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極北の自然ライフスタイル

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極北カナダ・ユーコン準州、大自然のライフスタイルの記事を集めました。
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記事一覧

春のオーロラに想うこと

春のオーロラに想うこと

極北はすっかり春になった。ついこの間まで雪と氷で覆われていた大地だが、今はもう5月の半ば。多くの鳥が南から返ってきており、春一番の花のクロッカスも咲き始めたところだ。

夏が近づくにつれて、白夜が始まろうとしている。今はかろうじて星がいくつか見えるほどだが、あと1週間もすると、星が全く見えない白夜の季節が始まる。

白夜とともに見えなくなるのが、オーロラだ。「オーロラは冬しか見えない。」そう思って

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手作りサウナ <極北カナダ・ユーコン>

手作りサウナ <極北カナダ・ユーコン>

北米の極北では、あまりサウナの議論は交わされることが少ない。サウナといえば、北欧やロシアといった旧大陸の寒冷地が有名だ。現在僕が住むカナダ極北・ユーコン準州でも、サウナの文化はあまり浸透していない。スウェットロッジと言われる、先住民族の伝統をたまに耳にすることはあるが、元々は極地にあった文化ではないだろう。

それでもアラスカの一部で、サウナの伝統が少しばかり残っているらしい。アメリカ合衆国が買い

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凍った湖で、釣りをしながら春を待つ

凍った湖で、釣りをしながら春を待つ

厳冬期の2月は気温が-30度前後まで下がることもあり、仮に魚が釣れたとしても、穴から出てしばらくするとカチコチに凍ってしまうのだ。気温の温かい春先は、素手でも魚を捌くことができ、釣りをしていても集中力が持続する。

ようやく極北ユーコンでも、春の気配を感じ始めている。とはいっても4月初旬でも雪はたっぷり残っており、外気も夜はマイナス15度程度まで下がる時期である。3月中旬からは日照時間が急激に増え

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極北に住むと。。。

極北に住むと。。。

世界のどこにもパラダイスなどないに違いない。結局何を選んで、何を捨てるか。その選択が、人生の方向を決めていくのかもしれない。

海外に住んでいると、特に極北の辺鄙な場所にいると、日本では考えられないようなことがよく起きる。

現在カナダもまだコロナ渦で、移動制限があるまっただ中だ。ここ北の果てのユーコン準州でも、未だに州境が閉ざされている。州外に出て戻ってくるだけで、2週間の強制隔離を行わなければ

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−30℃、真夜中のヒッチハイクの思い出

−30℃、真夜中のヒッチハイクの思い出

早朝のフライトに備えて、オーロラツアー客は街のホテルで待っている状態だ。社長や同僚に電話をしても、皆寝ていて誰も電話に出てくれない。その時見えた車の光に反応し、道路の真ん中にランプを照らして飛び出した。ヒッチハイクが盛んなユーコンでも、真夜中3時に他人は乗せたくはないだろう。

本来、人の生活は自然に支えられて成り立っている。自然の状態が、人の暮らしに影響を与えるのは、当たり前のことだと言える。た

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極北カナダ   Vo.0 ゲル暮らしを始めた理由  『 −30℃のテント暮らしに到る道 』

極北カナダ Vo.0 ゲル暮らしを始めた理由 『 −30℃のテント暮らしに到る道 』

”極北のゲル暮らしは薪を割ったり、水を汲んだりと多くの作業がある一方、外の自然を常に感じることができる豊かな暮らしでもある。時にはフクロウの声が聞こえたり、上空を飛んでいく白鳥やオーロラを眺めることができることもある。自然との繋がりを求めてやってきた極北カナダのユーコン準州。家に住みたいと思いながらも、なんだかんだで、シンプルな森のゲル暮らしが似合っているのかもしれない。"

今朝の気温はマイナス

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極北カナダ・ソリ犬の物語

極北カナダ・ソリ犬の物語

一昨日のこと、また一頭あの世に行った。最初は18頭いたソリ犬たちが、今は4頭しか残されていない。

極北カナダのユーコンでは、歴史的に犬ぞりが盛んな地だ。今でも街の郊外にいくと、趣味で犬ぞりをしている人たちが存在する。カナダのユーコンと隣のアメリカのアラスカ州とを結ぶ、全長1600kmの大きな犬ぞり国際大会「ユーコンクエスト」も毎年2月に行われる土地柄である。

今住んでいる土地にやってきたのは8

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