【勝因】『勝敗を分けた退場者』~セリエA第36節ナポリVSインテル~

試合結果

5/22 1:00K.O. @スタディオ・ディエゴ・アルマンド・マラドーナ
ナポリ(3-1)インテル
67分 ザンボ・アンギサ
82分 ロメル・ルカク
85分 ジョバンニ・ディ・ロレンツォ
90+4分 ジャンルカ・ガエターノ

スタメン

33年ぶりにセリエAの優勝を決めたナポリが、CLとコッパ・イタリアの2冠の可能性を残したインテルをホームに迎えた一戦は、退場者の存在が勝敗を分けた。

キックオフすると、ナポリがボールを保持して攻め込み、インテルが自陣に[5-3-2]のブロックを組んで守る構図でスタートする。

ホームチームがCBのアデル・ラフマニとキム・ミンジェ、右SBのジョバンニ・ディ・ロレンツォの3人でパスを回し、残りのフィールドプレーヤー全員が相手陣内にポジションを取る。左サイドはSBのマティアス・オリベラ、右サイドはWGのエリフ・エルマスが幅を取り、彼らを起点に相手を揺さぶってブロックの攻略を図る。

左右への揺さぶりと左WGのクビチャ・クワラツヘリアのドリブル突破によって、ナポリがインテルを押し込んでいき、約15分過ぎからフィールドプレーヤー全員が相手陣内でプレーするようになる。17分、左右に揺さぶって空いた中央のスペースにラフマニが鋭い縦パスを打ち込み、ザンボ・アンギサが反転からシュートを打つも、右に逸れた。

インテルはナポリ対策を講じていた。ブロックで中央を徹底的に封鎖して、インサイドにバイタルエリアを使わせない。左WGのクワラツヘリアのドリブル突破に対しては、ラウール・ベッラノーバが縦を、ニコロー・バレッラが中を塞ぐ2段構え。CFのヴィクター・オシムヘンには、PA内でステファン・デフライと近いCB(アレッサンドロ・バストーニが多かった)で挟み込むようにしてマークを強めた。前半はオシムヘンを自由にさせないことで、ナポリのクロス攻撃を抑え込む。3バックを中心に堅く守りながら、最前線のロメル・ルカクのパワーでカウンターを繰り出して点を奪うチャンスを狙う形で時計の針を進めていく。

しかし、インテルに誤算が生じる。41分、ロベルト・ガリアルディーニが後ろからアンギサをスライディングタックルで倒してしまい、2枚目のイエローカードを提示されて退場された。横へのスライドで中盤の守備を支えていた背番号5がピッチを後にし、ハーフタイムに突入した。

0‐0で迎えた後半は、インテルがさらに守勢を強める。10人になったことを受けて、2トップの一角を務めたアンヘル・コレアが守備時に左サイドに下がることで[5-3-1]のブロックを形成。自陣の30mの間に3ラインが収まるコンパクトな陣形で先制点を与えない守備を展開する。

一方のナポリは後半開始からフィールドプレーヤー全員でブロックを崩す作業に取り掛かる。インテルに退場者が出たことで、WGのクワラツヘリアのマークが緩む瞬間が多くなり、背番号77が鋭いカットインから強烈なコントロールショットを狙いゴールを脅かしていく中、67分に先制点を奪取する。左サイドを細かなパスワークで翻弄すると、ピオトル・ジエリンスキのパスをPA内で受けたアンギサが反転から右足を一閃。強烈なシュートがGKアンドレ・オナナの手を弾き飛ばしてネットを揺らした。

追い掛けるインテルは積極的に選手交代をおこなう。74分にはフェデリコ・ディマルコ、デンゼル・ダンフリースを投入しサイドの運動量を補強し、80分にはラウタロ・マルティネスが入った。すると、82分に同点に追いつく。ディマルコとラウタロの2人で左サイドの深い位置に入っていき、ディマルコがDFとGKの間に鋭いクロスを流し込むと、ルカクが左足でうまく合わせた。

1‐1で突入した終盤は、互いに勝敗を決する次の1点を目指す姿勢を強めたことでオープンな展開になる。途中出場の選手が果敢にゴールに向かっていく中、次の1点を決めたのはナポリだった。85分、アンギサのパスを受けたディ・ロレンツォがPA右角から左足でミドルシュートを放つ。巻いて落ちるボールがゴール左隅に飛んでいき、GKが一歩も動けないスーパーゴールが決まった。さらに90+4分には前掛かりに攻めていたインテルのパスを途中出場のジャンルカ・ガエターノがピッチ中央でカットし、2対1の数的優位のチャンスをしっかりと仕留めた。ナポリがホームでインテルを粉砕した。

インテルにとって、痛恨の敗戦となった。強固な守備を築きながら、ルカクを起点にしたパワフルなカウンターで1点を取りにいくゲームプランは機能していた。しかし、退場者が出て10人になったことで、守備のブロックに綻びが生まれ、カウンターのパワーも上がり切らなかった。それでも、途中出場の選手が1.5人分の馬力を出して、一時同点に追いついたところは地力の高さを感じた。ただ、今回の敗戦で公式戦の連勝が『8』でストップし、順位を4位に落とした。

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