【勝因】『スタイルを貫いたインテル、変えざるを得なかったミラン』~セリエA第21節インテルVSミラン~

試合結果

2022-23 セリエA 第21節
2/6 4:45K.O. @スタディオ・ジュゼッペ・メアッツァ
インテル(1-0)ミラン
34分ラウタロ・マルティネス

スタメン

スタイルを貫いたインテル、変えざるを得なかったミラン

リーグ戦で176回目を迎えたミラノダービー。青と黒に染まったスタジアムでインテルが、戦い方を変えたミランを相手に主導権を握り続けた。

インテルのフォーメーションはお馴染みの[3-5-2]。3バックのパス交換で相手を左右に揺さぶりながら、アンカーを務めるハカン・チャルハノールがビルドアップの舵を取り、2トップへのクサビのパスで敵陣に進入していく。

対するミランはインテルと同じ[3-5-2]でスタート。「絶対に勝ちたい」。因縁のライバルとの一戦で慣れ親しんだ[4-2-3-1]ではなくフォーメーションを変えた。ステファノ・ピオリ監督が小さくない決断を下した理由は、直近7試合で16失点の守備をテコ入れすること、負傷で主力選手が離脱したこと、アンカーのチャルハノールを封じることだった。

ミランは攻撃時こそオリヴィエ・ジルーとディボック・オリジが前線で2トップを組んでいたが、守備時は彼らが縦関係になる。オリギが1列下がり、チャルハノールをタイトにマークしていた。ミランによる操舵手を封じる策はこれだけではない。チャルハノールが前進してくると、アンカーのラデ・クルニッチがマークを引き取る二段構え。中央では自由を与えないという強い意志を感じた。

しかし、アンカーを徹底的にマークされて廃れるインテルのビルドアップではない。中央ではなく後方でしっかりと起点を作っていく。インテルの最終ラインは、左からアレッサンドロ・バストーニ、フランチェスコ・アチェルビ、ミラン・シュクリニアルが並ぶ。それに対して前述のようにミランの最前線はジルーのみ。したがって、インテルは2人分の数的有利を確保しながらボールを保持できる。さらに左右のストッパーを務めるバストーニ、シュクリニアルは足下の技術に優れたCBで、正確な長短のパスを出すだけでなく自ら運ぶプレーも得意。前線の選手を探してクサビのパスを打ち込むには十分過ぎる時間とスペースが彼らにはあった。CBによるテンポの良い配球でリズムを作り、それに連動して中盤やサイド、2トップが動き出して相手を押し込んでいく。

34分、ピッチ中央付近でフリーになったアチェルビが左前方に鋭い縦パスを打ち込むと、フェデリコ・ディマルコが縦に仕掛けてCKを獲得するチャルハノールが蹴り込んだボールをラウタロ・マルティネスが頭で合わせて、インテルが先制に成功した。そのまま展開が変わることなく試合が推移していき、これが決勝点。1月19日のスーペルコッパ・イタリアーナ決勝に続き、インテルが自分たちのスタイルを貫いてミランを下した。

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