【レビュー】『タフに戦い2度追いついて勝点1』~第26節大分トリニータVSファジアーノ岡山~

試合結果

2022 J2 第26節
7/11 19:00K.O. @昭和電工ドーム大分
大分(2-2)岡山
19分 中川寛斗
21分 佐野航大
35分 長沢駿
80分 柳育崇

スタメン

マッチレポート

タフに戦った岡山が勝点1。

立ち上がりは4年ぶりに大分に乗り込んだ岡山がパワーを出した。デュークが相手DFに競り勝って敵陣に進入し、前線から連動したプレスをかけて大分に襲い掛かる。5分、プレスで相手のミスを誘うと、佐野の浮き球に抜け出したデュークがシュートを放つ。これは相手に厳しく寄せられて決めきれなかった。

4試合負けなしの大分は岡山のエネルギッシュなプレーに慌てることなく対応し、こぼれ球を拾って押し込んでいくと、試合を動かす。19分、敵陣で中川が相手のクリアボールを拾って長沢が落とすと、弓場のパスを受けた中川がPA手前から右足を振り抜いた。鋭いシュートがゴール右スミに決まって大分が先制した。

リードを許した岡山だったが、すぐに試合を振り出しに戻す。21分、成瀬のスルーパスに抜け出したムークがPA右から折り返して佐野が詰めた。岡山は約2カ月ぶりに先発した背番号22のプロ初ゴールで反撃の狼煙を上げるも、システムのミスマッチを生かした大分が両サイドからクロスを放り込む。岡山は3試合ぶりに復帰したバイスと柳を中心に跳ね返していくが、35分に左サイドから藤本が上げたクロスを長沢に頭で合わせられた。バイスの前で放った長沢の強烈なヘディングシュートで大分が勝ち越した。

後半、岡山はピンチを迎えてスタートするも、堀田が好守で追加点を与えない。両チームに連戦の疲労が見え始める中で74分に両ベンチが動くと、白井と齊藤を投入した岡山が前線に人数をかけて攻勢を強めた。76分、白井のシュートは左に外れたが、再び追いついた。80分、河野のクロスに攻め上がっていた柳が飛び込む。相手DFの上から叩きつけるヘディングシュートを決めて同点にした。終了間際にも岡山がボールを放り込んで、最後までゴールを目指したがスコアは動かずタイムアップ。

中3日で迎えた3連戦の最後の試合、相手は勝点差3の大分。結果によって順位が入れ替わる一戦に連戦の疲労を抱えながら臨んだ岡山はとてもタフだった。先制を許してもすぐに追い付き、勝ち越されても再び追い付いた。2度もリードを許したことは反省しなければならないが、勝点1を持ち帰れるのはチーム全体で反発できたからこそ。アウェイでもパワーを出して戦うことができたチームはシーズンを通してタフさを身に付けている。

コラム

ついにプロ初ゴールを決めた佐野航大

約2カ月ぶりに先発した佐野航大が結果を残した。

米子北高から入団した高卒ルーキーはこれまで13試合に出場し、305分間プレーしていた。開幕戦からプロデビューを飾り、第4節の町田戦ではプロ初アシストを記録。第7節まで全試合に出場するなど順風満帆なスタートを切ったかに見えたが、第8節以降は徐々に出場機会が減少していった。

しかし、佐野は2月に初めてU-19日本代表に召集されると、同世代の選手に刺激を受ける。たくさんのことを吸収して、5月にはフランスで行われた国際大会のメンバーに選出された。初めて海を渡り世界との差を体感した佐野は、自分の強みと弱みをしっかりと理解して日々のトレーニングに励む。岡山の練習に参加している乾貴士も良いお手本となり、毎日を成長に費やした。

先発に抜擢された今節では立ち上がりから球際を激しく戦い、強度が課題だったことを感じさせないたくましさを見せる。5分には自身の武器であるパスでチャンスを作った。押し込まれる時間が続く中でもタフに戦うと、待望の瞬間が訪れる。先制を許した直後の21分、PA右に抜け出したムークの折り返しを佐野が押し込んだ。ゴールを決めた背番号22は力強く拳を握りしめた後に、両手を上げてゴール裏のサポーターを煽った。喜びを爆発させる姿にはまだあどけなさが残る。しかし、同点ゴールを決めてチームを勢い付けようとした高卒ルーキーからは頼もしさを感じた。

これから佐野はどんな成長曲線を描くのだろうか。背番号22の一挙手一投足に目が離せない。

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