【レビュー】『悔しさの中に見出すもの』~第36節徳島ヴォルティスVSファジアーノ岡山~

試合結果

2022 J2 第36節
9/15 19:03K.O. @鳴門・大塚スポーツパーク ポカリスエットスタジアム
徳島(1-0)岡山
53分 藤尾翔太

スタメン

マッチレポート

再確認した強みとベース

5試合ぶりの敗戦は「相手コートでプレーすること」の重要性を再確認するものになった。

岡山はクラブ史上初の5連勝と最多勝点の「66」を目指して鳴門大塚に乗り込んだが、苦戦を強いられる。ボールを握る徳島に対して、岡山は[4-4-2]で構えた。徳元と河野がウイングの杉森と西谷を監視し、成瀬と仙波が2トップに加勢する形でSBにプレスを掛けていく。しかし、うまくいかない。徳島は白井が下がり数的優位を作ってパスを回しながら、杉本と児玉がSB-CBの間に顔を出してボールを引き出す。岡山は本山が白井に、成瀬がエウシーニョにプレスに行くも、剥がされてしまい相手を捕まえることができなかった。

マイボールになって最終ラインが低いため、相手ゴールが遠い。中2日の試合で走らされている感も漂う中でパスミスも目立ったが、チアゴが何とかドリブルで運んでいく意思を見せる。しかし、タイトな徳島の守備を越えていけない。自陣に閉じ込められて左右に揺さぶられる状況が続いた中で、岡山はバイスと濱田を中心に粘り強く守り、前半終了間際には杉森のシュートを堀田が冷静にストップした。

0‐0で迎えた後半は岡山が[5-4-1]になってデュークが左サイドをケアするも、53分に先制点を許してしまう。左サイドで連続してパスをつながれ、白井のクロスを西谷が頭で折り返して藤尾のヘディングシュートが決まった。

岡山は失点直後に田中、河井、イグォンを同時に投入して中盤がダイヤモンドの[4-4-2]に変更するも、1点を取った徳島の守備は堅牢だった。スペースを埋めながらも確実に起点を潰し、スアレスが安定感のあるクロスボール対応を見せる。岡山はさらに永井、宮崎幾を投入していき、再び[3-5-2]に戻した。気迫を感じる永井のエネルギッシュなプレーでゴールに近づくも、決定機には至らず。徳島はカウンターの怖さも出しつつも、逃げ切りに成功した。

岡山はとにかく相手コートにボールを置けなかった。4バックでのプレスは空転して自陣でボールを握られ、奪ったボールを敵陣でキープすることもできなかった。4連勝を飾り自動昇格へ突き進む勢いは影を潜めたことは残念でならない。やはり今季のチームが最大限に力を発揮するには、どんな方法でもいいから相手コートにボールを置くこと。それしかない。

コラム

悔しさを越える喪失感の正体

試合後に見上げた徳島の空は漆黒だった。

ビジター席を埋め尽くすサポーターの手拍子が響く。あいさつに来た選手たちを後押しする。その中で僕は力を込めて手を叩くことができなかった。

選手を称える気持ちが無かった? 応援する気が無い? いや、違う。後ろの方には試合中から不満を口にする人はいたが、90分間を必死に戦った選手たちへのリスペクトの気持ちしかない。

悔しくて、悔しくて仕方なかったんだ。原因は負けたこと、クラブ史上初の5連勝を達成できなかったこと、2位の横浜FCとの勝点差を「2」に縮められなかったことではない。それよりも、昇格に対する熱い想い、勢いがピッチから感じられなかったことが、試合後にただ打ちひしがれることしかできなかった原因だ。

徳島はうまくて、強かった。8日間で3試合を消化する連戦だから疲れもあっただろう。だけど、僕はもっとやれたと思っている。岡山はもっと迫力のあるプレスを掛けることができるし、縦への推進力はあんなものじゃない。徳元が投げるロングスローから生まれるカオスは、店の外なのに白米をかき込めると錯覚してしまう焼肉屋よりも得点の匂いがする。

これまで勝点を積み重ねてきた強みを出せなかったこと、見られなかったことが喪失感の正体だった。岡山はこんなもんじゃない、本気でそう思っている。監督、選手、チーム、岡山に関わる全ての人を信じて残り6試合を一緒に戦い抜きたい。

※完全主観です


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