くなった旦那の写真を指差すと、弟ではないと言う。こんな男は知らないと

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映画『愛なのに』

映画『愛なのに』

 愛なのになんだというのだろうか。
 
 古本屋を舞台にした恋愛映画かと思いきや、話はそう単純ではない。
 主人公の浩司(瀬戸康史)は、営む古本屋の奥で日がな一日、本を読んでいる。年寄相手の商売では女っ気は無く、案の定30歳を過ぎて彼女もいない。しかし彼女を作らない理由は、どうやら捨てきれない過去の恋心にあるようだ。
 
 ある日そんな古びた店にやってきた女子高生(河合優実)が一冊の文庫本を手にす

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Netflix映画『パレード』

Netflix映画『パレード』

 心残り無しに死ぬわけにはいかないと思っていても、人生そう上手くいくことばかりではない。もしあの時に別の選択をしていれば、と後悔することは幾らでもあるし、見ることの出来なかった結末が気になったとしても知るすべはない。人生は一方通行のパレードだ。

 映画というよりも芝居を見ている感覚に陥ったのは、劇中劇のような構成だからだろうか。生きている人たちの世界と死んでしまった人たちの世界がクロスして、でも

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