【レビュー】『”組織的”と”属人的”が見せた打ち合い』~カラバオカップ4回戦マンチェスター・シティVSリバプール~

試合結果

2022‐2023 カラバオカップ 4回戦
12/23 5:00K.O. @エティハド・スタジアム
マンチェスター・シティ(3-2)リバプール
10分 アーリング・ハーランド
20分 ファビオ・カルヴァーリョ
47分 リヤド・マフレズ
48分 モハメド・サラー
58分 ナタン・アケ

スタメン

ハイライト

マッチレポート

組織的かつ質の高さを見せたシティが壮絶な打ち合いを制す

4年に1度の祭典が幕を閉じた。しかし、喪失感はすぐに高揚感へと変わっていく。なぜなら、強度、スピード、テクニック、全てにおいてハイレベルなプレミア・リーグを再び見ることができるから。再開初戦となったカラバオカップ4回戦は、欧州を牽引する両雄がハイテンションな試合を展開し、リーグ戦への期待を膨らませた。

息を突く暇もないほどにアップテンポな幕開けとなった。シティが開始18秒にアーリング・ハーランドがフリーで抜け出してシュートを打てば、リバプールも直後に1本の縦パスからダルウィン・ヌニェスが決定機を迎える。両者が最短距離でゴールに向かってチャンスを迎えると、徐々にシティがペースを握る。右SBで先発した18歳のリコ・ルイスが内側に立ち、[3-2-2‐3]でビルドアップを開始。R・ルイスとロドリが中央で起点を作り、コール・パルマーが左サイドから仕掛けていく。10分、左サイドでのパス交換からケビン・デ・ブライネのクロスをハーランドが左足で合わせて、先制点を奪取した。

追い掛けるリバプールのボール保持は極めて属人的だった。ジョエル・マティプの運びとチアゴ・アルカンタラのゲームメイクで前進し、ヌニェスが裏に走り出す。押し返していくと、20分に追いつく。マティプがスルスルと持ち運び、ジェームズ・ミルナーがPA右からクロス。これをファビオ・カルヴァーリョが右足で流し込んだ。

1‐1で迎えた後半の幕開けもエキサイティングだった47分、斜めのロングボールを受けたリヤド・マフレズが巧みなコントロールで相手をかわし、得意な左足でネットを揺らす。シティが勝ち越すと、その直後にリバプールが再びタイスコアに戻す。快足を飛ばして左サイドを破ったヌニェスのクロスをモハメド・サラーが冷静に蹴り入れた。

その後も両者による激しい攻防が繰り広げられる中、58分にシティが待望の決勝点を奪った。58分、左CKからサインプレーを敢行し、デ・ブライネが蹴り込んだ高精度クロスをファーサイドに走り込んだナタン・アケが頭で合わせた。組織的かつ質の高いサッカーを披露したシティが、前回王者のリバプールを破り、再開するリーグ戦に向けて弾みのつく滑り出しとなった。

コラム

18歳で偽SBをこなす新たな”才能”リコ・ルイス

驚かされた。まだこんな才能が隠れていたとは・・・。

スコア以上に大きなサプライズだったのが、右SBで先発した・リコ・ルイス。11月21日に18歳になったばかりの若武者は、変幻自在な動きを見せた。

シティのSBはタッチライン沿いを上下動しない。中央に絞っていき、攻撃ではビルドアップに関与し、守備ではアンカーの脇を埋めてカウンターを潰す。いわゆる偽SBの役割が求められる。

ペップ・グアルディオラ監督により、もはや定番化しつつある偽SBだが、難易度はかなり高い。与えられる役割は複雑で、全うするためにはテクニック、賢さ、守備強度、運動量など幅広い能力を高いレベルで備えていないといけないから。

しかし、R・ルイスは若干18歳にもかかわらず、偽SBとしてプレーできる素養を持っている。欧州トップレベルの強度と練度を誇るリバプールのハイプレスを受けても、涼しい顔で味方にパスをつなぎ続けた。さらに18分、内側に絞ることで、こちらも欧州トップレベルの威力とスピードを有するリバプールのカウンターの芽を摘んだ。まだまだ粗削りな部分はあるも、すでに高い適応力を見せている。

右SBにはイングランド代表のカイル・ウォーカーが君臨し、ポルトガル代表のジョアン・カンセロもプレーできる。偉大なライバルとのポジション争いは、極めて難題である。しかし、背番号82が近い将来に主力として右SBでプレーしていても、驚きはしないだろう。

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